2007年6月21日(木)「しんぶん赤旗」
政党の「たしかさ」がこんなに必要なときはない
東京の演説会 志位委員長の訴え(大要)
十八日、東京・有明コロシアムで開いた日本共産党演説会の志位和夫委員長の訴え(大要)を紹介します。
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みなさん、こんばんは(拍手)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます。(拍手)
きょうは会場いっぱいに、こんなにたくさんのみなさんが足を運んでくださいまして、まことにありがとうございます。心からのお礼を申し上げます。(拍手)
比例の5人、“即戦力”の田村さん――首都・東京から二つの勝利を必ず
参議院選挙が目前に迫ってまいりまして、私は、連日のように全国をかけ歩いて訴えておりますが、「今度は日本共産党」、この期待の声が広がっていることを、ひしひしと感じております。
先々週の日曜日(三日)、大変うれしいニュースがありました。お隣の埼玉県の蕨(わらび)市で頼高英雄さんが当選して、日本共産党員の市長が誕生いたしました。(大きな拍手)
この参議院選挙は、私たちが力をつくし、がんばり抜けば勝利できる、前進できる選挙です。このチャンスを逃してなるものか。この決意で力をつくしてたたかいぬきます。(拍手)
政党を選ぶ比例代表選挙では、日本共産党と書いていただく方を広げに広げ、全国で六百五十万票以上の得票を得て、さきほどお話しした谷川智行さんはじめ五名の全員勝利を勝ち取りたい。そして東京選挙区では田村智子さんを何としても国会に押し上げていただきたい。(拍手)
私は、田村智子さんと、これまで何度も一緒に訴えてきましたが、実感していることがいくつかあります。
まず、田村さんが庶民の痛みをみずからの痛みとし、その解決のためにがんばる、温かいハートの持ち主だということであります。(拍手)
それから、一緒に訴えていて驚くのは、暮らしの問題から外交の問題まで、どんな問題でも、柔軟に、新鮮に対応できる。国会に出たら、“即戦力”間違いないということであります。(拍手)
そして、一度話を聞いたら、誰でもファンになる魅力の持ち主ではないでしょうか(拍手)。私はいつも一緒に訴え、何度も話を聞いておりますから、私もすっかり“田村ファン”であります。(笑い、拍手)
どうかみなさん、首都・東京から、比例でも選挙区でも、二つの勝利を必ず勝ち取らせていただきたい。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)
「消えた年金」――「一人残らず」「急いで」の原則で国民の受給権を守り抜く
さて、国会で熱い問題となっている「消えた年金」の問題と、自衛隊による国民監視問題について、まずホットなところからお話をしたいと思います。
歴代厚生労働大臣の共同責任が問われている
「消えた年金」問題は、たいへんな問題であります。なにしろ五千万件以上もの、国民の年金記録が「宙に浮いて」しまって、誰のものか持ち主不明になっている。それにくわえて千四百万件以上の持ち主不明の記録も出てきました。
持ち主が不明ということは、みなさんが年金の保険料をちゃんと納めていても、それにふさわしい給付が返ってこないということですから、これは国家的規模での詐欺行為だといわなければなりません。(「そうだ」の声、拍手)
なぜ、こんなことが起こったのでしょうか。いろいろな経過がありますが、政府は、一九九六年から九七年にかけて、基礎年金番号というものを導入しました。それまで厚生年金、国民年金と別々の番号がついていたものを、基礎年金番号という一つの番号に統合したのです。これ自体は間違ったことではないのですが、そのときに統合できない膨大な年金記録が出てきました。ところが、当時の厚生省は、そのことを知っていながら、国民のみなさんに明らかにしてこなかった。抜本的対策もとってこなかった。その結果が五千万件を上回る行方不明の年金記録ということになっているわけであります。
そうしますと、その責任が誰にあるのかも明瞭(めいりょう)になってまいります。ここに持ってまいりましたが、これは自民党がまいた、たいへん評判の悪いビラです。「ご心配はいりません」と書いてあるのですが、いくらそう言われても、まともな対策なしでは、みんな心配です。裏を見ますと、「基礎年金番号 設計・導入時の大臣は?」とありまして、菅直人さんだということが書かれています。もちろん、菅さんは、この時期の大臣として責任を免れないと思います。
しかし、自民党にそういうことを言う資格があるでしょうか(「ない」の声、拍手)。菅さんの後を継いだ厚生大臣は、ほかでもない、前の総理大臣の小泉純一郎さんではありませんか。その後、長いこと厚生労働大臣をやっていたのは、公明党出身の坂口力さんではありませんか。そしていまの柳沢伯夫さんにつながっている。歴代厚生労働大臣の共同の責任が問われているのではないでしょうか。(大きな拍手)
日本共産党は、幸か不幸か厚生大臣を出しておりません(笑い、拍手)。私は見苦しい責任の押し付け合いや、ひきょうな責任逃れはやめて、反省のうえにたって、真剣に解決のために力をつくせ、このことを言いたいと思います。(大きな拍手)
国が責任をもって緊急の対策を――日本共産党の提案
日本共産党は、国が責任をもって次のような緊急対策をおこなうべきだと提案し、実現のために力をつくしています。
一つは、いま国が把握している年金保険料の納付記録を、ただちにすべての受給者と加入者、一億人の国民に通知すべきだということであります(拍手)。いま社会保険庁には、たくさんの人が殺到して長蛇の列です。電話をかけてもつながりません。しかし、みなさん、「不安な人は問い合わせに来い」というのは、政府の取るべき態度ではありません。政府は、国民一人ひとりの納付記録をもっているはずですから、それを国の責任で一人ひとりに情報開示する。これをただちにやるべきだということを、まず求めるものであります。(拍手)
