2007年6月18日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

GO豪快な GO号外で!!

温暖化防止

地球を救う“やさしい一歩”


 「未来は今、選べる。地球温暖化は止められる」。そんなメッセージを込めた3000万部の号外を夏至の今月22日までに、日本中の街頭や地域で配り、キャンドルの明かりで読もうと呼びかけるプロジェクトが進行しています。一翼を担うのは多数の10代、20代。彼ら・彼女らを突き動かす「地球を救うやさしい生き方」の魅力とは。(杉本恒如、平井真帆)


 「今世紀末の気温、最悪の場合六・四度上昇」。こんな見出しが今年の春、新聞紙面に躍りました。

 全世界から数百人の専門家が集まってまとめたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告です。地球温暖化がこのまま進めば、水不足で農業は大打撃を受け各地に飢餓をもたらす、二・五度の上昇でも、生物種の最大30%が絶滅する、などと警告しました。

 「知ったら戻れないよね」。多くの青年が足を踏み出しています。温暖化を考える今回の取り組みは、「豪快な号外」を配る企画の頭文字をとり、「TEAM GOGO!2007」と名付けられました。二月の発足以来、インターネットや口コミを通じてすでに一万五千人以上がボランティアメンバーに登録。集まった募金は約八千六百万円にのぼります。

費用はすべて募金

 印刷、配送、宣伝の費用をすべて募金でまかない、全国のメンバーが配布します。温暖化の予測を漫画で分かりやすく伝えたり、憲法九条を世界に広げ、最大の環境破壊である戦争をなくすことなども提案しています。

 全国各地で、夏至から三夜にわたり電灯を消して環境問題を考える「百万人のキャンドルナイト」に向け、中旬から号外を配り始めています。

 企画はユニークな遊び心に満ちています。号外の配布を取り仕切る市町村のリーダーは「虹の天使」。百万円の募金集めを目標に掲げる人は「百万番長」と、互いを呼び合います。

 各テレビ局前で宣伝をしたり、渋谷の街中で人目を引くダンスパフォーマンスをしたり。メンバーたちは、自分の住む地域で自主的にアイデアをしぼり行動します。

 東京都品川区の「虹の天使」を買って出たのは、大学二年生の中里弥生さん(19)です。百人以上の友人から募金を集め、週五日行う駅前での宣伝にも参加します。「CO2って先進国に住む私たちにしか削減できないんです。だって、もともとエコ生活している途上国の人たちには減らせないでしょ」

 中里さんは、むだを省く生活を心がけ、レシートも捨てずにメモ用紙に使っています。「数十年後の子どもたちには、アザラシやホッキョクグマが、私たちにとってのマンモスになっちゃうかもしれない」。あふれる思いを友人に伝え、仲間を広げています。

 「好きだもん、地球が」。大学で野生動物学を学んできた椎野綾さん(21)は、中里さんから企画の趣旨を読み聞かされた瞬間に、「あっ、やるっ」と参加を即決しました。元来、生き物が好きな椎野さんにとって、環境保全は「関心事」を超えて「生き方の問題」です。カバンの中には「マイ箸(はし)、マイボトル」を忍ばせます。

わくわくどきどき

 「環境悪化を知りつつ何もしていなかった」と振り返るのは大学四年生の古川幸平さん(23)です。中里さんからもらったビラでIPCC報告の要旨を読み、危機感を募らせました。「今、自分が動かなきゃいけない」。神奈川県川崎市多摩区の「虹の天使」を引き受けました。三十人以上の友人に企画を伝え、「僕もやる」と申し出た友人と二人で宣伝しました。

 日本の二酸化炭素(CO2)の八割は、企業と公共部門から排出されています。中里さんはいいます。「これは第一歩なんです。動きたいなって思ったら、だれでも動ける。生活スタイルを変えたら、企業や政府の取り組みが気になってくると思う。この一歩が、どんな新しい流れを生み出すのか、すごくわくわくどきどきしています」


 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)。

 大洪水や干ばつ、暖冬といった世界的な異常気象を契機に、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)が1988年に設立。二酸化炭素などの温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の科学的な評価を行い、各国政府に助言・勧告する専門家ネットワーク。


お悩みHunter

やりたいこと多くてどれも中途半端です

バイト、サークル、平和運動、NGO(非政府組織)活動など、あれもこれも、やりたいことがたくさんあります。いろいろ手を出すのですが、どれも満足にできていません。「他の人はもっとがんばっているのに。自分はだめだ」と思って、引け目を感じてしまいます。(19歳、女性。東京都)

自分に必要なものだから

学生生活をこなしつつ、さらにいくつもの活動をこなすとなると、体がいくつあっても足りませんよね。そのために、それぞれの活動が十分にできていないと感じているのかもしれません。

 しかし、どんなに大変でも活動に参加しているのは、それらの活動があなたにとって魅力的で必要なものだと感じているからではないでしょうか。

 私も豆腐屋をやりながらボクシングをやり、業者運動や平和運動を続けてきました。それらは、豆腐屋の仕事はもちろんですが、ボクシングもほかの活動も、自分にとって必要なものだと思ってきたので、どれも続けてこられました。

 それでも私にとって豆腐屋の仕事がなによりも最優先ですから、他のことが十分にできていないと感じることが多々あります。

 そのようなとき、どれかひとつに集中すればいいと思うかもしれませんが、私はそうは思いません。なぜならそれらすべてが、自分に必要なものだからです。たしかに十分に活動ができないと仲間に対して引け目を感じるかもしれません。しかしほんの少しの力でも、それはプラスにはなっても決してマイナスにはなりません。

 あなたの活動は、あなた自身にとっても必要なものであり、そしてまたあなたの仲間からも必要とされているということに気づいてほしいと思います。


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