2007年7月9日(月)「しんぶん赤旗」

主張

原水爆禁止07世界大会

核兵器廃絶を迫る新たな波を


 原水爆禁止二〇〇七年世界大会が約一カ月後に迫りました。「核兵器のない平和で公正な世界を」をテーマに、核兵器廃絶のために行動する非同盟諸国や新アジェンダ連合の政府代表、内外の草の根運動の代表など、多彩な参加が予定されています。

孤立を深める米政権

 イラク戦争の泥沼化で米ブッシュ政権は国際的にも国内でも大きな批判にさらされ、孤立を深めています。核兵器問題でも、米戦略の危険や欺まんが明らかになるなかで、いまこそ廃絶への展望をひらこうとの決意がひろがっています。

 四月末から五月初めにかけて二〇一〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけての第一回準備委員会が開かれました。前回〇五年の再検討会議は、前々回二〇〇〇年の再検討会議で核保有国も合意した核兵器廃絶の「明確な約束」の実行が問われたにもかかわらず、アメリカの妨害で何も決定できませんでした。

 非同盟諸国や新アジェンダ連合の政府代表は、改めて核保有国に核兵器廃絶の決断、交渉の開始を強く迫りました。とりわけ核兵器拡散を憂慮する立場から、核保有国の行動が危険を拡大していると批判し、核兵器全面禁止こそ拡散を防ぐ道だときわめて明快でした。

 テロや大量破壊兵器拡散の危険を理由に、先制攻撃と核兵器使用の政策をすすめるアメリカは、今度の会議でも議論を拡散問題に絞らせようとしました。また核兵器と通常兵器の一体化や核弾頭の近代化などの危険な核政策が、あたかも核軍縮措置であるかのような詭弁(きべん)をろうし、「明確な約束」など核軍縮の合意を否定する態度をとりました。

 しかし同時に最近までの「核軍縮について議論すべき課題はない」といったごう慢な態度の変化も注目されました。核兵器廃絶を願っているかのようにいいそのために何が必要かと課題を列挙してみせました。自国の責任を棚上げし非核保有国の不拡散努力に問題をすりかえる内容ですが、自らへの批判を無視できなくなっていることも示しています。

 各国の運動も、イラク反戦運動が広がるアメリカ、イギリスでの核兵器更新反対、東欧への米ミサイル防衛システム導入反対などのたたかいが広がるヨーロッパ、北朝鮮の核実験をうけ初の反核国際会議を開いた韓国など、前進しています。

 もはや強大な軍事力で思い通りにできる世界ではありません。ことしの原水爆禁止世界大会は、このような変化を核兵器のない平和な世界につなげていくために、政府、NGOの違いをこえ、交流と議論を深める場となることが期待されます。

注目される日本の運動

 国内では広島、長崎への原爆投下を「しょうがない」と容認した久間章生前防衛相が被爆者と国民の怒りと批判で辞任に追いこまれました。

 しかし安倍政権のアメリカの核抑止力、核使用政策を容認する姿勢はまったく変わりません。国連では核兵器廃絶の課題を棚上げする一方、核兵器使用禁止決議に棄権し続けています。憲法九条改悪、米軍基地再編・強化のもとで、日本がアメリカの先制攻撃と核使用の戦略に組み込まれる危険が強まっています。

 このもとで核兵器廃絶、九条をまもれとともに、日本原水協などが提唱した「非核日本宣言」運動への共感が広がっています。

 これらの運動を大きく結集し、世界と日本の平和につながる世界大会として、大きく成功させようではありませんか。



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