2007年8月3日(金)「しんぶん赤旗」

首相、開き直りメルマガ


 参院選惨敗にもかかわらず居座りを決め込み、世論の厳しい批判にさらされている安倍晋三首相が、あらためて開き直りを宣言しました。

 これは二日配信のメールマガジンでの表明で、選挙結果について、「わたしが進める改革の方向性が否定されたとは思えない。ゼロから出直す気持ちで、新しい国づくりに向けた信念を貫いていきたい」「今後とも新たな国づくりを進めていくことが、私の使命であり、責任である」などと白々しくのべています。

 首相は、惨敗の原因は、もっぱら「消えた年金」や「政治とカネ」問題での対応であり、憲法改定や「経済成長戦略」など「改革」路線にはないとしたいのでしょうが、そうは問屋が卸しません。

 例えば、首相が就任前から「改革」の最大の課題と位置づけてきた憲法改定問題。自民党はマニフェストの第一項目にこれを掲げたわけですから、国民の審判を受けていないという理屈はおよそ通りません。

 これについて首相は、七月三十日の会見で、「この選挙では憲法問題について十分議論できなかった」と逃げました。しかしそれは、喫緊の課題をほうり投げて、国民の多くが望んでいない改憲問題を前面に掲げれば、さらなる批判を浴びるからにほかならず、首相の勝手な都合にすぎません。選挙で堂々と民意を問わず、首相自身、「議論が不十分」だったといわざるを得ない改憲を、選挙後に、さも国民が支持しているかのように装って推進すれば、国民を二重に愚弄(ぐろう)することになります。

 首相の開き直りは、どのような理屈によっても正当化される余地はありません。

 それは、メルマガにある、「政治の空白をつくりだすことは許されない」という脅しまがいのもの言いにもよく表れています。

 今回の選挙で明確になったのは、「成長戦略」などといい、大企業には減税など全面的支援をおこなう一方、庶民には雇用破壊を放置し、大増税を押し付けていることへの国民的批判です。さらに、「戦後レジームからの脱却」などといい、憲法九条を投げ捨て、「海外で戦争する国づくり」を目指す首相の政治路線へのノーの声です。

 新しい政治を求める国民の目には、安倍首相が居座ることこそ、「政治空白」として映っているのではないでしょうか。(小泉大介)


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