2007年7月6日(金)「しんぶん赤旗」
アフガン・民間人殺害
国連総長が強く批判
NATO・米軍空爆で犠牲に
【ロンドン=岡崎衆史】アフガニスタンで北大西洋条約機構(NATO)軍や米軍の空爆によって民間人殺害が相次いでいる問題について、国連の潘基文事務総長は三日、国際社会のアフガン復興努力を損なうとして厳しく批判しました。国連とイタリア、アフガニスタン両政府の共催で、三日まで二日間ローマで開かれた国際会議で発言しました。
ローマからの報道によると、潘事務総長は「民間人の死傷者発生という事実から逃れることはできない。それが事故であったとしても、敵を強化し、われわれの努力を損なうことになる」と強調しました。そして、旧タリバン政権勢力などの武装勢力を批判しながら、アフガンの治安を担当するNATO主体の国際治安支援部隊(ISAF)に対し、「国際人道法に厳しく基づいた行動」を求めました。
一方、NATOのデホープスヘッフェル事務総長は、「われわれは意図的に殺害はしない」と弁明。逆に、武装勢力側が、民間人の首を切断して殺害し、学校を焼き払っていると強調しました。
報道によると、アフガンでは六月三十日、南部ヘルマンド州のギリシク地区に対するNATO軍の空爆で、女性や子どもを含む民間人六十五人が死亡しました。これについて、米軍主体の連合軍報道官は、タリバンと交戦していたISAF部隊を支援するため多国籍軍が「武装勢力」陣地を空爆したことを認めています。
デホープスヘッフェル事務総長は、この空爆の調査を約束しました。しかし、ISAFの駐カブール当局者は最近、空爆は陸上での作戦を支援する戦術として重要だとして、これを見直す考えのないことを明らかにしています。
アフガンのカルザイ大統領は六月二十三日、NATO軍や米軍の「無差別で不正確な」軍事作戦によって過去一週間に民間人九十人が死亡したとし、「民間人の犠牲者をもたらす攻撃は容認できない」と厳しく非難しています。
外国軍の作戦によるアフガン民間人の死者は昨年、約二百三十人(国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ調べ)でしたが、今年はすでに約三百人に達し(ロイター通信)、昨年全体の死者数を上回っています。
会議は、アフガニスタンの司法システムを支援するため、三億六千万ドル(約四百三十九億円)を国際社会が支援することを決めました。