2007年6月18日(月)「しんぶん赤旗」
選挙の断面
日本栄養士会
組織ぐるみで自民参院比例候補応援
入党を促し募金ノルマも
「会員の自由侵害」の声
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栄養士の職能団体である社団法人「日本栄養士会」(中村丁次会長、東京都千代田区)が政治団体「日本栄養士連盟」と一体になって自民党参院比例候補の選挙活動をすすめていることがわかりました。日本歯科医師連盟(日歯連)をめぐるヤミ献金事件などで、職能団体と、その政治団体のあり方が問題になっていますが、会員の中からは、「栄養士会が特定政党の候補者を応援することを強要するのは許されない」という声があがっています。
自民党から立候補を予定しているのは、「日本栄養士連盟相談役」の丸茂ゆきこ氏。栄養士会が、組織内候補を擁立するのは初めてです。自民党派閥「志帥会」(会長・伊吹文明文部科学相)のカネ集めパーティーに出席する一方で、各地の栄養士会の会合に参加するなど活発に活動しています。
日本栄養士連盟は、日本栄養士会と同じ場所にあり、電話番号も同じ。会長は日本栄養士会の組織部担当理事、副会長の一人は常任理事・組織部長、常任幹事の一人は副会長といった一体ぶりです。二〇〇五年の政治資金収支報告書によると、五万五千二百六十四人から三千八百六十八万四千八百円の会費収入があります。
日本栄養士連盟のホームページ「Q&A」では、「栄養士会会費を払えば、連盟会費は払わなくてもよいのでしょうか」という質問に、「自らの身分の向上のために連盟会費を支払うことが望まれます」などと説明しています。
日本栄養士会は、本紙の問い合わせに、「栄養士会と連盟はイコールではない。連盟会費は別々に集めろと、(厚生労働省に)いわれている。今後、(連盟の)事務所も別につくっていこうと考えている。栄養士会として、後援会への入会や後援会員集めを強制していることはない」としています。
しかし、大阪府栄養士会のホームページによると、大阪府栄養士会では、一括払いとして、日本栄養士会の会費五千三百円、大阪府栄養士会正会員費七千五百円と一緒に日本栄養士連盟の会費七百円を集めています。
ある県では、栄養士会の会員に対して、積極的に自民党員になることが望ましいこと、「丸茂ゆきこ後援会」入会と四人以上の会員以外の賛同者確保、一口千円以上のカンパ―などをノルマとして示しています。
関東近県で働く栄養士(40)は「栄養士会の役員から職場に後援会入会と賛同者確保を促す連絡が数回きている」と証言。「栄養士会員であっても、思想・信条はさまざまです。議員を出すために、医療や福祉の改悪をすすめている自民党への入党まで勧めるというのはじつに乱暴な話で納得できません。実質的には会ぐるみと同じ。若い会員は区別できず、『入らないといけないのかな』と思ってしまいます。こうしたことは、会員の政党支持の自由を侵害するものです。職能団体と政治団体はきちんと区別すべきです」と話しています。