2007年7月22日(日)「しんぶん赤旗」
ドイツ 出生数 10年ぶり増
育児休暇に「親手当」
政府 保育所3倍化計画
【ベルリン=中村美弥子】ドイツの連邦統計局は二十日、今年一―三月の人口統計を発表し、出生数が昨年同時期に比べて0・4%増加したことがわかりました。一九九八年以降、下がり続けた出生数が約十年ぶりに増加に転じました。
今年1〜3月
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連邦統計局によると、今年の一―三月(第一・四半期)に生まれた子どもの数は十四万九千三百人で、昨年の同時期より六百人増えました。昨年一年間で生まれた子どもの数は、前年より一万三千人少なく、1・9%の減少率でした。
フォンデアライエン家庭相は、出生数が微増したことを歓迎しながらも、「若い男女がためらいなく出産を決意する国に変えていくためには、まだ多くの課題が残されている」と述べ、少子化対策をいっそう強化する必要性を強調しました。
政府は少子化対策として、今年一月に「親手当」を導入。これは、出産後、両親のどちらかが育児休暇を取得すれば、休暇前の収入の67%を最長十四カ月保障するというもの。また、政府は保育所の数を二〇一三年までに三倍化する計画も決定しました。さらに、児童手当の増額も検討したいとしています。
連邦議会野党の90年連合・緑の党のデリゲツ議員は、「親手当」の受給期間を終えた親が、設備の整った保育所を見つけられるかどうかが少子化克服のカギを握っていると指摘しています。
研究者のなかでは、少子化傾向を食い止め、出生率を回復軌道に乗せるには、政府の少子化対策だけでは不十分だとの指摘があります。ビーレフェルト大学のビルク教授は独メディアに対し、「雇用において激しい競争がある限り、出生率は低迷し続ける」と述べ、国民の雇用不安を解消して経済状況を改善する必要があるとの見方を示しました。
ドイツでは、〇五年の合計特殊出生率(一人の女性が一生のうちに産む平均子ども数)が一・三四で、欧州連合(EU)加盟二十七カ国平均の一・五一(〇五年)を下回っています。将来の人口減少が懸念され、出生率の回復が重要課題となっています。