二つ目は、「宙に浮いた」膨大な年金記録と基礎年金番号をどうやって突き合わせるかということです。政府は、三条件――氏名と生年月日と性別――が一致した場合にのみ突き合わせをおこなうという方針でした。しかし、みなさん、それでは、ごく一部の人しか照合ができません。たとえば結婚して姓が変わってしまった場合は、はずされてしまいます。コンピューターの入力ミスで生年月日を間違えた場合も、はずされてしまいます。ですから私たちは、三条件がそろわなくても、部分的な一致でも、少しの手がかりでも、本人に問い合わせて、一つ残らず責任をもって持ち主の元に返せ、そのことを要求するものです。(拍手)
三つ目は、物証がなくても、申し立てや証言を尊重して支給するということです。この半年間でも、記録の誤りを申告したのに、お役所に行きましたら、「領収書をもってこい」などと二万人の人が却下されています。しかし、みなさん、何十年も前の年金の領収書を持っている人がいますか。給与明細でもいいというのですけれど、給与明細だって、何十年も持っている方はいないと思います。だいたい給与明細というのは見ると腹が立つものですから。(笑い、拍手)
記録をなくしたのは国の責任なのに、証拠を出せというのは、これは逆立ちしています。私たちは、国民だけに立証責任を負わせるやり方をあらためて、物証がなくても、たとえば厚生年金でしたら、同じ職場で働いていた人が「この人は働いていた」と証言する。国民年金でしたら、本人の申し立てに根拠があると判断される。そういう場合には、本人の申し立てを尊重して支給することを要求するものであります。(拍手)
みなさん、こういうことを国が責任をもっておこなうことが必要なのに、いま政府・与党は、そのめども示さず、手立ても取らないまま、社会保険庁を分割・民営化してしまおうとしています。その理由は、「親方・日の丸」だといって、現場で働いている人が悪いというのです。しかし、みなさん、一番悪いのは、「親方」じゃありませんか(「そうだ」の声、拍手)。総理大臣や厚生労働大臣の責任が問われているのではありませんか。(拍手)
現場の人たちに責任を押し付けて解体・民営化してしまったらどうなるか。もちろん、保険料の流用とか天下りをなくすなどの改革は必要ですが、いま社会保険庁をバラバラにして民間に売り渡してしまったら、国が責任をもって、この問題を解決する道が閉ざされてしまうではありませんか。ですから私たちは、この解体法案はきっぱり廃案にすべきだということを主張しています。(大きな拍手)
国民から取り立てる「能力」はあるが、財産を守り支給する能力なし
みなさん、この問題で何が問われているでしょうか。私は、問われているのは、いわば政治以前の問題だと思います。自民党には、国家の管理・運営能力がない、これが問題になっているのではないでしょうか。(拍手)
国民のみなさんからお金を取り立てる「能力」はたいへん発達していますが(笑い)、国民のみなさんから預かった大事な財産を守り、きちんと支給する能力がない。これは、政権党失格ではないかと、私は考えます。(大きな拍手)
日本共産党はこの問題について、二つの原則で解決に力をつくしたい。一つは、「一人残らず」、二つ目は「急いで」です。この原則で、国民の年金受給権を守り抜くために、最後まで力をつくすことをお約束するものです。(大きな拍手)
自衛隊による国民監視問題――「憲兵政治」の復活を許すな
もう一つ、自衛隊による国民監視の問題が、この間、大問題になっています。
自衛隊の内部文書――ありとあらゆる国民の活動が監視の対象に
自衛隊関係者から私たちに内部文書が届けられました。ここに、それを持ってきましたが、二つの種類の文書で、合計百六十六ページにおよぶものです。自衛隊の情報保全隊という総勢で九百人の部隊が、国民の運動を詳細に監視していた記録がぎっしり書き込まれています。イラク派兵反対運動から年金、医療、消費税、国民春闘の問題まで監視がおよんでいます。
それから映画監督、写真家、画家、ジャーナリスト、地方議会、国会議員、高校生、マスメディア――ありとあらゆる分野に監視がおよんでいます。
あの「寅さん」で有名な山田洋次監督の名前も出てきます。朝日新聞に、漫画家のやくみつるさんの痛烈な風刺の漫画が載りました。情報保全隊が遠くの方から双眼鏡で「山田監督」を見ている。それに対して、「山田監督」が、「それをやっちゃあ、おしまいよ」と言っている漫画であります(笑い、拍手)。監視は、こういう方にまでおよんでいるのです。
東京都ではどうなのか。東京都もたくさん出てまいりますが、一つだけご紹介いたしましょう。立川市でおこなわれた高校生のみなさんのピースウオークがこう記載されています。
「名称」―「イラク派兵おかしいよ 高校生から始まるPeace Walk」。「行動形態」―「集会・デモ」。「年月日」―「平成十五年十一月三十日」。「時間」―「十四時五分〜十五時九分」。「場所」―「新宿区曙一丁目公園」。「動員数」―「四十四名」。こんなに詳細に書いてある。
実は、「新宿区」という記載の部分は間違いでありまして、立川市の間違いです(爆笑)。この人たちの“情報能力”の水準がうかがわれます(笑い)。しかし、ともかく実に詳細に監視し、克明に記録しています。
国民の自由な意見表明に軍隊が圧力――憲法違反の許しがたい行為
こういう監視活動が全国でおこなわれていたことが、ぎっしりと記録されています。みなさん、こんなことが許されるでしょうか。これは憲法で保障された国民の自由な意見表明に対する圧力にほかなりません。(拍手)
やっているのは、強大な力をもった軍隊です。やり方は、知らない間にこっそりと集会やデモに紛れ込んでおこなっている。まさにスパイ行為です。そして、事細かに監視し、膨大な個人情報がここには書かれています。この二つの文書に出てくる個人名は、二百以上におよびます。わずか六週間でそれだけの個人データが蓄積されている。
みなさん、これは、国民の言論、集会、表現の自由を保障した憲法二一条、思想、良心の自由を保障した憲法一九条などをふみやぶった、まさに憲法違反の絶対に許されない行為ではないでしょうか。(大きな拍手)
