2007年7月20日(金)「しんぶん赤旗」

07参院選

政治を変えるたしかな力 共産党を大きく

自公の暴走にストップ


 二十九日の投票日まで十日をきった参院選。論戦を通じて、「自民党・公明党対日本共産党」の対決構図が鮮明になってきました。年金、大増税、憲法、政治とカネ―。まるで「欠陥車の暴走」を続ける自公政権。この悪政に対抗する旗をしっかり掲げる日本共産党が伸びることが、政治を変えるたしかな力です。


【年金】

[自公] 貧しい制度 より貧しく

[共産] 老後の安心保障へ提案

 ずさんな年金記録管理による「消えた年金」問題にどう対処するか。その根本にある年金制度そのものをどうするのか。日本共産党は、この二つの問題を区別して、しっかりした対応策を示してきました。

 「消えた年金」問題では、党利党略でなく、国民の利益第一で、与野党が協力して解決をはかるべきだという立場から具体的に提言。とくに一億人の国民すべてに年金納付記録を通知すべきだという「一億人レター作戦」の提案は、政府の方針にも取り入れられました。

 年金制度をめぐっては自民・公明両党と日本共産党には大きな対決点があります。自公は、二〇〇四年の年金大改悪を、いまだに「百年安心」と自画自賛しています。ここには、国民年金が月平均四万七千円という低年金問題、六十万―百万人いるといわれる無年金者問題を解決しようという方策はありません。それどころか、この年金大改悪は、負担は毎年引き上げ、給付は逆に引き下げる、というもので、「貧しい年金」をさらに貧しくするものです。

 日本共産党は、「老後の安心」への建設的な提案をしています。(1)緊急策として、年金の受給条件を二十五年以上から十年以上に引き下げる(2)抜本策として、最低保障年金制度(当面、月五万円の最低額保障)の導入(3)財源としては、消費税に頼らず、歳出のムダの削減と、大企業や大資産家に応分の負担を求める―という三つです。

 十五日放送のNHKの参院選挙特集番組で、自民党の中川昭一政調会長が、「小池(晃政策委員長)さんもご指摘になったが、(受給条件の)二十五年といった問題はそれでいいかどうか検討しなければならない」とのべるなど、この提案が早くも現実政治を動かしはじめています。

首相も「共産党提案 一理ある」

 「(「ねんきん特別便」については)共産党のおっしゃっていたことも一理あるということで、追加的な履歴を出すということにしました」(八日のNHKテレビでの安倍首相発言)

 「たとえば、年金の加入記録を送付する『ねんきん特別便』。共産党が6月半ばに出した緊急対策要求の最初の項目だ。コンピューター未入力の記録を電子化し、加入者データと照合するというのも共産党案などの後追いだ」(『週刊朝日』七月二十日号)

異常に長〜い受給資格期間

日本……………25年
アメリカ…………10年
イギリス…………10年
ドイツ………………5年
スウェーデン………3年
フランス…………3カ月


グラフ


【政治とカネ】

[自公] 疑惑隠し、幕引き狙う

[共産] 「事務所費」究明リード

写真

(写真)質問する井上さとし議員=06年11月29日、参院政治倫理餐選挙特別委

 巨額の事務所費に光熱水費―「政治とカネ」をめぐる閣僚の疑惑があとを絶ちません。昨年末に架空の事務所費計上で辞任した佐田玄一郎前行革担当相につづき、多くの議員が家賃がタダの議員会館の事務所に巨額の事務所費を計上している疑惑が噴出。自殺した松岡利勝前農水相に代わった赤城徳彦農水相にも政治団体の事務所費をめぐる疑惑が発覚し、国民の怒りを浴びています。

 安倍晋三首相は、これらの疑惑閣僚を一貫してかばい続けています。領収書を出して疑惑を明らかにせよとの声にも、「法律に定められたルールにのっとる」とくり返し、真相解明を妨害しています。

 日本共産党は、松岡前農水相らの事務所費疑惑を最初に指摘し、政府・与党に真相究明を迫りました。

 これに対し、自民、公明は疑惑にこたえることなく、議論を法制度にすりかえ。法改定でも規制対象を資金管理団体に限定し、領収書の添付義務を五万円以上の支出だけに限る政治資金規正法「改正」で幕引きを図ろうとしました。

 日本共産党は、「資金管理団体だけを対象にしても、(政治団体に)付け替えなどをすれば実態は闇のなか。与党案がザル法だといわれるゆえんがここにある」(六月二十八日、井上さとし参院議員)と批判。約一週間後には赤城農水相の政治団体の疑惑が明らかとなり、この指摘が正しかったことが証明されました。

