2007年8月2日(木)「しんぶん赤旗」

主張

政治とカネ

農相辞任で済む話ではない


 赤城徳彦農水相が辞任しました。

 事務所費問題をはじめ「政治とカネ」の疑惑で国民の政治不信を頂点まで高めた赤城氏にまず求められたのは、領収書類を示して国民に説明責任を果たすことでした。それを回避したまま、ただ辞めるというのでは政治家失格です。赤城氏をかばい続けたうえ、真相解明を求める国民の声に背いて、疑惑にフタの決着を図る安倍晋三首相も同罪です。

国民への謝罪はなし

 辞任表明直後の赤城氏の発言には多くの国民があぜんとさせられました。赤城氏は「参院選で私に関するさまざまな報道があり、与党の敗北の一因になった」のが「大変申し訳ない」から辞めるというのです。

 国民への謝罪は一言もありません。自らの行為にたいする反省も一切ありません。疑惑を「報道」する方が悪いといわんばかりで、ただただ与党の仲間内に「迷惑をかけた」というだけです。安倍首相はこんな腐敗不感症の人物を閣僚に据えた不明を恥じるべきです。参院選で示された国民の強い怒りを受けて、せめて罷免するのが当然の筋でした。

 実家を所在地にする実体のない政治団体の巨額事務所経費問題で一気に噴出した赤城氏の疑惑は、選挙中にもさらに拡大し、政治団体の政治活動費の報告でコピーした領収書を悪用して経費の「二重計上」をしていた問題まで飛び出しました。政治資金収支報告書の虚偽記載に相当し、政治資金規正法では五年以下の禁固・百万円以下の罰金が科せられる違法行為です。

 それでも赤城氏は、「単純な事務処理上のミス」と“ばんそうこう”をつぎはぎしたような言い逃れを続け、選挙後も「これまでの説明、報告を見ていただければご理解いただける」と領収書の開示を拒否したまま、大臣の座に居座ろうとしました。

 安倍首相は参院選直前、「(光熱水費)たった八百円の人を辞めさせるんですか」とテレビ討論でのべるなど、異常なまでに赤城氏をかばいだてしました。この首相の姿勢が、赤城氏を増長させ、問題をここまで深刻にしたともいえます。

 昨年末の佐田玄一郎前行革担当相にはじまり、伊吹文明文科相、松岡利勝前農水相と閣僚に相次いだ事務所費問題を、安倍首相はすべてあいまいにしました。真相解明を一切拒み、問題を政治資金規正法改定にすり替え、疑惑隠しに狂奔したのです。それは内閣として閣僚の不正を是認するに等しいことで、安倍内閣への国民の不信を決定的に広げました。

 安倍首相は、赤城氏の辞任表明前日(七月三十一日)夜の記者会見で、「赤城大臣も含めて人心を一新していく」と発言しました。裏を返せば、九月に予定する内閣改造までは赤城大臣のままでいくという表明です。それがわずか半日でくつがえりました。閣僚の人事という首相の専権事項についてさえ、もはや安倍首相は「制御不能」です。国民世論とのずれが覆いがたく広がり、安倍自公政権はもはやたちゆかないほどに追いつめられています。

首相こそ退陣せよ

 安倍内閣のわずか十カ月間で、閣僚交代は四人目です。「政治とカネ」、暴言問題で、首相の対応は常に後手に回り、国民の信頼をまったく失っていることは明らかです。

 日本共産党の市田忠義書記局長は赤城氏辞任後の会見で、「選挙の審判を受けて、安倍内閣自身が退陣すべきだ」と強調しました。「赤城氏を切れば終わり」は通用しません。首相自身の責任を明確にすべきです。



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