政府・防衛省の居直りを許してはならない
さらに許せないのは、政府・防衛省の対応です。政府は、私たちが明らかにした文書を否定できなくなりました。久間章生防衛大臣は国会の答弁で、この文書についてこう言いました。「まったく根も葉もないものとは言えない」(笑い)、「(偽物)ではないという感じを受ける。作られたような気配はない」(笑い)。当たり前であります。これを作ることができるのは自衛隊以外にありません。文書を事実上、認めました。
認めますと、あとは居直るしかない。久間大臣はこう言いました。「集会に行って情報を集めて何が悪い」、「イラク派遣への反対運動から自衛隊員と家族を守るためだ」(どよめきの声)。こう言ったのです。
しかし、みなさん。立川市で高校生のみなさんがピースウオークをおこなった。これが自衛隊員と家族に危害を加えるとでも言うのでしょうか。
この前、憲政記念館で緊急の抗議集会をもちましたら、このピースウオークを企画した若者がこう言いました。「私たちは、自衛隊の隊員が、殺したり殺されることなく早く帰ってきてほしいと、願ってやってきたのに、このやり方は許せない」。そしてこうも言いました。「でも、高校生の活動でも、国を脅かす力があるんだと思った」(拍手)。「これからはもっと頑張って、政府全体を高校生の力で脅かしたい」(拍手)。こう若者が言いました。
みなさん、ここで居直りを許してはなりません。「軍の暴走」というのはエスカレートします。戦前も、憲兵隊というのがありました。最初は軍隊内部の秩序維持の機関だったのが、やがて国民弾圧の機関になりました。国民を逮捕し、裁判にかけ、監獄にぶちこむ。これを勝手にやるようになり、太平洋戦争の時期には、「憲兵政治」と恐れられました。みなさん、違憲・違法な自衛隊による監視活動はただちに中止せよ、憲兵政治の復活を許すな、この声をごいっしょにあげていこうではありませんか。(大きな拍手)
貧困と格差――財界中心の政治のゆがみをただす党でこそ打開できる
さて、参議院選挙で問われてくる争点は、なんでしょうか。いまいった二つの問題も大事な問題ですが、さらに大きな二つの問題が、争点になってまいります。
一つは、貧困と格差の広がりの問題です。
弱者を切り捨てる「棄民政治」とたたかい、暮らしの「命綱」として力つくす
いま、社会的に弱い立場にある国民を、行政が切り捨て、見殺しにする、民を棄(す)てる政治――「棄民政治」とでも呼ぶべき、冷酷無情な政治が横行していることを、私は告発したいのであります。
たとえば医療からの切り捨てです。『AERA(アエラ)』(二〇〇七年五月十四日号)という週刊誌が、「棄てられるがん患者」という特集の記事を書きました。“肺がんの末期で呼吸困難のある患者が、介護の手もないのに退院させられた。退院翌日に、訪問看護師が訪れると、指先や唇は青紫色に染まり、在宅用器具を使い、痰(たん)の吸引や酸素吸入をしているのは本人だった。介護ベッドもなく、ざぶとんに寝転んでいた。退院五日後に息を引き取った”。こういう実態がたくさん書かれています。「これでは新たな『棄民』ではないか」、「がん難民」が増えていると、きびしく告発している記事であります。
これが、医療費抑制の掛け声のもとで起きている事態です。さらに政府は、療養ベッドを三十八万床から十五万床へと大幅に減らそうとしている。こうした政府の姿勢にまさに責任があるということを、言わなければなりません。(拍手)
それから、介護からの切り捨てです。これは週刊誌の『エコノミスト』(二〇〇六年十一月十四日号)ですが、「給付抑制、自己負担増で溢(あふ)れ出す『介護難民』」という特集を書きました。昨年四月から実施された介護保険法の改悪で、お知り合いの方のなかに、車いすを取り上げられてしまった、電動ベッドを取り上げられてしまったという方がいらっしゃるのではないでしょうか。あるいは、特別養護老人ホームで暮らしているけれども、食費と医療費を「ホテルコスト」として取りたてられて途方にくれている、もう生きていけない、こうおっしゃっている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事ではそういう事態を告発し、冒頭に八十代の妻の声としてこういう声を載せています。「認知症で特別養護老人ホームに入居する夫の自己負担額が一気に増えた。払いきれなくなっても自宅には戻せない。夫婦心中するしかないのか」。みなさん、介護保険法を改悪したのは一体だれか。自民、公明、民主です。その責任がいまきびしく問われています。(拍手)
さらに、生活保護からの切り捨てです。これは毎日新聞(二〇〇六年十月二十六日付)ですが、「事前相談で門前払い? 生活保護、7割申請至らず」、という記事を書きました。福祉事務所で受け付けた生活保護の相談件数のうち、七割以上が門前払いになっている。わらにもすがる思いで申請窓口を訪れた人を、「まだ若い」、「家を売れ」、「親せきに面倒を見てもらえ」、こういって追い返すのです。これを「水際作戦」と呼んでいる。北九州市では、そのために餓死においこまれたという事件が、大問題になりました。
生活保護というのは、申請があった場合には必ず受理しなくてはなりません。受理した上で審査をする。受理そのものを拒否するのは、生活保護法違反なのです。国の号令で、切り捨て、抑制がおこなわれ、窓口が無法状態になっているというのは、私は許すことができません。(拍手)
みなさん、弱者が生きていけない社会でいいのか。「難民」といわれるような、人間としての尊厳も権利も奪われた人々を、大量に生み出す社会でいいのか。これが問われています(拍手)。私は、弱者を見捨て、切り捨てて、胸に痛みを感じない安倍内閣には、この国の政治のかじ取りをする資格はない。このことを言いたいと思います。(大きな拍手)
そして、日本共産党は、この選挙で「反貧困」を掲げ、貧困で苦しむ人々とともに、草の根でも、国会でも、その打開のためにたたかい、国民の暮らしの「命綱」としての役割を果たすために力をつくすことを、お約束するものであります。(大きな拍手)
