2007年8月5日(日)「しんぶん赤旗」
子ども医療保険拡充
米上院 2/3以上賛成で可決
大統領 拒否権行使困難に
【ワシントン=山崎伸治】米上院は二日の本会議で、低所得層の子どもに対する医療保険を拡充する法案を賛成六八、反対三一で可決しました。ブッシュ大統領は同法案に拒否権行使を示唆していましたが、それを覆すのに必要な三分の二以上の賛成で可決しており、対応が注目されます。
米国には国民皆保険制度がありません。低所得者のためには医療扶助制度(メディケイド)があります。しかし利用には所得の上限があるため、対象外となる世帯向けに、政府の「州児童医療保険事業」(SCHIP)が一九九七年に創設されました。
法案は九月末で終了するSCHIPを継続し、五年間で三百五十億ドルの予算をあてます。これにより三百万人の低所得層の子どもの医療保険が保障される見込みです。財源を確保するため、たばこ税を値上げするとしています。
下院は同様の趣旨の法案を一日に可決しており、今後両院協議会で内容のすりあわせが行われます。ブッシュ氏は「医療保険における政府の役割を拡大する」として法案に反対しています。
三日付の米紙ワシントン・ポストは社説で、無保険の子どもが約九百万人にのぼり、そのうち五百万から六百万人がメディケイドないしはSCHIPの受給資格があると指摘。ブッシュ政権が無保険の子どもの数を少なく見積もろうとするなど、取り組みに消極的であることを批判しています。