2007年8月2日(木)「しんぶん赤旗」

赤城農水相辞任

首相の責任は消せない


 今になってなぜ辞任なのか、続投を決めた安倍晋三首相の責任はどうなんだ――事務所費疑惑を抱えた赤城徳彦農水相の辞任に、こんな疑問と怒りを抱いた人は少なくないのではないでしょうか。政権発足以来十カ月あまりで四人目の閣僚交代。政権担当能力そのものが問われる事態です。国民に何ら疑惑の真相を明らかにせず、疑惑閣僚をかばってきた安倍首相の責任は重大です。

■与党の都合

 「選挙戦に影響を与え与党敗北の一因となったことは紛れもない事実だ。この際けじめをつけたい」。赤城氏は一日の辞任会見で、自らの疑惑が与党大敗の要因となったことをあげました。原爆投下を「しょうがない」と発言して辞任した久間章生前防衛相が「選挙を控え、自民党も公明党もやりづらい」(七月三日)ことを理由にしたのと同じ理屈です。与党の都合を理由に辞任すること自体、政治不信を招いたことへの反省のなさを示しています。しかも、自らの疑惑にはフタをしたまま、まともに真相を解明する姿勢もありません。赤城氏は辞任会見で、領収書を公開して真相を明らかにするのかと聞かれても、「ルールが決まれば行う」という対応です。

 実体がないのに多額の事務所費を計上する問題は日本共産党の追及で赤城氏にとどまらず、内閣中枢の塩崎恭久官房長官へと広がっています。すでに佐田玄一郎前行革担当相が辞任。松岡利勝前農水相は自殺しました。

 これだけ多くの閣僚が問題になっているのに、だれ一人として、領収書を明らかにして、真相を語った閣僚はいません。その閣僚の任命権者である安倍首相は、だれ一人に対しても「真相を明らかにせよ」と指示を出していません。

 就任以来、次々明るみに出た赤城氏の政治資金の疑惑に対しても、何ら対応をとりませんでした。九千万円にのぼる架空事務所費疑惑が発覚したときには、「架空計上ではない」「説明責任は果たしている」と領収書提出を拒みました。そればかりか、「二〇〇五年の光熱水費は月八百円だ。八百円で大臣を辞めさせるのか」(七月八日の民放テレビ)と気色ばみ、追及する野党側を批判。いっさい説明を拒む赤城氏の“代理人”のように振る舞ったのです。

■更迭強調も

 赤城氏は会見で「総理に官邸に呼ばれ、総理も『(辞職は)同じ考えだ』といって、その場で辞表を書いた」と自らの辞任で安倍首相が動いたことをあげ、「更迭」を強調してみせました。いまになっていくら首相を持ち上げても、安倍首相が一貫して赤城氏をかばってきた事実は消えません。

 参院選の与党大敗を前にしても「基本路線は国民の理解を得られた」と強弁する安倍首相。四人目の閣僚交代は、政治の信頼という面でも安倍首相の指導力のなさを白日のもとにさらしました。

 参院選で示された国民の審判をかわすために辞任し、真相解明をうやむやにするとしたら、国民の怒りはさらに大きくなることでしょう。(高柳幸雄)



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