第一の転換――税金の「逆立ち」をただす
貧困と格差を打開するために、政治はどういう責任を果たすべきか。日本共産党は、税金、社会保障、雇用、三つの分野での転換を訴えて、この選挙をたたかいます。
第一は、税金の「逆立ち」をただすということであります。昨年六月、住民税の大増税が庶民の家計を襲い、たいへんな怒りが沸騰しました。定率減税を半分にした結果であります。ところが、今年の六月、いま進行中ですが、定率減税を廃止したことによる一兆七千億円もの増税が、住民税の増税という形で、庶民の家計に襲いかかっています。サラリーマン世帯では住民税が二倍になる。お年寄りの場合は、二倍から四倍です。
実は、私の母は、今年で八十歳ですが、元気に暮らしております。早朝に私の家に突然電話がかかってきました。早朝の電話ですから、何事が起こったのかと取りましたら、「いったいどうなっているの」という怒りの電話です。「お母さん、どうしたの?」と聞くと、「住民税が、これまでの何倍にもなった」、「どうなっているの」、「いったい何してるの」(爆笑)。激しい剣幕です。そういう怒りの声があちらこちらで起きているのではないでしょうか。
政府は大あわてで、ごまかしの広告を始めました。これは電車の中づり広告です。ご覧になった方がいるのではないでしょうか。「六月から住民税額が変わります。所得税と住民税を合わせた納税額は税源移譲によっては基本的に変わりません」と書いてある。つまり、いまの増税は、税源移譲――国から地方に税を移したために起こっているのであって、「変わらない」と宣伝しているのです。ごまかしの宣伝です。
しかし、いくらこんな宣伝をしても、実際に増税になっているのは、否定のしようがない。ですから、小さく下のほうに、読めないような小ささで、「ただし、別途、定率減税の廃止による負担増が生じます」(笑い)。これを大きく書かなければならないじゃないですか。(拍手)
みなさん、こんなごまかしをやって、国民の怒りがしずまるとでも思っているのでしょうか。とんでもない。これをすすめた自民・公明には、きびしい審判が必要であります。(大きな拍手)
私たち日本共産党は、住民税増税はいまからでも中止せよ、すでに増税した分は「戻し税」方式で国民に返せ、そしてその先の消費税増税などとんでもない(拍手)、税金は空前の大もうけをしている大企業と大資産家に応分の負担を求めるべきだ(拍手)、このことを掲げてがんばりぬきたいと思います(拍手)。どうかよろしくお願いします。(歓声、大きな拍手)
第二の転換――「緊急福祉1兆円プラン」の実現を
第二は、社会保障への国の責任を果たさせようということであります。
いっせい地方選挙では、高すぎる国保料や介護保険料が大問題になりました。国保や介護というのは、直接の窓口は自治体なのですけれども、根っこには国の社会保障への責任放棄があります。
なぜ、あんなに国保料が高いのか。それは、国保財政への国庫負担――国の負担をこの二十年間に、50%あったものを35%まで減らしてしまった。額にして一兆六千億円も国の負担を減らした。これが高すぎる国保料になってあらわれているのです。
介護保険料が、どうしてあんなに高いのか。菅さんが厚生大臣をやっていたときに、介護保険というのをつくりました。それまでは介護にかかる費用の50%を国がみていたのに、25%に一気に減らしました。それが高すぎる介護保険料になっているわけです。
日本共産党は先日、政策を発表しまして、「緊急福祉1兆円プラン」というものを、そのなかで提案いたしました。つぎの五つのことを緊急課題として実行させようというものです。
第一に、国保では、減らした一兆六千億円のうち、せめて四千億円をもとに戻せ(拍手)。そうすれば国保加入者一人あたり、一万円の国保料の引き下げが、国の責任において実施できる。これをやらせようではないか。(拍手)
第二に、介護では、25%まで減らした国の負担割合を、せめて5%戻して30%に引き上げよう(拍手)。これは全国の市長会、町村会が一致して要求していることでもあります。そうすれば値上げをしないですみます。そして国の制度として、介護保険料の減免制度をつくることができます(拍手)。これに必要なお金は、三千億円です。
第三に、子どもの医療費の無料化は、みなさんの運動で、四十七都道府県で実現しました。それならば国の制度にするべきではないでしょうか(大きな拍手)。小学校就学前まで国の制度にする。千九百億円でできます。国が制度をつくりましたら、自治体がさらに上乗せすることができます。(拍手)
第四に、障害者「自立」支援法による負担増は撤回させる(拍手)。これは障害者のみなさんには待ったなしの課題です。
第五、生活保護の問題では、切り捨てられた老齢加算と母子加算を復活する(拍手)。そして私も国会で取り上げましたが、母子家庭、一人親家庭への児童扶養手当を最大半分にまで削ってしまおうとしているわけですが、これは中止する。(拍手)
みなさん、この五つです。国保、介護、子どもの医療費、障害者、生活保護――すべてやるのに、一兆円あればできます。これを実現しようではないかというのが私たちの提案ですが、いかがでしょうか。(大きな拍手、歓声)
私がそういうことを言いますと、すぐに「財源はどうするの?」と相手は言ってくると思います。しかしみなさん、一兆円なんて「安い」ものですよ(笑い)。といっても私も、見たことも、触ったこともないですけれど(笑い)。なぜなら国の予算は、年間で約五十兆円ですから、たったの2%です。
だいたい政府は、米軍に要求されれば、グアムに海兵隊の基地などをつくってやるというので三兆円もポーンと出そうとしているではありませんか(「そうだ」の声)。財界に要求されたら、さらに法人税を減税して、五兆円から六兆円という減税のばらまきをやろうとしているではありませんか。それとくらべたら、みなさん、一兆円なんて少ないものですよ。(大きな拍手)
要は政治の姿勢いかんだと思います。どうか共産党を前進させて、「緊急福祉1兆円プラン」を、実行させようではありませんか。(歓声、大きな拍手)
