2007年7月5日(木)「しんぶん赤旗」
主張
巨額の軍事予算
ばかげたむだ遣いをなくそう
世界の軍事費を分析しているストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の二〇〇七年版年鑑によると、〇六年度の日本の軍事費(約四兆八千百億円)は、米、英、仏、中に次ぐ第五位だといっています。憲法で戦力不保持を決めた日本が軍事費大国となっていること自体重大です。しかも軍事予算には、「日本防衛」と関係のない、アメリカと日本の軍需産業を太らせるだけの巨大なむだが大きな比重を占めています。
軍事予算のなかの巨大なむだをなくすだけでも相当な規模の軍縮になり、国民生活のために回せる財源が確保できます。
理由が立たない
導入を決めたときの理由がなくなったのに、なお買い続けているむだな装備に陸上自衛隊の90式戦車があります。かつて政府が、ソ連の戦車部隊が北海道に上陸してきたときに対抗するために必要だと説明してきたものです。今年度も七十二億円を投じて九両を発注しました。合計で三百四十両、投入した税金は約三千億円にのぼります。一九九一年にソ連が解体し、対ソ戦の必要がなくなったのに、いまだに対ソ戦にしか使えない戦車を買い続けるのはばかげたむだ遣いとしかいえません。
海上自衛隊のイージス艦も同じです。ソ連のバックファイア爆撃機対策がうたい文句だったにもかかわらず、ソ連が解体しても政府は導入計画を中止もせず、「こんごう」型の四隻の就役に続き、今年から改良型を就役させます。「こんごう」型は一隻千二百億円、三月に就役した改良型の「あたご」と来年就役予定の「あしがら」は千四百億円です。ソ連が解体した以上、イージス艦を導入する理由は消えたはずです。北朝鮮のミサイル問題を持ち出して、問答無用の形でむだ遣いを続けるのは許されることではありません。
アメリカから導入する「弾道ミサイル防衛システム」もまた大きなむだ遣いです。今年度予算は約千八百億円ですが、どれだけ増えるか見当もつきません。技術もアメリカの科学者の多くは「ミサイル防衛」は未完成といっています。かりにアメリカでは成功したとしても、数分間で弾道ミサイルを撃ち落とさなければならない日本とでは条件はまったく違います。まだ技術が完成してもいないのに、アメリカいいなりにミサイル防衛システムを買い始めるのは新しい形のむだ遣いです。
むだ遣いの最たるものは米軍のための税金投入です。今年度の「米軍思いやり予算」は約二千百億円です。アメリカが世界各地の戦争に予算を回すことを可能にしています。
そのうえ、政府はアメリカいいなりに米軍再編経費の日本負担を決めました。「二百六十億ドル(約三兆二千億円)ぐらい」(ライト在日米軍司令官)の負担のうち、約六十一億ドル(約七千五百億円)は米国領グアムでの米軍基地建設費の負担分です。「日本防衛」と無縁の米軍再編に税金を投入するのは許せません。
軍事予算を圧縮
安倍政権と自民・公明両党は、住民税の大幅増税など国民犠牲を強めながら、軍事費のむだをなくそうともしていません。民主党も軍事費削減の旗をかかげられません。
日本共産党は、米軍への「思いやり予算」の廃止、イージス艦や海外派兵経費などの大幅削減、米軍再編のための三兆円負担の中止など、ふくれあがる軍事予算の大幅圧縮を要求しています。この党の参議院選挙での前進が国民生活防衛につながるのは確かです。