2007年5月31日(木)「しんぶん赤旗」

教員の精神性疾患が増えているわけは?


 〈問い〉 教員の精神性疾患が増えているのはなぜですか?(岡山・一読者)

 〈答え〉 教員の精神性疾患による休職者数は、13年前と比べ4倍近く増加し、病気休職者に占める精神性疾患休職者は約6割(05年度)と深刻な実態です。

 背景には、教員の職場状況の過酷さ、多忙化があります。

 衆院教育再生に関する特別委員会でも教員の職場実態がだされました。東大の勝野正章参考人は「教師の一人は、子育てや子育ちの環境の厳しさに向き合うためであれば、どんなに自分の体がきつくても構わないけれど、国や市の研究指定などで上から降りかかってくる仕事がとても多くて、それが大変残念でならないとおっしゃいます。女性の教師は、保育所に自分の子どもを迎えに行って、車の中でコンビニのおにぎりを買ってきて食べさせて、また学校に戻って仕事を続ける。深夜に仕事を終えて、保健室のベッドで眠らせていた子どもを起こして車に乗せて帰宅することもしばしばある。子どもたちにもっと多くのことをしてあげたいけれど、しかし、それができなくて申し訳ないと自分を責めながら日々の教育活動をしている、そういう教師は決して少なくない」(4月26日)と指摘しました。日本共産党の石井郁子議員は、文部科学省の調査をもとに、小・中学校教員の一日平均の労働時間が10時間を超えていること、月の残業時間が過労死ラインを超える90時間にものぼることを明らかにしました(4月27日)。

 こうした悩みや葛藤(かっとう)もこれまでなら同僚と相談したり、自身の実践を振り返るなどし、解決・改善していくことができました。ところが今は、教育改革の名で教員にあらたな仕事が課され、教員同士が競わされ、管理されています。教員一人ひとりがバラバラにされているのです。

 伊吹文明文部科学大臣も「忙しいということが一番大きな原因。教員の人数を増やしてあげるとか、みんなで力をあわせて生徒に向き合える時間を少しでも取っていくようにしていかねばならない」と石井議員に答えています(4月27日・教育再生特別委員会)。

 教員をふやし一クラスの人数を減らし、子どもと向き合える学校現場にすること、教員や学校同士を競わせるのではなく協力し支えあう関係づくりをしていく―これこそが今求められています。現在参院で審議中の「教育3法」は、教員に管理職の顔色をうかがわせ、子どもたちと向き合う時間をうばい、さらに多忙にさせるもので、廃案以外にありません。(水)

 〔2007・5・31(木)〕


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