2007年7月16日(月)「しんぶん赤旗」
右翼幹部企画教育集会を教委後援
宮城 共産党の撤回申し入れ拒否
安倍「教育再生」と共通点
右翼団体幹部が企画構成を担当した侵略戦争美化、戦前回帰の教育をめざす団体の集会を宮城県教育委員会と仙台市教育委員会が後援、県知事が出席して祝辞を述べ、仙台市長もメッセージを寄せました。市民から批判の声が上がっています。
村井嘉浩県知事が出席し、梅原克彦仙台市長がメッセージを寄せたのは八日に仙台市で開かれた「めざせ教育再生タウンミーティングin宮城」。侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」元会長の八木秀次氏が理事長を務める「日本教育再生機構」が、全国各地で行っている「タウンミーティング」の一環です。「教育再生in宮城実行委員会」が主催する形で開かれました。
この「タウンミーティング」の「企画構成担当」を務め、当日の総合司会者になった「二十一世紀研究所代表」の増本和司氏は、右翼団体「大日本赤誠会」の役員に名を連ねています。
八木氏は「新しい歴史教科書をつくる会」を脱会した後、日本教育再生機構を設立しました。宮城実行委員長の飯澤耕作氏は、右翼改憲組織の日本会議宮城県本部の役員です。
同再生機構は復古的な主張を持つ教育団体の「ゆるやかなネットワーク」として昨年十月に発足。結成の呼びかけ文では、日本を「有史以来、国の中心に一系の天皇をいただいてきた伝統の国」とする戦前回帰の特異な立場に立ち、戦後教育が「歴史と伝統」を否定し、「国民の心と体を蝕(むしば)み、ついには国家の中枢を侵すにいたった」としています。
発足集会で八木氏は「安倍政権の教育再生は私たちの構想と多くの共通点がある」とのべ、安倍内閣の「教育改革」を民間から推進する立場を表明しています。
仙台での「タウンミーティング」は「国歌斉唱」で開会。八木氏のほか、同じく「つくる会」元会長の田中英道・東北大名誉教授らが登壇し、「大東亜戦争が悪と見られてきたこと自体が、子どもに負の観念を与えている。日本がやったことは正しかったということを教えなければならない」などと発言しました。
警察学校で講話をしているという男性は特攻隊の遺書を道徳教育の教材として使うことを提言。高校教師の男性は「いまは過去の侵略への反省が少ないと教え込み、憲法改正を危険視する教育が行われている。日本の歴史・伝統を尊重する国家観を身につけなければ教員採用試験を通らないようにするべきだ」と主張しました。
このタウンミーティングをめぐっては、日本共産党県委員会と県議団、仙台市議団が五日、同再生機構の実態や増本氏が大日本赤誠会幹部であることを指摘して、県教委と市教委に後援の撤回を求める申し入れを行いました。県内の団体・個人でつくる民主教育をすすめる宮城の会も県教委などに、同再生機構についての認識と後援に至った経過を明らかにするよう求めました。しかし、県教委、市教委は後援を撤回せず、県知事が出席する事態となりました。
一方、主催者側が後援団体の一つとしていた宮城県PTA連合会は「後援依頼は文書でも口頭でも受けていない。後援した事実はない」としています。
大日本赤誠会 設立の趣旨を「万葉一統の皇朝に赤誠を捧(ささ)げ奉らんと念願する若き大丈夫の同志的結合体」「亜細亜諸国の解放の為(ため)に果敢な闘ひを続けた先覚的維新者群の思想と体験を…継受し且(か)つ発展させることを目的とする」とし、「現行憲法破棄!」を掲げています。機関誌『民族戦線』のホームページでは、自民党の加藤紘一元幹事長の実家に放火した容疑者を「天に代わり正義の炎を放った」と賛美し、激励の手紙を呼びかけています。