第三の転換――人間らしく働けるルールをつくれ
第三は、人間らしく働けるルールをつくれという要求です。
さきほども谷川さんが、「ネットカフェ難民」のことを話していました。アパート代も払えず、ネットカフェで夜を過ごす若者が急増しています。いすに体も伸ばすことができず、丸まって眠るのです。そして、日雇い派遣といって、一日一日単位での細切れの派遣労働に従事している。
先日、明治公園で全国青年大集会がありまして、そこで二年間、ネットカフェで暮らす若者が発言しました。「働いても働いても、アパートを借りる敷金、礼金も手に入れることができない」という訴えです。この若者が最後に言った言葉が、忘れられません。「明日の心配をせずに、生活をしたい」。
みなさん、若者というのは、明日の心配ではなくて、未来の問題を考えて、未来に夢やロマンや希望をもって生きる権利をもっている、この特権をもっているのが若者ではないでしょうか(拍手)。その若者に、明日の生活、明日の生死すら分からないような生活を強いているというのは、政治の責任は重い。
この間、財界は、正社員から、パート、アルバイト、派遣へと、仕事のあり方を大きく悪くする動きをすすめてきました。後押ししたのは政治です。派遣労働の自由化をすすめた法律には、自民、公明、民主が一緒になって賛成しました。ここまで若者を追いつめた財界と政治の責任は重いのではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)
しかし、みなさん、私は、大きな希望があるということをご報告したい。若者たちが、この現状に屈しないで、職場の無法を告発し、労働組合をつくり、たたかいに立ち上がっています。明治公園の集会には、三千三百人の若者が集まりました。三千三百人のすべてが若者ですから(笑い)、これはなかなか壮観です。私も訴えていて、感動で胸が熱くなりました。
私は、若者はいったい何に怒って立ち上がっているのか、一人ひとりの発言を聞きました。松下プラズマというところで「偽装請負」とたたかっている若者は、このように言っています。
「人間を奴隷のように物のように扱うことは許せません。私は人間としての尊厳をかけてたたかっています。仲間のためにも負けるわけにはいきません」(拍手)
私は、この言葉を聞いて胸が熱くなりました。いま若者が怒っているのは、賃金が低い、有休がとれない、そういう問題だけではありません。血がかよう人間なのに、使い捨てのモノのような労働を強いられている。そのことに心の底から怒り、人間の尊厳をかけて、たくさんの若者が立ち上がりつつある。これは日本の未来に大きな希望があることを証明するものではないでしょうか。(拍手)
こうした若者の運動とスクラムを組んでたたかっている政党は、日本共産党だけです。私たちは今度の選挙を、若者たち、職場に働くみなさん、その家族とスクラムを組んで、職場から「サービス残業」と「偽装請負」という二つの無法を一掃し、長時間労働と過労死をなくし、そして最低賃金――時給で六百七十三円というのが全国平均ですが、これではとても生きていけません――最低賃金はせめて時給千円以上、これを全国一律の制度として確立することを求めてたたかい抜きたいと思います。(拍手)
「財界ひもつき」の党では、格差解決はできない
みなさん、貧困と格差の問題について、税の問題、社会保障の問題、雇用の問題での「三つの転換」ということを申しました。どの問題も、解決しようとしますと、異常な財界中心の政治のゆがみにぶつかってきます。ですから、この問題を解決するには、「財界ひもつき」の党ではできません(「そうだ」の声、拍手)。日本経団連に通信簿をつけてもらって、「A・B・C・D・E」という五段階の評価をつけてもらって、献金をもらっている自民党や民主党では、貧困と格差の問題を解決することはできません。(大きな拍手)
日本共産党は、今年で党をつくって八十五年ですが、戦前・戦後の歴史を通じて財界から一円も一銭もお金をもらったことはありません。みなさん、この清潔な党を伸ばしてこそ、暮らしを守る一番たしかな力になるのではないでしょうか。どうかよろしくお願いいたします。(歓声、大きな拍手)
憲法改定――9条を守ろうという願いはこぞって日本共産党に
もう一つの争点は、憲法改定の問題です。
安倍首相は、「参院選で憲法問題を争点にする」と言いました。私たち日本共産党は、ならば正面から受けて立ち、論戦で改憲派を追いつめ、日本共産党の前進で憲法改悪のくわだてに痛打を与える選挙にしていきたい。この決意でがんばりたいと思います。(拍手)
何のための改憲か、その正体がはっきりした
安倍内閣になって、憲法問題をめぐってたいへん危険な状況が生まれましたが、同時に矛盾が広がり、問題が見えやすくなりました。
第一に、何のための憲法改定か、その正体がはっきり見えてまいりました。
この点では、前の首相の小泉さんは、“ごまかしの達人”でした。私は、小泉さんと討論会などでずいぶん論争したものです。私が、「憲法を変える目的は、海外で戦争をする国をつくることにある」、こう言いますと、小泉さんはいつも決まってこう言うんです。「いやいや、そんなことはありません。憲法を変える目的は、自衛隊が現に存在しているのだから、それを書き込むだけです。海外で戦争するなんて毛頭考えていません」。
こんな調子です。ごまかしつづけました。小泉前首相はイラクに自衛隊を派兵しましたが、それもごまかしました。「戦闘地域に行くのではありません」、「武力の行使はいたしません」、「後ろのほうで水をまいているだけです」(笑い)。ごまかしてばかりいました。
しかし、安倍首相はかなり正直なのです。安倍首相が繰り返し語ってきたフレーズは次のようなものです。「『米国と肩を並べて武力行使をする』、これは憲法改定なしにはできない」。私は、これを聞いて、語るに落ちるとはこのことだと思いました。これは憲法改定の目的が、イラクのような先制攻撃の戦争に、「米国と肩を並べて」参戦する国をつくることにあることを、自ら宣言したものにほかなりません。
