2007年7月23日(月)「しんぶん赤旗」
中越沖地震 1週間
必需品届けてほしい
蔵も農機具も壊れた
新潟県中越沖地震の影響が続く新潟県内。上水道の断水が柏崎市、刈羽村で二万四千百二十二戸にのぼり、ガスも三万二千四十六戸で復旧していません。七十一カ所ある避難所で、いまだ三千百十二人が避難所生活を送っています。地震発生から一週間の被災地は――。(栗原千鶴、本田祐典)
一時は、七百五十人が避難していた柏崎市の西山地区。電気、水道の復旧にともない自宅に戻る人もでてきました。しかし自宅が全壊した人も多く、避難所となった二田小学校の体育館では、いまだに百二十人が避難生活を強いられています。
温かい炊き出し
体育館の中は、十五台近い扇風機が回り、中央には涼をとるための大きな氷の柱が置かれていました。二十一日からは、やっと温かい炊き出しが始まり、被災者の顔にもほっとした表情が浮かんでいました。
一方、断水が続いているにもかかわらず救援物資の支給を打ち切られた地域もあります。柏崎市南鯖石(さばいし)地区では建物被害が少なかったため二十日、避難所が閉鎖。同時に、市は給水車を除いて避難所で行っていた救援物資の支給を中止しました。
「食事など、せめて生活に必要なものは欲しい」。同市大沢の女性(53)は「地域には一人暮らしのお年寄りも多い。車に乗れない人はどうすればいいのよ」といらだちを隠しません。
農業への被害も深刻です。農道には亀裂が入り、ため池はコンクリートの壁が崩れ落ちました。農家では農機具が壊れたり、作業場が倒壊するなどしています。
頭の中パニック
多くの農家が被災した同市吉井地区の女性(58)の自宅では農機具を入れていた蔵が全壊し、作業場も大きく傾いています。「もうこの作業場は使えません。壊れてしまった農機具もあるし、買ったばかりのトラクターのローンもある。自治体や政府は、農家にも補助金など、手を差し伸べてほしい」といいます。
刈羽村の男性(64)は、米の乾燥機がとなりの田んぼに転落し、壊れました。「いまは頭のなかがパニックで、これからどうしたらいいのか」といいます。「原発の風評被害で米が売れなくならないか心配です」とも語り、不安げな表情を見せました。
柏崎刈羽原発の裏側にあたる刈羽村刈羽地区では、地震で砂山が崩れ落ち、家が倒壊したり、地盤の液状化で家が傾くなどの被害が出ています。
ある男性の家では、液状化で自宅が二十センチほど沈下しました。「三年前の地震でも玄関前の階段が一段分下がったが、今回また一段下がった。余震で裏の砂山がまた崩れるのではないかと思うと怖い」といいます。「地震後、すぐに水と砂が吹き上げた」というのは、三年前の中越大震災の影響で自宅を直したという男性。「土台あげもやったのに」と唇をかみます。「地盤はお金がある人なら整備できるが、どうにもできない人もいる。村や県がなんとかしてほしい」と語りました。
この地域では、原発への不安も広がっています。「黒い煙が見えたときはびっくりしたよ」という女性は「村内の放送もよく聞こえなくて、何がおきたのか不安だった」といいます。
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