2007年7月16日(月)「しんぶん赤旗」

新自由主義は貧困をなくせず

南米ガイアナ大統領 来日講演

自主的潮流と連携


 南米ガイアナ協同共和国のバラト・ジャグデオ大統領(43)がこのほど来日し、東京で「小国の挑戦 持続可能な発展と未来」と題して講演しました。ガイアナはオランダ、英国の植民地支配を経て一九六六年に英連邦内で独立し、七〇年に共和制に移行した国です。(宮崎清明)


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 ジャグデオ大統領は、歴史にそって人種的対立を克服しながら自主・独立の外交、経済政策で国民生活の向上をめざしてきた経験を語りました。

 同大統領は、米国が麻薬問題を口実に中南米諸国に対しさまざまな干渉を繰り返している現状を厳しく批判。世界銀行や国際通貨基金(IMF)、世界貿易機関(WTO)は「小国や途上国の経済発展と国民生活を支援する政策を優先すべきだ」と語りました。

中南米の共同

 講演後の質疑応答では、米国に押し付けられた新自由主義政策を是正する中南米諸国での「自主的な流れ」に言及。「この流れと連携し、南米やカリブ海での経済統合と共同体建設をめざす」と述べました。また、新自由主義について「当初、アルゼンチンやメキシコで熱狂的に受け入れられ、貿易自由化や金融部門などの民営化がやられた。しかし、アルゼンチンが事実上の債務不履行に陥るなど、グローバリゼーション(経済の地球規模化)のもとで、逆に急激な反発が起きた」と指摘しました。

選挙を通じて

 そして、「新自由主義によっては貧困という中南米の根本問題は変わらなかった。こうしたなかで、中南米諸国では、国民が選挙という民主主義を通じて新しい発展戦略、モデルを探求する指導者を選んだ。これは、主権国家における国民の権利の行使から生まれたものだ」と述べました。

 同時に、「それぞれの国が自分の国に合った独自の考えと政策を実行していくのは当然だ」と強調しました。

 ジャグデオ大統領は昨年八月の総選挙で与党の人民進歩党(PPP)が得票率55%で勝利したことを受け、引き続き大統領を務めています。PPPは「科学的社会主義」を掲げ、政治的民主主義、混合経済、人種間の平等を伴う「民族民主国家」の確立をめざし一九九二年以来、第一党を占めています。


 ガイアナ協同共和国 人口七十五万人で、インド系43%、アフリカ系30%、混血17%、先住民9%。宗教はキリスト教57%、ヒンズー教17%、イスラム教9%。主要産品はボーキサイト、砂糖など。立憲共和制。


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