2007年7月24日(火)「しんぶん赤旗」

首相は教育「再生」言うが

自民公約に「予算増」なし

教室ぎゅうぎゅう 先生くたくた

さらに教員1万人削減を計画


 安倍首相は、参院選の中で「教育再生は安倍政権の最重要課題」とさかんにアピールし、自民党の公約の二番目に「教育を再生する」とうたいます。しかし公約には父母や関係者の願いである教育予算の増額については何の記述もありません。

予算比率が最低

 教育条件でみると、日本は先進国で最低水準にあります。

 GDP(国内総生産)に対して、どれだけ教育に公的予算を使っているかの比率を比べたOECD(経済協力開発機構)の調査(二〇〇三年)で、日本は3・5%と加盟三十カ国のなかで最下位。OECD平均の七割以下で、アイスランド(7・5%)、デンマーク(6・7%)など北欧諸国の半分程度です。

 その結果、一クラスの子どもの人数は平均で小学校二十九人、中学校三十四人と、韓国に次ぐすし詰め状態。ヨーロッパ十九カ国の平均は小学校二十人、中学校二十三人で、一クラスの上限人数は三十人以下が当たり前です。いまだに四十人が上限の日本は、国際水準からかけ離れています。

 文部科学省は“個に応じた教育”だとして、習熟度別授業を強引に広めていますが、学習効果が疑問なうえ、子どもに劣等感を抱かせたり、時間割の調整、打ち合わせの増加などで教員の多忙化に拍車をかけています。

 文科省の調査で、小・中学校教員の一日の平均労働時間は十時間を超え、一カ月の残業時間は過労死ラインを超える九十時間に上ります。しかも、子どもとかかわるのでなく、管理職への報告書づくりなどに忙殺され、精神疾患による休職者数は十三年まえの四倍近くなっています。

 広田照幸・日大教授(教育社会学)は、「教員や財政支出を減らし、金をかけずに『改革』したしわ寄せが教育現場にきている。教育に金を出し教員を増やすことこそ必要だ」といいます。

少人数学級こそ

 しかし、安倍自公政権に、教員や教育予算増額の方向はまったくありません。〇五年の行政改革推進法により、「教員一万人削減計画」を決め、教育条件をいっそう下げようとしています。安倍首相は「教員の数と学力との関係は必ずしも一致しない」(参院文教科学委員会、五月二十二日)などと、予算、教員増に背を向けています。

 日本共産党は、学力保障にも一番有効な少人数学級を国の制度で実施するよう求めるとともに、地方自治体では住民とともに運動して、地方独自の少人数学級実現の力となってきました。

 参院選では、世界最低水準の教育予算をひきあげ、手厚い教育条件を実現することを公約に掲げ、「三十人学級」の実現や、就学援助への国庫負担金制度復活・抜本的増額などを求めています。

グラフ


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