2007年8月16日(木)「しんぶん赤旗」
自衛隊員6人自殺
海外派兵で抗マラリア薬投与
抑うつ・不眠 副作用の疑い
PKO(国連平和維持活動)などで自衛隊が海外に派遣された際に抗マラリア薬「塩酸メフロキン」を予防投与された隊員のうち、少なくとも六人が自殺していたことが分かりました。日本共産党の小池晃参院議員の質問主意書に対して、十五日に決めた政府答弁書で明らかにされました。
小池議員への答弁書で判明
「塩酸メフロキン」はマラリア予防薬として一般に使用されており、不安感や抑うつ感、不眠など精神面での副作用が生じる場合があります。
答弁書によると、一九九七年以降の十年間に東ティモール、インドネシア、パキスタン、ネパールに派遣された自衛隊員約三千二百人に投与されました。このうち、二〇〇二年から〇三年にかけて国連東ティモール支援団(UNMISET)に派遣された陸上自衛隊員千七百六十五人のうち六人が自殺しました。二百九十四人に一人という高率です。
答弁書は、「塩酸メフロキンの予防投与との因果関係は低いと考えている」としていますが、自殺との関連性を全面否定していません。一方、製薬会社が使用上の注意として「副作用に留意し、投与期間は原則として十二週間まで」としているにもかかわらず、三千人以上の隊員に対して十二週間を超えて投与したことも明らかにしています。
米国では〇二年、アフガニスタンでの「対テロ」作戦から帰国した米陸軍特殊部隊兵士の自殺が二件、妻の殺害が四件、立て続けに発生しました。いずれも「塩酸メフロキン」を投与されていました。現在、米軍はイラク派兵部隊については他の予防薬に切り替えています。
小池氏は質問主意書で、「塩酸メフロキン」の使用について「再検討の必要がある」と指摘しています。
しかし、答弁書は「今後とも、塩酸メフロキンの投与に当たっては、適切に配慮してまいりたい」と述べ、使用を継続する考えを示しました。