2007年7月4日(水)「しんぶん赤旗」

「ヤンキー先生」 自民立候補の波紋


 政府の教育再生会議で担当室長をつとめた義家弘介氏が、自民党公認で参院選に出馬します。

 義家氏は出馬表明の記者会見(六月二十五日)で「志のあるリーダーじゃないと教育は変えられない。最重要課題に教育を掲げる安倍内閣の下で、改革をしなければならない」とのべました。要するに、安倍政権の「教育再生」を国会で推進しようというのです。

 安倍流「教育再生」とは、「美しい国づくり」「戦後レジーム(体制)からの脱却」のための手段です。その内容は、教育への国家統制を際限なくつよめ、子どもや親、教員を一方で戦前・戦中の「規範意識」の鋳型にはめ、他方で一斉学力テストや上からの評価で不毛な競争に追いたてることです。

 また、会見で義家氏は「いま、逆風が吹いている。安倍政権への逆風もある」とものべました。消えた年金、閣僚の失態、憲法改悪、大増税…悪政の連続は、内閣支持率の急落を呼んでいます。そうした安倍政権への批判をかわすタテになろうと、再生会議の職も投げうったというわけです。

 政治的思惑をあらわにした“転身”に、伊吹文科相が「私なら(教育再生会議の)職を全うした」と批判したり、再生会議内部からも異論が出るなど波紋が広がっています。

 かつて国民が「ヤンキー先生」に共感したのは、「大人(おとな)たちよ、子どもの叫びを正面から受けとめよ」という、自身の体験に根ざした熱いメッセージでした。教育基本法改悪の動きに「まず子どもの声を聞け」と批判しました。ヤンキーだった自分をわが子のように慈しみ、人生を変えてくれた教師が加わる教員組合の運動と歩みを重ねました。

 しかし、いまの彼は百八十度違います。子どもの声を聞かずに決めた改悪教育基本法を高く評価し、その具体化に動く。基本法改悪に反対して国会前に座り込んだ教員たちをテレビで「学校に帰れ」と切り捨てる――。

 安倍流「教育再生」の露払い役に、かつての「ヤンキー先生」の面影はありません。(F)


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