安倍首相は「肩を並べて」というのが好きなんです。「自主憲法をつくる」ともいいます。いかにも日米が「対等」になるかのようなことを言いますけれど、これまったく逆であります。
なぜならば、いまの改憲のシナリオを書いたのはアメリカだからです。アーミテージさんという元国務副長官が、二度にわたって対日報告書を書きました。「集団的自衛権を行使しろ」、「憲法改定に踏み込め」と、繰り返し圧力をかけました。アーミテージ氏は「憲法九条は日米同盟の邪魔物だ」、ここまでいいました。よくも人の国の憲法をつかまえて、「邪魔物」といってくれたものだ、「邪魔物」というのだったら、日米同盟こそ「邪魔物」だと私は言いたい。(「そうだ」の声、大きな拍手)
こういうアメリカの圧力にこたえて、世界に誇る私たちの憲法九条を売り渡そうというわけですから、「自主憲法」どころか、まさに国を売る政治、最悪の売国政治ではありませんか。(大きな拍手)
過去を反省しない「靖国」派が、憲法改悪を推進する危険
第二の問題は、その憲法改悪を推進する勢力の中心に、「靖国」派がすわったということです。
私たちが「靖国」派と呼んでいるのは、かつての日本がおこなった侵略戦争を、「自存自衛の戦争」「アジア解放の正しい戦争」だったと、いまだに思い込んでいる、世界にもまれな勢力、もっとはっきり言えば日本にしかいない異常な勢力のことであります。
戦後、ずっとこの流れは続いてきました。その動きが活発になるのは一九九〇年代です。九三年に「河野談話」といって、「従軍慰安婦」問題への旧日本軍の関与を認める談話が出されました。九五年に「村山談話」といって、不十分ですが侵略と植民地支配への「お詫(わ)びと反省」をのべた談話が出されました。この二つの談話を見て、「靖国」派は、「これは大変だ。ひっくり返さねば」という動きを強めます。そして、その流れを総結集して、一九九七年につくられたのが、「日本会議」という集団なのです。
そのホームページを見てみますと、十年前に彼らがどういう思いでこの組織をつくったかが書かれています。「美しい日本を再建し、誇りある国づくりを目指した新しい国民運動がスタートしました」。「美しい日本」、どこかで聞いたことがある言葉ですね。(笑い)
「日本会議」は、その後、「憲法改正」、「教育基本法改正」、「靖国公式参拝の定着」、「夫婦別姓法案反対」、「より良い教科書を子供たちに」――歴史をゆがめる教科書を押し付けるという話です――などを掲げて、まさに「靖国」派の総本山としての活動を始めます。
私は、安倍首相が「美しい国」というスローガンを掲げたときに、何かこれは怪しい、気味が悪いと感じました。みなさんいかがでしたか(拍手)。一般的に「美しい」というのは結構だけど、どうも安倍さんが言い出すと、これは危なかしいと思った、そのルーツは「日本会議」にあったのです。
しかも、この「日本会議」の文書には、「美しい日本の再建」と書いてあります。「再建」となれば、かつてあった体制の「再建」です。いつのことでしょう。まさか縄文時代のことではありますまい(笑い)。戦前・戦中の体制です。安倍首相は、「戦後レジーム(体制)からの脱却」ということも繰り返し言います。しかし、「戦後体制」とはなんでしょう。日本国憲法で規定されている主権在民、恒久平和主義、基本的人権などの体制でしょう。それから「脱却」して一体どこに行くというのでしょうか。昔に戻ろうというのです。ですから、「美しい日本」というスローガンは、軍国主義復活のスローガンだと、私はきびしく告発したいと思うのであります。(大きな拍手)
安倍晋三さんという政治家は、この流れのなかで突出して右翼的な立場で名を売り、身を立て、首相にまで上り詰めました。ですから安倍内閣は、十八名の閣僚のうち十五名まで「日本会議」の関連団体に属する「靖国」派です。亡くなった松岡利勝前大臣も「靖国」派でした。その後に、農水大臣に誰がなるかなと思って見ていましたら、赤城徳彦さんという政治家が任命されましたが、この人も「日本会議」議連のメンバーです。「靖国参拝を支持する若手議員の会」の会長代行をやっています。私は、それを見て、「安倍内閣に入るには『靖国』派という“メンバーズカード”が必要なんだな」と痛感したしだいです。(笑い)
この安倍さんが首相になったわけですから、私はこれはたいへんだと思って、去年秋の臨時国会で、戦争の問題、歴史の問題について、一時間ほど時間をかけて、正面から議論をいたしました。そうしましたら、安倍首相は、さすがにこれまでと同じ主張を続けるわけにいかなくなって、「村山談話」と「河野談話」を「認める」ということを、私との論戦のなかで言いました。
そこで私は、それならばと、もう一問聞きました。「それなら過去の日本の戦争を、間違った戦争と認めますか」。これをいろいろな角度から聞きました。しかし私が、何度聞いても、この設問には答えてこないのです。首相はごまかしてこういう答弁をおこないました。「政治家が歴史観を語ることには謙虚でなければならない」(笑い)
しかし、問題になっている戦争というのは、ナポレオンがヨーロッパでやった戦争ではないのです。この二十世紀に、日本がやった戦争なのです。それについて日本の内閣総理大臣が是非を言えないというのは、これは「謙虚」ではなくて、「無責任」というのが正しい日本語の使い方ではないでしょうか。(拍手)
私は、この論戦を通じて、「やっぱり『靖国』派の本音は変わらないな」と感じました。本音というのは言葉にでてきます。それからしばらくたって、「従軍慰安婦」の問題について、「強制連行はなかった」などという恥ずかしい発言をして、いま世界中の批判をあびています。
過去の侵略戦争を正しかったと思い込んでいる勢力、つまり戦争の是非の判断もつかない勢力が、憲法を変え、武力で海外に打って出る、これ以上の危険はありません。これを許してはなりません。(大きな拍手)
9条の目指す方向こそ世界の流れ――改悪反対のゆるぎない国民的多数派を
