2007年6月18日(月)「しんぶん赤旗」

主張

梅雨入り

異常豪雨にいまから警戒を


 梅雨入りが遅れ、一部で水不足が懸念されていた日本列島も、ようやく梅雨の便りが相次ぐようになりました。梅雨入り直後には好天も続いていますが、ことしの雨量は平年並みの予想です。梅雨入りを聞くと今度は心配になるのが、近年相次いでいる夏から秋にかけての異常豪雨です。豪雨がもたらす被害は甚大です。いまから警戒するのも、決して心配のし過ぎとはいえないでしょう。

全国どこでも起こりうる

 一昨年は九州や関東で、昨年は中国や北陸・信越などで、一時間の雨量が一〇〇ミリを超すような異常豪雨が発生し、人家や道路、農地などが洪水に流され、人命が失われました。いずれも梅雨末期の大雨や台風の接近が合わさったものですが、見過ごせないのはここ数年異常気象が続き、異常な大雨がひんぱんに起きるようになっていることです。

 政府は五年ごとに『異常気象レポート』を公表していますが、直近の二〇〇五年版でも、「大雨の出現数については、とくに夏や秋を中心として、長期的な増加傾向がみられる」ことを指摘し、その原因として「地球温暖化の影響があらわれている可能性がある」とのべています。

 異常豪雨に見舞われる地域にとっては、一時間に一〇〇ミリを超すような豪雨は文字通り「生まれて初めて」体験するものでしょうが、近年のように毎年日本のあちこちで異常豪雨が起き大きな被害が出ているとなると、異常豪雨はもはやめったに起きないことではなく、全国どこでも起こりうると考えて、それに備えることが必要です。

 三年前の新潟や福井を襲った異常豪雨では、とくに高齢者が大きな被害を受けました。高齢化が進み、「限界集落」と呼ばれるような高齢者の多い集落が広がる中で、高齢者をどう守るかは切実な課題です。高齢者に向けた情報の伝達の仕方や、一人では避難が困難な高齢者にあらかじめ手助けできる対策を講じるなど、きめの細かな対策が不可欠です。

 異常豪雨の被害は都市でも農村部でも起こりえます。とくに最近問題になっているのは、都市部で大量に降った雨が、下水道などの排水能力を上回り、短い時間にみるみる洪水が広がり、地下室や地下道などへの浸水を引き起こすことです。災害に強い街づくりを進めるとともに、異常豪雨が予測される場合は手早く避難するなど、危険を軽視しない対応が必要です。

 異常豪雨の被害を減らすために、とくに住宅地を流れる中小の河川や下水道などの整備は欠かせません。政府は、巨大なダムや大型港湾など無駄な公共事業は続けながら、財政難を口実に身近な公共事業については削減を続けています。不要不急の事業は抜本的に見直し、公共事業を生活密着型に転換させることは、豪雨被害を減らすためにも重要です。

観測と予報の体制強化を

 異常豪雨など、異常気象がもたらす災害から国民の命と財産を守るためには、何よりも観測と予報の体制強化が欠かせません。気象庁は最近、全国で十三の測候所を廃止すると発表し、政府は今後四年間にすべての測候所を廃止するとしています。こうした方向は、より精度の高い、きめの細かな情報を求める国民の願いに反するものであり、観測と予報の体制の強化こそが求められます。

 根本的には地球温暖化への対策を抜本的に強化することを含め、異常豪雨への備えを強化し、被害を防ぐことは、文字通り政治に課せられた重要な課題です。


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