2007年5月26日(土)「しんぶん赤旗」

「対テロ戦争」とイラク戦争

人権抑圧を加速

アムネスティ年次報告


 【ロンドン=岡崎衆史】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)は二十三日、二〇〇七年版年次報告を発表し、ブッシュ米政権の対テロ戦争が紛争拡大と人権抑圧につながっていると批判しました。

 会見したアムネスティのカーン事務総長は、「『対テロ戦争』とイラク戦争は、多数の人権抑圧を生み出している。それは、国際社会に暗い影を投じ、紛争解決や民間人の保護を困難にしている」と指摘しました。

 イラク戦争について、報告は、「人権と人道法に深刻な打撃を与え、人々を苦しみに陥れ、武装勢力を強化し、世界をより安全でなくした」と非難しています。さらに、宗派対立の拡大やイラク政府による人権軽視などを挙げ、戦争が引き起こした惨状に懸念を表明しました。

 アフガニスタン情勢については、「米軍主導の軍事行動による市民多数の死が(人々の)怒りを招いてきた」と告発しました。

 報告は、英国や日本など米国の同盟国がテロ対策の名で人権を抑圧していることを指摘。英国については、新テロ法の成立で、起訴せずに拘置できる期間が延長され、テロをあおるとみなされた場合には言論さえ取り締まりの対象とされることを挙げ、「基本的人権と相いれない」と批判しました。

 日本については、昨年五月に成立した改正出入国管理・難民認定法に、テロリストの恐れがあると法相が判断した場合、国外退去処分にできる規定が盛り込まれたことを挙げて批判しました。

 また、米国が、欧州諸国などとともに、拷問の可能性があることを知りながら、シリアやエジプトなどにテロ容疑者を移送していた問題や、米中央情報局(CIA)による秘密収容所設置、キューバの米軍グアンタナモ基地での虐待問題などを挙げ、「民主主義」を掲げる「米政府の二枚舌はあきれるほど恥知らずだ」と非難しました。



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