2007年6月26日(火)「しんぶん赤旗」
米政権
NGOに資金提供
ベネズエラ「不安定化」狙う
米国から自立した社会変革をすすめるベネズエラのチャベス政権にたいし、米ブッシュ政権が民間機関や非政府組織(NGO)を使って、さまざまな干渉を行っていることが明らかになっています。ベネズエラ系米国人弁護士、エバ・ゴリンジャー氏がこのほど、米政府の干渉を示す新たな資料を入手して告発しました。(メキシコ市=松島良尚)
米国人弁護士が告発
同弁護士が明らかにしたのは、米国で最近解禁された公文書から発見した文書です。そのなかで米政府の国際開発局(USAID)や米議会が出資する対外支援団体「国家民主主義基金」(NED)が、二〇〇四年からベネズエラの学生運動やそのリーダーらに直接資金を提供している八つの「協定」があると明らかにしました。
そのうちの一つは、約三万九千ドル(約四百七十万円)の資金を受けている財団「国の育成」との協定です。同財団はベネズエラ中央大学の学生や教授らで構成され、学生リーダーを育成して「青年や大学を積極的な政治活動に再び組み入れること」を目的としています。
資金提供をうけた別のNGO「市民のリーダーシップと観点」も「大学生の役割」と題した研修会を開催しています。同団体の責任者は反政府派で知られる経済学者のヘルベル・トレス氏。同氏は最近、二〇〇二年のクーデター関与の責任を問われて放送免許の更新がされず閉鎖された民間テレビ局RCTVのガルニエル最高責任者とともに米政府の短波ラジオ放送局「アメリカの声」(VOA)の討論会に参加しました。
RCTV問題では、免許非更新に抗議する学生のデモ、集会が首都カラカスを中心に五月末から約二週間続きました。チャベス大統領は、米政権が学生らを操って、「不安定化計画」「ソフトクーデター」を進めていると繰り返し非難しています。
反政府派学生らのデモでは、白く塗った両腕を頭上で広げたり、警官にカーネーションを手渡す光景が目立ち、統制がとれた大規模な学生デモは、NGOの指導の反映とみられています。
ゴリンジャー弁護士は、米政府がNGOを通してだけでなく、メディアを通しても干渉していると指摘。駐ベネズエラ米大使館の招きで米国務省のプログラム「国際的リーダーシップ」に〇五年までに報道関係者三十人以上が参加していたことが解禁文書から明らかになったとし、数人の実名をあげました。