2007年6月15日(金)「しんぶん赤旗」

「緑資源」官製談合 幕引き許されぬ

赤城農水相 自民 青木・中谷 民主 佐藤…

政官業の“蜜月”未解明


 農水省所管の独立行政法人「緑資源機構」の官製談合事件で、東京地検特捜部は前機構理事らと受注法人を起訴しました。しかし、林野庁の天下りを多く受け入れた同庁所管の公益法人や企業が優先的に受注し、松岡利勝前農水相ら林野族議員に献金するなど、政官業の不透明な関係が浮上したにもかかわらず、立件に至りませんでした。疑惑の全容解明は国会を含めた今後の課題です。(藤沢忠明)


捜査の焦点は…

 捜査の焦点の一つは、機構の受注業者でつくる任意団体「特定森林地域協議会」(特森協)と、その政治団体「特森懇話会」の存在でした。それは、昨年十月、公正取引委員会が同機構に立ち入り検査に入ると、同機構の前身の森林開発公団元理事で、自殺した特森協副会長の指示で、両団体とも直後に解散したことにもあらわれています。

 同副会長は、機構主導の受注調整の仕組みをつくった人物で、「政界の窓口役」といわれていました。特森協には、立件された「森公弘済会」などの四法人も含む約三百三十社が加盟。機構からの受注額二千万円につき七万五千円が会費として徴収され、松岡氏ら林野族議員に流れる仕組みになっていたといいます。

 特森懇話会の政治資金収支報告書によると、資金提供を受けていた政治家は、松岡氏のほか、自民党の中谷元・元防衛庁長官、青木幹雄参院議員会長、民主党の佐藤雄平参院議員(現福島県知事)、国民新党代表の綿貫民輔前衆院議長など二十一人にのぼります。

もう一つの焦点

 もう一つの焦点は、熊本、島根両県で進む総額約二百七十億円の同機構発注の「特定中山間保全整備事業」をめぐる談合疑惑でした。松岡氏が自殺したのは、特捜部の家宅捜索が同事業発注元の九州整備局や、宮崎、島根の特森協元幹部の会社に及んだ直後でした。

 松岡氏は、同事業のうち、熊本県の「阿蘇小国郷区域」の林道工事などを受注した業者十四社から千三百四十万円もの献金を受け取っていました。島根県選出の青木参院議員会長も特森協松江協議会関係を中心に二千万円を超す献金がありました。

 緑資源機構が行う事業は大半が補助金です。受注企業からの献金はいわば、税金の還流です。緑資源機構関連の献金を受け取った政治家は、献金の趣旨について、明らかにする政治的道義的責任があります。

 松岡氏の後任、赤城徳彦農水相も特森懇話会からの二十六万円の献金が明らかになっています。赤城氏には、農水省の補助金を受けている法人から政治資金規正法違反の献金をもらっていた疑惑が明らかになりました。公共事業に群がる利権の構図にメスを入れることができるかどうか、所管大臣としての資格と責任が問われています。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp