2007年8月6日(月)「しんぶん赤旗」
進展する米中戦略経済対話
環境問題で協力
食品安全で合意へ
【北京=山田俊英】貿易不均衡や食品の安全性などの懸案を抱える米中両国政府が対話による解決を進めています。七月三十一日から八月二日にかけてのポールソン米財務長官の訪中では、双方が戦略対話での解決を強調しました。昨年始まった米中戦略経済対話の路線が進展しています。
同財務長官の訪中は昨年七月の就任以来四度目。今回は摩擦の少ない環境問題から日程を始めるとして、まず青海省の青海湖で環境保護事業を視察し、協力について話し合いました。環境保護での協力は米中戦略経済対話の重点事項の一つです。長官は現地で、長江、黄河の水源地である青蔵高原の保護を強調しました。
双方の利益だ
胡錦濤国家主席との会談では、胡主席が、貿易不均衡、人民元為替制度について「戦略経済対話を中心に、その他のシステムも活用すべきだ」と述べ、同長官も「戦略経済対話の成功は双方の利益だ」と応じました。
中国共産党機関紙、人民日報は四日付の「国際論壇」で、「冷戦後、中米関係は重要な経験をした。信頼を深め、問題を減らし、協力を発展させ、対抗しないということだ」と同長官の訪中を積極的に評価しました。また、「複雑に入り組んだ情勢で中米関係に逆流があっても前進しなければ後退することになる」と対話の進展を希望しました。
不信打ち消し
有毒物質入りの食品、歯磨きなど大きな問題になっている中国製品の安全性については、米中の事務当局が一―三日、北京で協議し、安全確保に向けた協力態勢などを盛り込んだ覚書の枠組みに基本合意しました。年内に最終合意を目指します。
中国は、米国からの非難に反発を示しつつも、安全管理に関する国内措置を打ち出し、最大の輸出先である米国の不信打ち消しに懸命です。
不均衡貿易も
米国の対中貿易赤字の拡大をめぐっては、一日、米上院銀行委員会が為替改革法案を可決しました。経済実勢からかけ離れた為替レートを放置した国に相殺関税などの対抗措置をとることができるとする法案です。中国をねらったものです。
ポールソン米財務長官は上院の有力議員に「他国からの報復を招きかねない」と抑制を呼びかけ、戦略経済対話を通じた解決を主張しました。
中国側は、戦略経済対話の代表である呉儀副首相が、同長官に対し、貧困層を多く抱える中国の現状を述べながら、「他国に脅威を与える能力はない」と「中国脅威」論を打ち消しました。
十二月、北京で開かれる第三回米中戦略経済対話でこれらの懸案が引き続きテーマになります。