2007年5月29日(火)「しんぶん赤旗」
英警察権強化に反発
市民団体、閣僚からも
【ロンドン=岡崎衆史】英政府がテロ対策として警察権のいっそうの強化を狙っていることに、英国内から反発が相次いでいます。批判は市民団体はもちろん、政府閣僚からもでています。
英紙サンデー・タイムズは二十七日、来月末にブレア首相とともに退任するリード内相が、特定の犯罪が発生していない場合でも、容疑者に職務質問を行う権利を警察に与え、相手が拒否した場合五千ポンド(約百二十万円)の罰金を徴収することを検討していると報道。同紙にはブレア首相も寄稿し、市民的自由を治安に優先させる考えを「危険」なものだと批判していました。
これに対して、ヘイン北アイルランド相は二十七日、BBC放送で、「私たちは非常に慎重でなければならない。グアンタナモ(キューバ領内に置いている米軍基地内の収容所)と同じ状況を国内につくりだしてはならない」と警戒感を表明。さらに「グアンタナモは、世界中でイスラム教徒や他の多くの人々の反発を引き起こした」と批判しました。
ヘイン氏は、来月末の労働党副党首選にも立候補している同党の実力者です。
一方、同じBBCで、人権団体リバティーのシャミ・チャクラバルティ代表は、「政治的強権主義」と非難。「誰でも引き止め、職務質問するというやり方は、人々を犯罪者とみなすということであり、大反発を招くことになる」と警告しました。