2007年7月20日(金)「しんぶん赤旗」
「君が代」強制研修訴訟
教職員の訴え棄却
東京地裁 通達違法性判断せず
卒業式・入学式の「君が代」斉唱時に起立せず職務命令違反として懲戒処分を受けたため東京都教育委員会から「再発防止研修」を受講させられた都立学校教職員百三十七人が、同研修は思想・良心の自由を侵害するものだとして都に対して損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(中西茂裁判長)は十九日、原告の訴えを棄却する判決を言い渡しました。
判決は、研修の原因となった職務命令や懲戒処分の違憲・違法性について原告らが争点として主張しなかったことを理由に、「命令・処分の有効性を争わないのだから、研修の発令が違法となる余地はない」としました。「君が代」を強制した都教委の通達や各校長の職務命令、懲戒処分についての判断は示しませんでした。
一方で、原告らが起立・斉唱しなかったのはそれぞれの世界観や信教、教育観、職務上の信念などに基づくものであり、「このような考えをもつこと自体は思想・良心・信教の自由として保障される」とのべました。
研修の内容については「思想・良心・信仰の禁止、変更を迫るものであれば、憲法に反することは明らかである」として一定の歯止めをかけましたが、実際の研修では「思想・良心・信仰などの変更が迫られた事実はない」としました。
原告側は当初、通達や職務命令の違憲・違法性を主張していましたが、この点はほかの裁判で争うことにして取り下げ、研修自体の違憲・違法性などにしぼって争っていました。
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