 日本共産党が「政治とカネ」で厳しい態度がとれるのは企業・団体献金、政党助成金を受け取らない党だからです。日本共産党以外のすべての党は、盛んに「既得権の打破」を叫びながら、自らの既得権である年間三百十九億円に上る政党助成金制度には手をつけようとしません。

メディアも認める追及力

 「しんぶん赤旗」にスクープ大賞―「(『事務所費』問題は)年明けに『しんぶん赤旗』が松岡や伊吹文明文科相、中川昭一政調会長らの不正を報じて火がついた。…共産党の調査能力ってたいしたもんだね」(『ダカーポ』七月四日号)

 「与野党幹部のお屠蘇(とそ)気分を完全に吹き飛ばしたのは、(一月)三日の共産党機関紙『しんぶん赤旗』のトップ記事だ」(『フォーサイト』二月号)、「その後の各紙の様々な報道は言ってみれば『赤旗』の後追いに過ぎない」(『週刊現代』二月三日号)

疑惑にフタ 安倍語録

 佐田玄一郎前行革担当相の政治団体が政治資金を虚偽報告。行革相を辞任した直後、議員辞職すべきか問われ

 「本人が考えること」

 松岡利勝前農水相、伊吹文明文科相など巨額の事務所費疑惑で

 「法にのっとって、適切に処理している」

 赤城徳彦農水相が実体のない政治団体に巨額の政治資金を計上

 「(辞任する)問題ではない。赤城氏はしっかり説明したと聞いている」


【庶民大増税】

[自公] 住民税に加え消費税も

[共産] 堂々反対「国民に返せ」

 住民税の大増税に庶民の怒りが沸騰しています。増税は自民・公明政権が定率減税を廃止してしまったからです。

 自民党・公明党は二〇〇五年の東京都議選や総選挙で「サラリーマン増税はやらない」と公約しながら、サラリーマンはじめ庶民への大増税となる定率減税の半減(〇六年)、廃止(〇七年)を強行しました。

 しかも、定率減税の廃止や高齢者増税(年金課税強化)は基礎年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一に引き上げるための財源に充てる(〇三年総選挙での公明党の公約)約束までほごにしました。増税による増収は約二兆八千四百億円(住民税は除く)もあるのに、基礎年金財源にはたったの二割、約五千百億円しか回っていません。

 あとの八割は大企業や大資産家への減税に流用しておきながら、与党内では“年金財源が足りない”からと、消費税率引き上げを狙う動きが強まっています。

 「消費税は上げないなんて一言も言っていない」と安倍首相(五日の民放テレビ)。参院選の自民党候補の74%が消費税「引き上げ論」(「毎日」十四日付)です。ウソをついて住民税を増税したうえ、消費税増税の本音を隠し、国民の審判をあおぐことなしに増税を強行することは許されません。

 日本共産党は、住民税増税を中止し、すでに実施された増税分は「戻し税」方式で国民に返すことを提案。消費税増税にはきっぱり反対しています。自民党・公明党の庶民増税の暴走に対し、日本共産党が反対の旗を鮮明にかかげられるのも、行き過ぎた大企業・大資産家減税を見直せと堂々と主張できる政党だからです。

■消費税をめぐる語録

○「2007年秋以降、税制改革の本格的な議論を行い、07年度を目途に(略)消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させる」(安倍自民・公明内閣の「骨太の方針2007」、6月19日閣議決定)

○「私たちは秋に抜本的な(税制)改正を行う。消費税を上げないなんて一言も言っていない」(安倍首相、5日の民放テレビ番組)

○「(消費税は)上げなくて済む可能性は十分ある」(安倍首相、8日の民放テレビ番組)

○「(基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる財源として)消費税も決して聖域ではない」(自民党の中川昭一政調会長、15日のNHKテレビ番組)

図


【憲法改定】

[自公] 目的は米と肩並べ戦争

[共産] 「9条守れ」の共同追求

 二〇一〇年の改憲発議を公約のトップに掲げた安倍・自民党。「自民党新憲法草案」では九条二項の削除と「自衛軍」の保持を掲げています。

 選挙後には国会で改憲案づくりの論議をスタートさせ、改憲手続き法(国民投票法)の三年間の凍結解除後、「直ちに」改憲原案を審査し、改憲発議へと「直結」させる計画です(自民党憲法審議会の『憲法改正国民投票法のすべて』)。

