2007年6月12日(火)「しんぶん赤旗」

教育三法案

免許更新 教員追い込む

地方公聴会で懸念相次ぐ


 参院文教科学委員会は十一日、横浜市と水戸市で教育三法案についての地方公聴会を開きました。与党推薦の公述人からも法案への懸念が出され、法案の抱える矛盾が噴出しました。

 横浜市では四氏が意見をのべました。同市教育委員会の今田忠彦教育委員長(与党推薦)は、地方教育行政法改定案が文科相の教育委員会への「是正の要求」などを新設したことに対し、「是正の要求の発動は限定的かつ慎重に行われるべきだ」と求めました。

 元小学校長の加藤澄代さん(与党推薦)は、学校教育法改定案が「副校長」「主幹」などの新しい職の設置を可能としたことについて、「教員の中で、あの人は『主幹』だからという責任転嫁が起こるのは非常に怖いことだ」と危惧(きぐ)を示しました。

 横浜国立大学の府川源一郎教授(野党推薦)は、教員免許更新制導入に対し、「目の前の子どものことよりも、失職の危険が頭に浮かぶ状態に教員を追い込むことになる」と反対しました。

 弁護士の阪田勝彦氏(野党推薦)は、学校教育法改定案が義務教育の目標を定めたことについて「戦前のように国家への『愛国心』をすりこませることによって国家にとって都合のよい子どもをつくりあげることも可能になってしまう」と反対しました。

 水戸市の公聴会では三氏が意見をのべました。中央大学の池田賢市教授(野党推薦)が、法案は個の完成より社会への貢献を重視するものになっており、子どもが伸びる方向に法が枠をはめるおそれがあると指摘。水戸市教育委員会の鯨岡武教育長(与党推薦)は、「法案は適切」とのべながらも、「法で細かく規定するのではなく、できるだけ弾力的に各学校や各教委の創意が発揮できる運用をしてほしい」と要望しました。



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