世界の動きはどうでしょう。一つ、みなさんにニュースを紹介したい。この三月、ボリビアからモラレス大統領が来日し、安倍首相と首脳会談をやっています。外務省のホームページを開くとその記録が出てきます。いまラテンアメリカでは、次つぎと左翼政権ができて、空前の民主的変革の波が、あの大陸をおおっています。ボリビアでも左翼政権ができて、その大統領がモラレスさんです。首脳会談でモラレスさんがなんと言ったか。外務省のホームページによると、「同大統領は、現在進めている憲法改正において、戦争放棄を盛り込みたいと説明した」(拍手)。残念ながらこれに安倍首相がなんと答えたのかは書いてありません(笑い)。困ったのかもしれません。ボリビアでは、四万六千人の軍隊があるそうですが、“もう軍隊はいらない、警察だけで十分だ、憲法改正をしよう、日本の憲法九条を模範にしよう”という動きになっている。これが世界の流れです(拍手)。その時に、模範にされている九条を捨ててしまおうというのですから、これ以上の世界の流れへの逆行はない、ということを私はいわなければなりません。(大きな拍手)
みなさん、改憲派はいろいろな仕掛けをつくりますが、どんな仕掛けをつくっても、国民の多数が「ノー」といえば憲法改悪はできません。ですから日本共産党は、国民のなかで「憲法改悪反対」の一点で揺るぎない多数派をつくるために力をつくすことをお約束するものです。(大きな拍手)
同時に国会での力がもっとほしい。九議席では足りません。今度の選挙で日本共産党の議席を伸ばすことが、憲法九条を守る一番たしかな力を伸ばすことになるのではないでしょうか。九条を守ろうという願いはこぞって日本共産党にお寄せください。よろしくお願いします。(歓声、大きな拍手)
いまこそ「たしかな野党」のがんばりどころ
みなさん、こういうなかで日本共産党の議席を伸ばすことが、どういう値打ちを持つのか。今度の選挙で、私たちは「いまこそ必要 たしかな野党」をスローガンにたたかっております。「たしかな野党」というのは、前の総選挙から使っているものですが、それに「いまこそ」とつけたところがみそであります。
つまり政党の「たしかさ」、「揺るぎなさ」、それがこんなに求められているときはないという思いを込めて、「いまこそ必要」というスローガンを掲げたということをご理解いただきますと幸いです。(拍手)
安倍・自公政権の暴走にストップをかける一番たしかな議席
日本共産党の議席は、安倍・自公政権の暴走にストップをかける一番たしかな議席になります。これは、私が言ってるだけではありません。相手も言っていることです。
私は、五月三日に日比谷公会堂でおこなわれた憲法記念日の集会のスピーチで、安倍政権を「靖国」派政権と告発しました。それに一番早く反応してきたのが「日本会議」なのです。ホームページを開いてみましたら、「日本会議首都圏地方議員懇談会」という組織のホームページにつぎのような記事が出てきます。見出しは、「日本共産党の志位委員長が、日本会議を名指しで批判」。こう書いてあります。「全国に『九条の会』という護憲の市民組織を設立し、」――これは広い人々と共同してとりくんでいるものですが――、「国民投票において改憲を阻止しようとする日本共産党。それに対して、私どもは、自民党や民主党などの『新憲法制定派』議員と連携して、全国三百支部を結成して我が国の真の独立と国益を守ることができる新憲法を制定しようとしているわけです。この対立構図が今後、ますます鮮明になってくると思われます。日本共産党に対抗して、新憲法制定の草の根ネットワークを広げていきたいと思います」。
みなさん、相手も「草の根」でやると言っている。そして相手が憲法改定の正面の「敵」は日本共産党だ、いちばん「たしかな敵」と言っているのですから、私は、その「期待」に応えて大いにがんばりたいという決意であります。(大きな拍手)
「政教一体」で「悪政戦犯」――公明党・創価学会の危険な役割
もう一つ見ていただきたい問題があります。この政権で、コンビを組んでいる公明党とはいかなる党かという問題です。
公明党は、この前のいっせい地方選挙で、日本共産党に対してさんざん口汚い悪口を言いました。これが宗教を語る人の言葉なのか、と思うひどい悪口を言いました。日本共産党はそれに対して、品性をもち(笑い)、品格をもって(笑い)、堂々と反撃をいたしました。
しかし、ここまで共産党に対する無体な攻撃をしてくるわけですから、今度の参議院選挙では、私たちは正当な“自衛の権利”を行使して、公明党とはいかなる党かについて、国民のみなさんにきちんとお伝えしていきたいと考えているしだいであります。(大きな拍手)
一つは、公明党とは、「悪政戦犯」の党であります(拍手)。公明党は、自民党のやることに、何でも賛成しているだけの党ではありません。端的に言いますと、自民党の暴走にブレーキを踏むようなふりをして、アクセルを踏んでいる(笑い)。これが公明党の正体ではないでしょうか。(拍手)
「年金の財源」といって、「定率減税の廃止」を言い出した。「増税戦犯」というきびしい批判が、いまこの党によせられています。教育基本法の改悪も、改憲手続法もブレーキを踏んだのではありません。早くやれとけしかけ、アクセルを踏み、選挙にかかる前に片付けてしまえと安倍首相に迫ったのが、公明党であります。
ですから、みなさん。公明党は、いっせい地方選挙で、全国でも、東京でも、得票を減らしました。東京でおこなわれたいっせい選挙では、公明党は市区町村議選挙で、約一万票の得票を減らしました。日本共産党は、約二万票を増やしています。国民の審判は、はっきりあらわれたのではないでしょうか。(大きな拍手)
いま一つは、公明党と創価学会の「政教一体」の羽目が外れてしまったということです。いっせい地方選挙を彼らは、どうやってたたかったのか。実は二月の聖教新聞に、池田大作氏がペンネームで、長い「詩」を書いているのです。これが「詩」なのですが、たいへん長いもので三日連続出ています。最後に、「勝ちまくれ、また勝ちまくれ」と号令をかけています。これで、選挙をやっていたわけです。
