2007年6月9日(土)「しんぶん赤旗」

米秘密活動で行方不明者

7歳、9歳の子も

国際人権団体報告


 【ワシントン=鎌塚由美】アムネスティ・インターナショナルなど人権団体は七日、ブッシュ政権が「対テロ戦争」の名の下に行う秘密活動で「行方不明」になった被拘束者の報告をまとめました。明らかにされた被拘束者には、七歳と九歳の子どもが含まれています。

 「オフ・ザ・レコード―『テロとのたたかい』における強制行方不明者への米国の責任」と題された報告書をまとめたのは、国際的な人権団体アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウオッチ、米国の「憲法的権利センター」(CCR)などの六つの団体。各団体が聞き取りやメディアの報道などから「行方不明者」を割り出しました。

 報告は、これらの被拘束者は国際人権法が規定する「強制的な行方不明」の被害者だと指摘。氏名が明らかにされた三十九人の「行方不明者」の出身国は、エジプト、ケニア、リビア、モロッコ、パキスタン、スペインに及び、拘束地は、イラン、イラク、パキスタン、ソマリア、スーダンだとしています。

 「行方不明者」のなかには、テロ容疑者の家族も含まれていることも明らかにされています。9・11同時テロの主謀者とされる人物の二人の息子(拘束当時は七歳と九歳)がパキスタンで捕らえられ、収容所で米国人によって尋問されていたことを目撃者の話で紹介。また、タンザニア人容疑者のウズベク人の妻が、容疑者とともに収容されていると指摘しています。

 テロ容疑者を拘束し、国外の秘密収容所で拷問する米中央情報局(CIA)の超法規的な秘密活動は、国際的な批判を受けてきました。ブッシュ大統領は昨年六月、秘密収容所の存在を初めて認め、十四人の被拘束者をグアンタナモ基地に移送しました。

 報告は、今年四月にも、テロ容疑者がCIAの管理下からグアンタナモ基地に移送されたことが確認されているとし、「(秘密活動の)システムは依然として機能している」と指摘。秘密活動および被拘束者の氏名の全容解明を米政権に要求。また、被拘束者に赤十字国際委員会との面会や法の裁きを保障するよう求めました。

 米国の人権団体は同日、被拘束者の情報開示を求め、米司法省、国防総省、CIAなどを相手に連邦地裁に提訴しました。


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