2007年5月29日(火)「しんぶん赤旗」
自衛隊内セクハラ
処分は「停職一日」
紙議員 人権侵害に厳正対処を
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現職女性自衛官(21)が今月八日に国を相手に損害賠償を求めた裁判にまで発展した自衛隊でのセクハラ・わいせつ暴行問題が、二十八日の参院決算委員会でとりあげられ、防衛省が自衛隊内のセクハラ加害者にたいし「停職一日」など、甘い処分ですませている不適切な実態が明らかになりました。日本共産党の紙智子参院議員がとりあげたもので、「重大な人権侵害だという認識がなさすぎる。他省庁なみの厳正な処分を」と迫りました。久間章生防衛相は「(停職)一日でも重い。世界が違う」などと答弁し、わいせつ行為を「人権侵害」だと断言しませんでした。
紙氏は、防衛庁(当時)が一九九八年に自衛隊や防衛大学校などでおこなったセクハラアンケート調査結果を示し、「『性的関係の強要』を受けたことがあると答えた女性が18・7%、『(性的)暴行(未遂を含む)』も7・4%にのぼる。女性自衛官一万人にあてはめると、千八百人と七百四十人にもなり、重大な実態」と、上官によるセクハラの常態化を指摘しました。
紙氏は、酒を飲んだ上官の曹長にキスをされるなどのセクハラを受けた女性が精神的苦痛で一カ月入院し、その後退職した事件で、加害者は停職一日、上司は注意処分で済まされた事例などをあげ、他省庁と比べてきわめて甘い処分であることを批判しました。
与野党の議員からも「甘い、甘い」とやじが飛びかい、紙氏は「大臣のそういう認識は、被害者の立場に立っていない」と批判しました。
そのうえで、五月に札幌地裁にセクハラとその後の上司の人権侵害を提訴した女性自衛官に対し、上官が外出許可を出さなかったり、退職を強要したりしている実態を告発、実態調査と人権無視の是正を求めました。
久間防衛相は「少なくともいやがらせは断じてあってはならない」と答弁しました。