2007年6月27日(水)「しんぶん赤旗」
ひき肉偽装
「解雇 」市民も批判
“会社の不正 押し付け”
ミート社、全員に方針伝える
事業拡大の裏で食品表示の偽装や異種肉混入などの不正行為を長年にわたって行ってきた北海道苫小牧市の食品加工会社「ミートホープ」(田中稔社長)は二十六日、全従業員約六十人に全員解雇の方針を伝えました。従業員からは、「何とかしてほしい」という声があがりました。不正のしわよせを労働者に押し付けるやり方に市民からも批判が起こっています。
解雇の対象はパートを含めると七十一人。会社側は、「事業存続が困難であるため」としています。一定の補償金を約束したといいますが、従業員は不安を募らせています。
商品の出荷を担当する男性従業員(57)は「いまさら何をいっても…。年だから、そう簡単に仕事は見つからないでしょう」と力なく話しました。
ミートホープで創業間もなくから働き、八年前に退職した女性(70)は、「はじめは十数人の小さな会社だったのに、こんなに事業が大きくなっているとは…」と、同社の変貌(へんぼう)ぶりに驚きを隠せません。
食堂やラーメン屋など小規模な取引から事業をスタートさせ、いまや、外食産業など親族らが経営する関連企業が十数社におよび、取引先にも加ト吉など大手企業の名前があがります。
女性が退職する一九九九年前後から、食肉加工場に派遣社員が入るようになったといいます。女性は、受けた注文を整理して食肉加工場に申し送る仕事をしていたため、「工場内部で具体的に何があったのかは詳しく分からなかった」と話します。
いまも同社で働く元同僚たちからは、派遣社員と中国人労働者をどんどん使うようになり、「社員やパートの待遇も悪くなっている」と聞いています。
女性は「事業拡大のなかで、働いている人たちは追い込まれていたのではないか。しかし会社の不正で労働者がクビを切られるのは重大なことです」と語っています。