2007年7月17日(火)「しんぶん赤旗」
耐震補強の予算増を
十六日朝、新潟、長野両県で震度6強(マグニチュード=M6・8)を記録した新潟県中越沖地震。ことし三月二十五日の能登半島地震(M6・9)に引き続き、地震災害の恐ろしさがまた示されました。
気象庁によると、今回の地震の規模や震源の深さは、能登半島地震や二〇〇四年の中越地震(M6・8)とほぼ同じで、震源の浅い地震だったことが被害を大きくしました。大規模な土砂崩れも発生し、道路や鉄道を直撃しました。停電、断水、電話不通、橋・道路寸断などによる交通まひや家屋倒壊も相次ぎ、多数の死傷者をだす惨事となりました。
今回の地震で倒壊被害を集中的に受けたのは、阪神・淡路大震災、中越大震災や能登半島地震と同様、古い建物でした。国土交通省によると、耐震性が不十分な住宅・建築物は全国で約千百五十万戸にのぼり、全体の25%にもなります。
政府は、建物の耐震化率(現在75%)を二〇一五年までに90%に引き上げるとしています。しかし、国交省の住宅・建築物耐震改修等事業の予算はすずめの涙程度。これまでの補助実績は一戸建て個人住宅で二百戸前後(二〇〇五年度)、共同住宅ではわずか四十戸(二〇〇一年度)です。
国交省が昨年八月、改正耐震改修促進法に基づき初めて公表した災害復旧拠点となる官公庁施設の耐震化率実績でも、強度不足が45%(百七十六棟)も占めることがわかりました。震度6強―7程度の地震で倒壊の危険がある建物(耐震強度が50%未満)の三十六棟のうちには、防災を所管する内閣府本府庁舎や地方気象台、警察施設も含まれています。避難所となる小中学校の耐震化率も半数程度から脱却できていません。その理由はいずれも予算不足です。
今回の地震災害は、建築物の耐震性を強めることが緊急課題であることを教えるとともに、耐震補強などの防災対策を自治体・個人まかせにしてきた自民・公明政権の責任が問われるものとなりました。(宇野龍彦)