2007年7月25日(水)「しんぶん赤旗」
政府 原発安全と太鼓判
“大地震にも耐える” 宣伝パンフ
|
「たとえ大地震が起きても、十分に耐えられる強さがあるか見ています」「大地震も想定した安全対策がとられていることを、原子力安全・保安院は厳しくチェックしています」――。新潟県中越沖地震で露呈したずさんな原子力発電所の耐震設計や地震対策について、経済産業省の原子力安全・保安院がこんな耳を疑うような手放しの安全宣伝パンフレットを製作し、各地で配布していたことが二十四日、わかりました。
このパンフレット『原子力発電所の安全確保にむけて』は、原子力安全・保安院が編集し、経済産業省所管の独立行政法人「原子力安全基盤機構」が発行したもの。原発直下でマグニチュード(M)6・5の地震しか想定していないのに、同パンフは「一般の建物の設計に用いられる三倍の静的な地震力まで考慮」「現実には起こりえないと考えられるような大地震も想定した安全対策がとられていることを、原子力安全・保安院は厳しくチェックしています」と太鼓判を押しています。
現実には、新潟県中越沖地震(M6・8)が東京電力柏崎刈羽原発を直撃し、重大な変圧器火災や放射能漏れ事故などに発展しました。
また、同パンフは「何重もの壁で放射性物質を管理。原子力安全・保安院はその妥当性をしっかりチェックしています」と、原発の安全をアピール。ところが、東京電力によると、今回の地震で使用済み核燃料プールから放射性物質を含む水が漏れ、放射性廃棄物のドラム缶数百本が散乱して数十本のふたが開くなどの汚染事故が起きました。
経済産業省によると、原発の安全宣伝などのための「広聴・広報・立地促進」の今年度予算は約千二百五十五億七千万円で、昨年度千百五十二億五千万円から9%も伸びています。