2007年8月17日(金)「しんぶん赤旗」

自民の参院選総括

「構造改革」路線への批判相次ぐ


 自民党は、参院選での大敗を受けて参院選総括委員会(委員長・谷津義男選対総局長)を設置し、党所属国会議員や地方県連幹部などから意見の聴取を進めています。八月中に最終報告書をとりまとめる計画です。

 意見聴取では、地方への公共事業拡大や「構造改革」路線の見直しを求める声が相次いでいるのが、一つの特徴です。

 七日に開かれた委員会の席上では、野田毅元自治相が「自民党(執行部)は公共事業性悪説で、田舎の気持ちを分かっていない」と批判。衛藤征士郎元防衛庁長官は「(敗北は)地方への手当てができなかった結果で、小泉政権以来の路線の修正を含め考えるべきだ」と述べました。

 太田誠一元総務庁長官はホームページで「(改革には)マイナス面がある」が、「そういうことを考えないで、改革でありさえすればよいというふうに言ってきたことによって、しっぺ返しを受け」たと敗因を分析。加藤紘一元幹事長も、「今回の逆風は、ここ五―六年続いた市場原理主義、民間の利益追求こそが正しい政策であると言ってきたことに原因があるのではないか」とホームページで指摘しています。

 身内からもこうした声があがっているにもかかわらず、安倍晋三首相は「基本路線は多くの国民に理解されている」という認識を示しています。十日の閣議で了承した来年度予算の概算要求基準にも、小泉内閣以来の「構造改革」路線がそのまま反映。社会保障の二千二百億円抑制や、公共投資の3%削減、「消費税を含む税体系の抜本的改革」など、財界の要求がすべて盛り込まれました。

 小野次郎氏、猪口邦子氏ら当選一回の議員有志四人が十日、「改革の歩みを止めることなく、安倍総理に引き続き継続・実行して頂きたい」などとする「緊急アピール」を安倍首相に提出。首相は「さらに改革にまい進していく」と述べたといいます。

 「改革か、逆行か」と叫んだ選挙で大敗北を喫しながら「構造改革」路線に固執し、「人心一新」をいいながら自らは対象としない安倍首相。有権者はもとより、党内でも「安倍総裁のもとで党の再生再建が本当にできるのかどうか」(逢沢一郎衆院議員)などの声がくすぶり続けるもようです。


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