2007年7月19日(木)「しんぶん赤旗」
英・貧富の格差
縮小から拡大に逆戻り
報告書が警告
英国の貧富の格差は四十年以上前の水準になりつつある―。英国で研究や開発支援を行う慈善組織「ジョゼフ・ラウントリー基金」が十七日、報告書を発表し、英国内の格差拡大に警鐘を鳴らしました。同基金が同じ日に発表した別の報告書では、多くの英国民が、収入の差が「大きすぎる」と感じていることを紹介するなど、格差拡大に対する不満も強いことが分かりました。(ロンドン=岡崎衆史 写真も)
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「一九六八―二〇〇五年の貧富と地域」と題した報告によると、英国の格差は一九七〇年代に縮小したものの、八〇年、九〇年代を通じて拡大。過去十五年に関しては、極貧世帯は減少したものの、貧困ライン以下でぎりぎりの生活をする人々の数は全体として増大しました。ぎりぎりの生活をする人々は、七〇年以降常に17%を超え、二〇〇一年には最大の27%に達しました。
格差の居住地への影響についても触れ、ロンドンや英南東部では平均的な世帯が減少したこと、富裕世帯は都市の周辺に集中するようになっていることを指摘しています。また、貧困層も富裕層も、それぞれまとまって居住する傾向を強めているといいます。
同報告は、英国は「四十年以上前の貧富の格差の水準に向かって突き進んでいる」と結論付けました。
また、報告書「経済的不平等への人々の観点」によると、収入の格差が「あまりにも大きい」と感じる人は、過去二十年間で常に七割を超え、〇四年は73%でした。また〇六年には、英国には「かなり多くの」貧困が存在すると考えている人は55%。46%は貧困は次の十年で拡大すると考えているといいます。とりわけ、人々は、高所得者の収入があまりにも多すぎることに不満を募らせているといいます。