2007年7月29日(日)「しんぶん赤旗」
東南アジア非核地帯条約
強化へ行動計画
保有国に署名働きかけ
ASEAN
【マニラ=豊田栄光】東南アジア非核地帯条約締約国である東南アジア諸国連合(ASEAN)十カ国は二十八日、マニラで非核地帯条約執行委員会を開催し、条約を強化するための行動計画を承認しました。計画は三十日のASEAN外相会議に提出されます。
執行委員長を務めたASEAN議長国フィリピンのロムロ外相は、行動計画の主たる目的は、核兵器保有国に非核地帯条約の意義を確信させることにあると表明。米英仏中ロだけでなくインドとパキスタンにも署名を働きかけると述べました。
ASEAN外交筋によると、行動計画の主な目的は(1)核兵器製造を意図する国がないことを保証し、非核のASEANをアピールする(2)その結果として国際世論を盛り上げ、条約加入を拒否する核保有国に署名させる―の二点だといいます。
東南アジア非核地帯条約は一九九五年に署名、九七年に発効。同条約の執行委員会が開催されたのは今回が初めてで、「発効から十年にあたり非核の世界へ向けて、新たな取り組みが必要」(ロムロ外相)との考えが背景にあります。
二十八日夕の時点で行動計画の正式発表はありませんが、本紙が入手した計画案によると、今年から行動計画を具体化し二〇一二年までの五年間実施するとしています。
具体的措置としては、国際原子力機関(IAEA)による原子力施設への厳しい査察を可能にするIAEA追加議定書に加入し、IAEAや対話国(日米中ロなど)との協力関係を発展させる、などとしています。
計画案は、核保有国の「同時加入へ向けた努力を継続する」とする一方で、加入に至らない段階でも、核保有国から「非核地帯条約に反する行動をとらないとの一方的、集団的宣言を確保する」という新しい手法を認めています。
核保有国のうち中国が条約への加入意思を表明していますが、一部の国は艦船の寄港、通過の禁止を理由に拒否しています。ASEAN内部でも考え方はさまざまで、計画案では「可能な限り早期にASEANの意見一致がなるよう作業を続ける」としています。「米艦船の修理を行っているシンガポールが厳格な定義に反対している」(会議筋)といいます。