2007年6月6日(水)「しんぶん赤旗」
米民主党 大統領候補が討論
イラク撤退 姿勢焦点に
【ワシントン=鎌塚由美】二〇〇八年の大統領選挙に出馬表明している八人の民主党候補者が三日、二度目となるテレビ討論会をニューハンプシャー州で行いました。イラク戦争をめぐる態度で有力候補者が「一触即発」(ニューヨーク・タイムズ紙)などと注目され、イラク撤退への態度がますます問われる状況になっています。
四日に発表された世論調査(ワシントン・ポスト紙とABCテレビ)で、米議会民主党の支持率が急落していることが明らかになりました。
ブッシュ大統領の支持率は、35%で前回(四月)と変わらない一方で、民主党支持率が前回から10ポイントも低下し44%となりました。調査が行われたのは、五月二十九日から六月一日の間(対象千二百五人)で、民主党が米議会でイラクからの撤退期限を設けないイラク追加予算を承認した直後の数字です。
三日のテレビ討論会では、世論を意識したヒラリー・クリントン、バラク・オバマ、ジョン・エドワーズの上位候補者がイラク戦争をめぐり討論し、米メディアも「一触即発」と注目しました。
撤退期限のない追加予算案を認めるな、とキャンペーンしてきたエドワーズ元上院議員は、「(追加予算への反対を)主導するのと、(反対に)追随するのとは違う」と、追加予算案への態度を最後まで明確にせず、投票終了間際に議場に駆け込み反対票を投じたクリントンとオバマ両上院議員の消極的姿勢を厳しく批判しました。
オバマ氏は、「事実、私はイラク戦争に最初から反対してきた」と主張、当時上院議員でイラク開戦を承認する一票を投じたエドワーズ氏に「イラク戦争反対でのあなたの指導力発揮は四年半遅れた」と反論しました。
エドワーズ氏は、イラク開戦承認の一票について有権者に謝罪しています。しかし、いまだにその非を認めないクリントン氏は、エドワーズ氏から反戦の指導性を問われ「この戦争はジョージ・ブッシュの戦争だ。彼が戦争を始め、戦争を間違った方向に導き、エスカレートさせた。戦争を終わらせることも拒否している」と言い訳。戦争の責任はあくまでブッシュ政権・共和党だと主張しました。同氏は、〇八年に民主党の大統領が選出されてこそ、戦争が終結に向かうと語りました。
これに対し、イラク占領の終結を一貫して主張してきたクシニチ下院議員は、「中間選挙を通して国民は民主党に戦争を終結させる責任を負わせた。この戦争は民主党のものになったのだ」と主張し、「議会が占領を終わらせる責任を負っている」と改めて強調しました。
今回の討論会について、ロイター通信は「ブッシュ大統領の政策については口論と厳しい攻撃があるが、イラクから米軍を撤退させる最良の方法については合意がほとんどなかった」と伝え、イラク撤退をめぐる候補者間の温度差を指摘しました。
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