2007年6月8日(金)「しんぶん赤旗」
印・ブラジルが首脳会談
南ア加えた3カ国協力強調
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インドのシン首相とブラジルのルラ大統領が四日、ニューデリーで首脳会談を行い、両国関係の強化とあわせ、南アフリカを加えた三カ国協力の重要性を強調した「共同宣言」を発表しました。
この三カ国協力は、英語の頭文字をとって「IBSA」と呼ばれています。アジア、アフリカ、ラテンアメリカと地域はばらばらですが、「多元的共存と民主主義を共通の原理として結束した途上国のフォーラム」(共同宣言)と自らを位置づけています。
「多元的共存」(プルラリズム)とは、異なった民族、人種、宗教、政治体制などが同時に平和的に共存することを意味します。IBSAは閣僚によるフォーラムを重ねたうえで、昨年九月にブラジルで初の首脳会議を開きました。今年十月には南アで第二回首脳会議を予定しています。
核廃絶掲げる
第一回IBSA首脳会議では、「世界の多極化と、国連が卓越した役割を担えるよう関与していくことを再確認」しました。一国覇権主義的な国際秩序を拒否し、国連中心の世界平和を重視しています。
また、「核兵器の完全廃絶を目標」に掲げ、そのために「包括的で差別がなく、特別な時間枠をともなった、(廃棄の)立証が可能な方法で、核兵器の完全廃絶に進む段階的計画について交渉を始める必要がある」と強調しました。インドは核保有国ですが、期限を定めた廃絶交渉を主張しています。
貿易4倍化へ
三カ国はともに経済発展が著しい途上国です。「貿易促進のための行動計画」を決め、経済関係の強化に乗り出しています。三カ国首脳はドイツでの主要国首脳会議(G8サミット)に中国、メキシコ首脳とともに招待され、八日に国際経済や温暖化対策で主要国首脳と協議します。
今回のインドとブラジルの首脳会談では、二〇一〇年までに両国の貿易量を百億ドルへと四倍化することで一致しました。
ルラ大統領のインド訪問には、約百人のブラジル経済界代表が同行し、両国を代表する石油・天然ガス会社が油田開発協力で合意しました。また大企業の最高経営責任者(CEO)による対話フォーラムを立ち上げました。
途上国連携も
IBSAは三カ国間、二国間協力を推進するとともに、途上国間同士の「南南協力」も重視しています。三カ国が最低百万ドルを拠出し、IBSA基金を設立、開発事業を援助しようとしています。
ニューデリー外交筋からは、「今後の影響力は未知数だが、主要新興国が米国とは異なった価値観でユニークな動きをしていることは注目に値する」といった声がでています。(ニューデリー=豊田栄光 写真も)