2007年8月12日(日)「しんぶん赤旗」
パート雇い止め無効
奈良・食品工場 地裁が仮処分決定
奈良県農業協同組合の食品加工工場で働く女性パート従業員が一方的な雇い止めは無効として奈良地裁民事部に地位保全などの仮処分を求めていた問題で、同地裁は雇い止めは無効とし、女性の家計の赤字分に当たる月六万円を第一審判決言い渡しまで支払うよう農協側に命じる決定を、このほど下しました。
同決定などによると、女性は雇用期間六カ月で、契約更新をしていました。同工場はジャムとフルーツソースの製造をしていましたが、収益の悪化からフルーツソース事業の撤退を打ち出しました。その方針のもと、パート従業員六十五人のうち、女性を含む「雇用期間三年以下」の十二人に今年二月、雇い止め(雇用契約の終了)が通知されました。
これに対し女性は、所属する自交総連なら合同労組JAならパート支部とともに、数回の団体交渉を行ってきましたが、農協側は「上層部で決まったこと」と繰り返しました。女性の弁護団は整理解雇の四要件を満たさない業績不振を理由とした雇い止めは無効と主張しました。
決定書は「フルーツソース事業からの撤退に伴う一定の人員削減の必要性を認めながらも、ジャム事業の収益状況は悪くない」などとして、「十二人もの雇い止めを行う合理的な理由は存在しない」としました。