 公明党は「加憲」の立場に立ち、九条に自衛隊と「国際貢献」を書き込んだ第三項を加えることを検討。自民党と歩調をそろえています。

 これだけ具体的な改憲スケジュールを描きながら、改憲の目的には口をつぐむ安倍首相。日本共産党の志位和夫委員長はテレビ討論で、安倍首相に「アメリカと肩を並べて戦争する」ことが改憲の目的ではないかと迫りました。安倍首相は否定できませんでした。

 日本共産党は日本を米国とともに「戦争する国」にするくわだてを徹底追及。安倍首相を先頭に、日本の国家体制を戦前・戦中に逆戻りさせる「靖国」派の策動は、アジアと世界で日本を孤立させると警告してきました。

 いま、「九条守れ」の草の根の声が大きく広がり、「九条の会」は全国で六千を超えています。「経済界でも九条を守ろうの声が広がっている」(品川正治・経済同友会終身幹事)状況です。「改憲」の立場に立つ読売新聞の世論調査でも三年連続で「改憲賛成」が減少。九条改定では反対・不要が56%です。

 党をつくって八十五年、反戦・平和を貫き、草の根の声と連帯して、安倍改憲路線に正面から対決する日本共産党が伸びることこそ、憲法九条を守るたしかな力です。

◆安倍晋三首相

 「実際に肩を並べてたたかうことは(集団的自衛権の)中核的概念。たとえば、どこかへの武力行使について一緒に肩を並べてたたかう。あるいは、地球の裏側まで行って。これは、おそらく禁じられている解釈なんだろう」(官房長官=当時、06年9月11日、自民党総裁選討論会)

 「海外の紛争で米国と肩を並べて武力行使する前の段階で、憲法解釈にかんする障害を取り除いていく」(幹事長代理=当時、05年10月25日、都内の講演会)

◆中川秀直幹事長

 「共産党も、憲法問題は信念の決戦と受け止めているのだろう。自共は信念対信念の一大論戦を展開することになるだろう」(07年1月4日)

 「共産党は、伝統的護憲勢力として真っ向勝負をしてくるはずだ」(5月11日)(自民党・中川秀直幹事長ホームページ)

表

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[民主党] これで暴走立ち向かえる?

「増税反対」も「改憲反対」もなし

 いま、自公の暴走があまりにひどいので、わらにもすがる思いで民主党に期待を寄せる方がいるかもしれません。しかし、間違った政治への大暴走に立ち向かう旗が立てられるでしょうか。

グラフ

 【年金】

 民主党は、年金制度の問題で、月六万六千円の「最低保障年金制度」を実現すると主張しています。しかし、これが満額でもらえるのは四十年後。一年目にもらえるのは、その四十分の一の月千六百五十円にすぎません。これでは、低年金や無年金で苦しむ人たちの解決策にはなりません。

 しかも、「最低保障年金」の財源を全額消費税に頼っているため、年金をたくさんもらいたいのなら「消費税を上げるのか」という議論になってしまいます。

 【大増税】

 民主党は街頭演説で、さかんに庶民大増税にふれますが、民主党マニフェストに「庶民増税中止」の要求はありません。「将来、消費税の増税は不可避だ」(鳩山由紀夫幹事長、六月二十五日の講演)という立場では、増税反対の旗をかかげるわけにはいかないからです。

 「格差と戦う」といいながら、「難民」を生み出す労働法制の改悪や介護保険制度の改悪に賛成してきました。

 【憲法】

 憲法問題では、論戦を避け続けています。ところが、毎日新聞のアンケート(七月十四日付)では、民主党候補の43%が「憲法改正」に賛成。〇五年にまとめた「憲法提言」で海外での武力行使容認などを打ち出し、国会でも、防衛庁の「省」への格上げや、海外派兵を本来任務化する自衛隊法改悪に賛成しました。

 九条改憲では同じ流れに立っているので、対抗する旗印を立てられないのです。

 【政治とカネ】

 「政治とカネ」の問題では、事務所費でも光熱水費の問題でもすべて民主党自身に問題がはね返る“ブーメラン”状態です。

 民主党出身の角田義一前参院副議長の政治資金収支報告書の記載もれ、小沢一郎代表の十億円超の不動産取得費問題など、次々と問題がおこっています。企業・団体献金と政党助成金に依存する体質も自民党と同じです。

 これでは、自公政権の暴走を止めて、政治を変える力にはなりません。


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