そして、選挙が終わった次の日の聖教新聞を持ってまいりましたが、一面トップで「全国が完勝 同志に感謝 『戦い切った』喜びの勝鬨(どき) 広宣流布へ! 『法華経の兵法』で快進」「全国に創価完勝の旗が翻った」とあります。つまり公明党が勝ったことを、創価学会の勝利だと臆面(おくめん)もなく誇っているのです。ここまで露骨にやったのは今回が初めてでしょう。四年前は、まだ控えめに載っています。
さらに、この参議院選挙に向けて、今度は六月に池田大作氏の実名で、また長い「詩」を書いて、「この決戦を断じて勝ち抜け」と号令をかけています。
かつて、一九六九年に、創価学会は言論出版妨害事件というのを起こしたことがあります。社会からきびしい批判を浴びて、池田大作氏は猛烈に反省する――、「猛省」発言というのをいたしました。“もう二度といたしません”。“かたくなな反共主義はとりません”。“選挙は党の仕事として立て分けます”。世間に約束したのです。
ところが公明党が与党に入った翌々年の二〇〇一年、池田大作氏はペンネームでの文章で、過去の言論出版妨害事件について、あれは「仏敵」の「極悪の非難」から「正義の信仰」を守り抜いた闘争だったと、正当化する発言をしました。当時の不破哲三議長は、「31年前の『猛省』は世をあざむく虚言――ウソだったのか」ときびしい批判の論文を書きましたが、都合の悪いことには聞かぬふりをして六年間だんまりを決め込んでいます。
約束したはずの「政教分離」は投げ捨て、大々的に「政教一体」が復活しました。さらに重大なことは、「仏敵撲滅」論がむき出しの形で復活していることです。これは、自分はいつも「仏」、批判するものは「仏敵」であり、「撲滅」の対象にするというものです。これは怖いです。私は、自民党の批判をします。しかし、「自民党撲滅」とは口が裂けてもいいません。なぜなら、政治的立場の違いはあっても、お互いにその存在を認め合うというのが民主主義社会の原則だからであります(拍手)。みなさん、そのことがわからない、そういう集団が政権中枢を握っているというのは、日本の民主主義の前途を危うくするのではないでしょうか。(大きな拍手)
“最悪コンビ”の暴走を止めるには、たしかな立場、勇気、信念が必要
このように私たちが相手にしている勢力は、生半可ではない、なかなかの相手です。かたや「靖国」派、かたや「政教一体」。このコンビです。かたや侵略戦争を反省しない、かたや言論妨害を反省しない。みなさん、これ以上悪いコンビは考えつかないぐらい(笑い)、“最悪のコンビ”といわなければならないのではないでしょうか(拍手)。いま、このコンビが暴走しています。そういうコンビの暴走に正面から立ちはだかり、止めようとしたら、たしかな立場、勇気、信念が必要ではないでしょうか。「たしかな野党」――日本共産党のがんばりどころだということを、私は訴えたいのであります。(大きな拍手)
民主党――暴走を止め、政治を変える力にはならない
そして、日本共産党の「たしかさ」は、民主党の「ふたしかさ」と比較しますと、よりはっきり見えてまいります。
民主党は、「対決路線」ということをいいますが、腰が定まらない。なぜならば、いっしょに間違った政治を進めてきたからです。
「格差是正」ということをいいますが、派遣労働の自由化、介護保険法の改悪、母子家庭への児童扶養手当の削減、大企業減税の推進、これをいっしょになってすすめてきたではありませんか。「是正」というのならば、自分の反省をするのが先ではないかと、私は言いたいのです。(拍手)
憲法にかかわる法案では、防衛省への格上げ法案に賛成し、教育基本法の改悪や、改憲手続法では、同じような内容の「対案」を出して、強行に事実上協力しました。憲法九条を変えて海外で「戦争する国」をつくることでは、同じ流れにあるからです。そしてこの党は、党内に「靖国」派の議員をたくさんかかえています。
私は言いたい。民主党では、安倍「靖国」派政権の暴走を止めることはできません。政治を変える力にはならないということを、はっきり言いたいと思います。(「そうだ」の声、大きな拍手)
「たしかな野党」のがんばりが、未来の「たしかな与党」への道を開く
最後に、私は訴えたい。「たしかな野党」の議席を増やしてこそ、本物の民主的政権への道が開かれるということを、訴えたいのであります。(拍手)
「たしかな野党」というのは、いつまでも野党でいることがたしかだという意味では決してありません(笑い、拍手)。私たちは、二十一世紀の早い時期に、「国民が主人公」の民主連合政府、アメリカいいなりと、財界中心という政治のゆがみを大本から改革する民主的政権をつくることをめざしています。しかし、こんどの選挙で政権をめざすのは、ちょっと早いですね(笑い)。ですから、いまは「たしかな野党」としてがんばる。いま「たしかな野党」としてがんばることが、未来の「たしかな与党」への道を開くのではないでしょうか。(大きな拍手)
日本共産党をのばせば、必ず国会が変わる
みなさん、いま日本共産党の参議院の議席は九つですが、一つ増えましたら、不当に制限されている本会議質問が、自由にできるようになります。そして国会での首相との党首討論で、私が再び発言ができるようになります(拍手)。私は、毎回、委員会に出席し、「発言させろ」というのですけれども、私の口をみんなで抑えて発言させないのですが、十議席になったら、だれがどう抑えようとも、私の発言を止めることはできません(拍手)。そして党首討論を再びできるようにさせていただきましたら、かならず面白い場面をみなさんに提供することをここにお約束したいと思います。(大きな拍手)
二つ増えたらどうなるか。二つ増えると、議案提案権というのがもてまして、国民のみなさんの願いを法案の形で提出できるようになります。三つ増えたらどうなるか。いくつ増えてもかまいません。(笑い、拍手)
ぜひ今度の選挙、大激戦の首都・東京で、比例代表での勝利とともに、田村智子さん、何が何でも押し上げていただいて、みなさんの代表として、参議院で縦横に活躍させていただきますよう、二つの勝利を必ず勝ち取らせていただきますよう、みなさんの絶大なご支持・ご支援をお願いいたしまして、私の話を終わります。私も全力をあげてがんばります。ありがとうございました。(大きな歓声と拍手)