2007年6月14日(木)「しんぶん赤旗」
効率優先で現場混乱
研究機関独法化6年
全国集会で問題点議論
国立試験研究機関独立行政法人化から六年、研究現場は大混乱している―。茨城県つくば市で十三日、首都圏を中心に二十を超す研究機関から約百三十人の研究者が参加し、全国交流集会を開きました。
独立行政法人化で、効率や成果が優先されるあまり、研究費の削減、若手研究者の使い捨てなどが進み、研究評価制度がうまく機能しないなど、現状の問題点と今後の課題を議論しました。
農林水産省の独立行政法人評価委員を務める小林正彦・山梨県総合理工学研究機構総長が記念講演をしました。独立行政法人の本来の役割が、営利目的では必ずしも実施されない研究を担うことにあると強調。大手の民間研究所と同じような研究ではなく、自ら研究できない農民のための研究開発や、中小企業に出向いて指導することの大切さを訴えました。
そのためにも、非公務員化した研究機関では労働三権を回復したことを指摘し、「力をもつ労働組合は、独立行政法人を動かしていく自負をもってはどうか」と提案しました。また、自らかかわる独立行政法人の評価のあり方について「政府からではなく、国民からの目線が必要」と述べました。
政府が最近、独立行政法人の民営化、廃止を含む計画を進めている急な動きにたいし、反対の緊急申し入れをすることを確認しました。
集会は、筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会(学研労協)や日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)などでつくる実行委員会が主催しました。
独立行政法人化 「行政のスリム化・効率化」の名で、各省庁が所管する研究機関や美術館、病院などを行政本体から切り離した制度。二〇〇一年の省庁再編の一環として導入されました。四月一日現在、公務員型の八法人(特定独立行政法人)と、非公務員型の九十三法人、計十一府省に百一法人があります。