2007年7月3日(火)「しんぶん赤旗」
イラク・バクバ 「テロ掃討」作戦
米軍、市民350人殺害
住民「犯罪だ やめさせてくれ」
スンニ派政党声明
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【カイロ=松本眞志】カタール衛星テレビ・アルジャジーラは一日、駐イラク米軍が実施している軍事作戦によってこの二週間でディヤラ州都バクバの市民三百五十人が殺害されたと報じました。イスラム教スンニ派のイラク・イスラム党(統一会派・イラク合意戦線所属)が公表した声明によるものです。
それによると、米軍はヘリコプターによる空爆などで百五十以上の家屋を破壊し、三百五十人以上の市民を殺害。遺体は埋葬されず、がれきの中に放置された状態だといわれています。
米軍は二月以降、首都バグダッドや西部のアンバル州で軍事作戦を強化してきました。攻撃を逃れて武装集団二千人以上がディヤラ州に移動したとされます。
米・イラク軍は六月十八日からバクバ(バグダッド北東五十七キロ)で一万人規模の軍事作戦を展開しています。
米軍は作戦について、国際テロ組織アルカイダの「せん滅」が目的だと説明していますが、イラク・イスラム党の声明は、米軍による住民に対する集団的懲罰だと非難し、武装グループと一般市民を区別するよう訴えています。
住民は、米・イラク軍が午後八時から翌午前八時、正午から午後五時まで戒厳令を敷き、市民多数を拘束していると証言。本紙の電話インタビューに応じたバクバ市の男性アマル・イスマエルさん(28)は「犠牲者の九割は一般市民だ。多くががれきの下に放置されたままか自宅の庭に埋められている。米軍の空爆が激しく、負傷者は病院に行くこともできない。市民は食料、水、電気がない状態で生活している。何の罪もない市民に対する米軍の犯罪行為をやめるよう世界中に呼びかけてくれ」と語りました。
イラク政府は六月度の暴力やテロによる民間人死亡者は千二百四十一人と発表しましたが、今回の軍事作戦の犠牲者を含んでいるかどうかは不明です。
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