2007年7月26日(木)「しんぶん赤旗」

最低賃金引き上げ

米で実施 10年ぶり

1250万人に恩恵


 【ワシントン=山崎伸治】米国では五月末に成立した最低賃金引き上げ法に基づいて、第一段階の時給五・一五ドル(約六百十八円、一ドル=百二十円で計算)から五・八五ドル(約七百円)への引き上げが二十四日、実施されました。最低賃金の引き上げはほぼ十年ぶり。議員や労組代表らが出席し、歓迎の集会も開かれました。


 最低賃金は今後二〇〇九年九月までに七・二五ドル(約八百七十円)まで引き上げられます。民間研究組織「経済政策研究所」によると、約千二百五十万人の労働者に賃金増をもたらすと試算されています。

 また、引き上げを推進してきた民主党のケネディ上院議員は同日、声明を発表。購買力で比較して最低賃金の価値が最も高かったのは一九六八年であり、現在その水準にまで引き上げるためには、九・五〇ドルにする必要があると指摘。今回の引き上げを歓迎しつつ、今後も改善が求められることを強調しました。

 同日午後、連邦議会前で開かれた集会には、米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)のジョン・スウィーニー議長と「勝利のための変革」連合(CTW)のアンナ・バーガー議長の両ナショナルセンター代表が顔をそろえました。民主党のナンシー・ペロシ下院議長とハリー・リード上院院内総務があいさつしました。

 米国の最低賃金はクリントン政権の一九九七年九月に四・九五ドルから引き上げられたのを最後に約十年間据え置かれてきました。共和党が議会で多数派を占めてきたのに加え、二〇〇一年に成立したブッシュ政権が消極的だったためです。

 一方で労働組合などが最低賃金引き上げの運動に取り組み、各州が独自の最低賃金制度を導入。昨年十一月の中間選挙で、新たに六州が独自の最低賃金を設定した結果、二十九州と首都ワシントンDCが連邦レベルを上回る最低賃金を設定することとなりました。

 新議会で多数派となった民主党は最初の仕事に「最低賃金の引き上げ」を選んだようにこの問題を重視。ブッシュ政権も中小企業向け減税との抱き合わせで引き上げを容認し、実現しました。


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