2007年5月30日(水)「しんぶん赤旗」
農水相自殺
首相に厳しい目
けじめつけなかったツケ “盟友切れず”
「(安倍晋三首相は)党内の忠告にも逆らいながら、彼(松岡利勝前農水相)は法的責任を果たしていると主張してきた」(英BBC電子版)
議員会館事務所の光熱水費や緑資源機構の官製談合事件などで疑惑がかけられていた松岡前農水相の自殺は、海外でも「安倍晋三首相に新たな打撃」(米ニューヨーク・タイムズ紙二十九日付)などと波紋を呼んでいます。自らの政権維持のために松岡氏をかばい続け、疑惑隠しをしてきた安倍首相の責任を問う声は、内外から起きています。
二十九日付の全国紙社説は、「松岡氏を閣僚に起用し、疑惑を追及されても擁護してきた安倍晋三首相の責任も小さくない」(「産経」)「悲劇的な結末に至ったのは、首相が政治とカネの問題に対する国民の不信や怒りを軽視し、けじめをつけてこなかったツケとはいえないか」(「毎日」)。
自民党内でも、津島派の笹川尭元科学技術政策担当相が「首相は任命責任をたたかれるのは嫌かもしれないが、辞めさせてやらなかった責任の方が大きい」(二十八日)と発言しています。
「問題はあれだけの疑惑が彼に出てきたにもかかわらず、なぜ安倍首相がかばい続けたのかということ。松岡農水相は安倍首相にとって右翼運動の盟友だったんです」と指摘するのは、子どもと教科書全国ネット21事務局長の俵義文さん。
松岡前農水相が、日本会議国会議員懇談会の幹事、教科書攻撃の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(のちの教科書議連)の副代表など「右翼的議連に最も多く入っている一人だった」と指摘し、次のようにのべます。
「安倍首相は、こういう議員たちに押し上げられて総理になったわけです。松岡農水相を切れば、盟友、同志を冷たく扱うことになるし、総理にしてもらった恩をあだで返すことになる。だからどうしても切れなかった。それがあだをなしたと思います」