2007年6月9日(土)「しんぶん赤旗」
「同和事業を完全廃止」
長野・御代田 茂木町長が宣言
長野県御代田(みよた)町の茂木祐司(もてき・ゆうじ)町長は八日、町議会の招集あいさつで「同和事業の完全な廃止」を宣言しました。補正予算案を提出。同和関連で総額四千五百万円減額となる提案をしました。
茂木町長はあいさつの半分を使って、二月の町長選挙で公約した同和対策事業終了について詳しく説明しました。
国による同和特別対策は、同和地区の生活環境も部落差別の意識も改善して二〇〇二年に終了。ところが、御代田町は同和事業を存続させ、制度実施以来、四十億円を費やしてきました。
茂木町長は、同和事業の継続が「一般町民」と「同和地区関係者」の間に「大きな垣根・壁」、「逆差別的な意識」をつくった「根本的な誤り」を指摘しました。
また、「人権という重要な課題が、部落解放同盟による圧力や脅しによってゆがめられてしまったという事実を直視しなければならない」と告発しました。
そして、同和対策事業をすすめてきた誤りを今後の町づくりの教訓として生かし、「本日ここに、御代田町での同和事業の完全な廃止を宣言する」とのべました。
傍聴した町民の女性(59)は「待ちに待った宣言です。御代田にもやっと夜明けがきました。共産党だからこそできたことだと、私は思います」と笑顔で語りました。
解説
長野・御代田町長の宣言
小さな町の過大な同和事業決別へ
茂木町長が登場するまでの長野県御代田町は同和予算が「解同」(部落解放同盟)言いなりに、小さな町にもかかわらず年間四千万円以上も使われてきました。「解同」への補助金は年六百万円も支出。「解同」役員の海外旅行の費用をはじめ反差別国際運動資金や高速道路の通行料などに税金が使われてきました。
さらに住宅新築資金の貸し付けや下水道工事への補助金、奨学金など「解同」関係者へのさまざまな優遇措置は目にあまるものがありました。その一方で、県下一高い国保税や、県下でもずば抜けて多い国保資格証明書の発行など、町民に冷たい町政が行われてきました。
背景には「部落解放同盟御代田町協議会による町職員に対する日常的な圧力や脅しがあった」ことを前町長も認めています。
このような中で、今年二月、「不公正な同和事業を正せ」「自由にものが言える町政を」という町民の声が広がり、日本共産党の町議だった茂木祐司候補が現職に二千票以上の差をつけての当選となりました。
茂木町長は八日の議会におけるあいさつで、「最大の問題は、町政が『解同』御代田町協議会の圧力や脅しに毅然(きぜん)とした態度をとれずに、妥協的な対応をしてきたこと」とのべて、「同和事業の完全な廃止を宣言」しました。
同時に、佐久地方の自治体共同事業の二万円を残して、四千五百万円余の同和対策予算の削減を提案。また、「同和教育集会所」を「社会教育集会所」に改める条例改正案を提出。いま同集会所を使っている「解同」御代田町協議会に明け渡してもらう話をすすめたいとしています。
(有賀光良・党長野県副委員長)