2007年6月15日(金)「しんぶん赤旗」

「米が中東和平妨害」

国連元特使 内部報告書で批判


 【ロンドン=岡崎衆史】五月に退任したアルバロ・デソト元国連中東特使が内部報告書で、米国のイスラエル支持政策が中東和平実現のために活動する四者協議(米、ロ、欧州連合、国連)の公平性を奪い、和平を妨げていると批判していたことが分かりました。英紙ガーディアンが、元特使による五十三ページの報告書を入手し、十三日付で報じました。

 「任務終了報告」(五月五日付)と題された報告書は、中東和平に関する四者協議について、「二〇〇七年初め以降、公平性が、かつてないやり方で、屈服させられてきた」と指摘。「米国と良好な関係を保ち、イスラエルと国連の関係を改善することに(同協議の)優先順位が置かれている」として、四者協議が米国とイスラエルとの関係のみを重視する著しく不公平な協議機関となっていることを警告しました。

 また、武装抵抗組織ハマス参加のパレスチナ自治政府に国際社会が支援停止など制裁措置をとったことに関連して、デソト氏が、ハマスと対話しイスラエルへの強い批判も行うよう主張したところ、米国の激しい反発にあったことを明らかにしています。

 さらに、米政府内には、ハマスと、アッバス・パレスチナ自治政府議長を支持するファタハとの衝突を歓迎する声があるとし、ある米政府関係者が「この暴力は好ましい。ハマスに対して他のパレスチナ人が抵抗していることになるからだ」と述べたことを紹介しています。

 報告は、国際社会が「すべてハマスの欠点に焦点を当てる」一方で、「イスラエルの入植活動や、(ヨルダン川西岸での)分離壁の建設は中断されずに続いてきた」ことには関心が払われてこなかったと指摘。米国のイスラエル支持が、イスラエルの横暴を助長し、和平を妨げていることに警鐘を鳴らしました。

内部報告の存在認める

国連報道官

 【ワシントン=鎌塚由美】英紙ガーディアンが、国連のデソト前中東特使の内部報告を暴露したことについて、国連のモンタス報道官は十三日、内部報告の存在を認め、デソト氏の「個人的意見」だと強調しました。

 モンタス報道官は、報告は、事務総長特使が任務の最後に行うもので、特使が「自らの意見を率直に述べる」ものであると説明しました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp