2007年6月23日(土)「しんぶん赤旗」
官僚専用の「特製ハローワーク」とは?
〈問い〉 公務員改革といいながら、官僚の再就職先をあっせんするために新たに「官民人材交流センター」というのをつくろうとしているとききました。それはどんなもので、どこが問題ですか。(大阪・一読者)
〈答え〉 「官民人材交流センター」は、国家公務員法改悪案に盛り込まれたもので、公務員の再就職のあっせんや援助、民間企業の職員の受け入れなど、官民人材交流を促進する機関としています。
内閣府に設置し、センター長には官房長官をあて、地方ブロックに支所を置くとしています。人数や予算規模は、明らかにしていません。業務の一部を、人材派遣会社に委託することを否定していません。
具体的制度設計は、官房長官の下に、有識者懇談会を置いて検討するとしています。
国家公務員法改悪案の最大の問題は、天下りの原則禁止を、原則自由に180度変えたことです。
現行、天下り規制は、離職後2年間、離職前5年間に在職していた国の機関と、密接な関係にある営利企業に就職できないとしています。ただし人事院の承認を得た場合には、この限りではありません。政府案は、この規制を全面的に撤廃しています。
この結果、現行法では認められない公共事業や建設業に大きな監督権限を持つ国土交通省の局長が、退職の翌日から大手ゼネコンの役職に就けることになります。
銀行の不正を検査し摘発する金融庁の検査局長も、退職した次の日から、検査される側の銀行の役職に就けるようになります。
天下り自由化法案であり、ますます官業癒着が深まります。政府は、各府省の予算・権限を背景にした押し付け的天下りを禁止し、内閣の下に置く「官民人材交流センター」が各府省の影響を排除し、一元的に再就職をあっせんするので、押し付け的天下りは根絶されるといいます。
しかし法案は、「官民人材交流センター」が「関係行政機関の必要な協力」をうけることができる仕組みになっており、各府省が関与できます。
そもそも国民が利用するハローワークと別に、官僚専用の「特製ハローワーク」を、国民の税金でつくる必要はありません。
官製談合にも見られるように天下りは厳しく規制する必要があります。
実効性ある天下り規制は、規制対象を民間企業だけでなく、公益法人や特殊法人などに拡大し、離職後2年間の規制期間を5年に延長するなど、現行法の抜本強化をはかることです。そして、公務員を定年までしっかり働けるようにすることです。(稲)
〔2007・6・23(土)〕