2007年7月24日(火)「しんぶん赤旗」
主張
中小企業
「ストップ貧困」で経営安定を
戦後最長の「景気上昇」がさけばれ、大企業は、四年連続で史上最高の利益を更新しているのに、中小企業の倒産は昨年末いらい九カ月連続して前年比増となっています。政府の「中小企業白書」(〇七年版)でさえ、「中小企業は、未だ景気の回復を実感できる状況となっていない」と認めざるをえない状態です。
悪政が二重の足かせに
自公政府は、現在の中小企業の経営難は、「景気回復の波及の遅れが原因だ」などと説明しています。しかし、今日、中小企業の経営を困難におとしいれているのは、「景気回復の遅れ」などといってすませられることではありません。苦境の真の原因は、大企業だけが大もうけをするために、中小企業や労働者・国民に犠牲を押し付けて貧困と格差を拡大してきた景気回復のあり方、経済政策のあり方そのものにあります。
自公政権は、これまで九年間、大企業の横暴を野放しにする一方、中小企業予算の削減、中小企業や自営業者に過酷な税制、「弱肉強食」の経済政策をすすめてきました。とりわけ重視すべきことは、こうした自公政権の経済政策は、中小企業や自営業者にとっては、二重の足かせとなってきたことです。
税制でいえば、大企業・資産家を優遇し、庶民への負担増となる税制改悪―定率減税の廃止や国保料にはねかえる住民税増税は、中小企業者にとっても重い負担増となり、経営難、生活苦を押し付けてきました。
とりわけ消費税の免税点が年間売り上げ三千万円から一千万円に引き下げられたことは、価格転嫁が困難な自営業者は赤字でも身銭を切らねばならず、廃業に追い込まれる業者が続出しています。
それだけではありません。中小企業・自営業者の多くは、国民生活と密着した仕事をしています。庶民増税や医療・介護の負担増などは、国民の貧困と格差を拡大し、消費を冷え込ませ、小売、サービス、建築などの売り上げを大幅に減らしています。企業数は、一九八六年をピークに百万社以上も減少し、小規模業者は、この十年間で約半数が廃業に追い込まれています。
中小企業にとって二重の足かせになっている自公政権の経済政策、貧困と格差を拡大する悪政を根本的に転換することが必要です。
日本共産党は、「ストップ貧困」をかかげ、大企業優先の経済政策を転換して、「中小企業憲章」を制定し、一般歳出の0・35%、千六百二十五億円(〇七年度)にすぎない中小企業予算を当面2%、一兆円程度にふやす政策をかかげています。また税制では、応能負担・累進課税によって庶民の税負担を軽減するとともに、生存権を保障する医療・年金・福祉の制度を再建・拡充します。
民主党は、「格差是正」「生活第一」をかかげますが、貧困や格差を拡大する「構造改革」や大企業減税に熱心です。家計を直撃している庶民増税への反対表明もありません。
消費税増税に反対の党を
参院選の重大な争点に浮上した消費税問題は、中小企業、自営業にとって絶対に許されない増税です。
安倍首相は「(消費税を)上げないとは一言もいっていない」とのべて、参院選後の秋に消費税増税を盛り込んだ「税制改革」の構えです。「将来消費税の増税は不可避だ」(鳩山由紀夫幹事長)という民主党には立ち向かう足場はありません。
消費税増税にきっぱり反対している「たしかな野党」、日本共産党の前進が求められます。
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