2007年5月26日(土)「しんぶん赤旗」

主張

林道談合

国民はふみつけの政官業癒着


 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」の官製談合事件で、同機構の理事らが独占禁止法違反容疑で逮捕されました。

 大規模林道のコンサルタント(調査・測量等)業務を、林野庁の「天下り」を多数受け入れている公益法人や民間会社に機構が上からの談合で割り振り高値受注させる―。公共事業が林野庁OBの「権益」に化け、前身の公団時代から長期にわたって、組織的な税金盗みどりが行われていたことは、怒りにたえません。徹底した真相解明と厳しい責任追及が必要です。

「天下り」のかたまり

 緑資源機構は、国が全額出資している法人で、林道建設、農地整備などの事業費もほとんどが税金です。林野庁の最有力の天下り先の一つで、理事長は林野庁長官退職者の指定席とされ、高級官僚が同機構や機構の業務請負先である公益法人、関連民間会社などを渡り歩き、退職後に億を超える報酬を手にするという仕組みが代々つくられています。

 談合が明らかになったのは、同機構の緑資源幹線林道事業にかかわるコンサルタント業務の発注です。この林道は、複数県にまたがる総延長二千五十三キロメートルもの林道ネットワークをつくるという巨大プロジェクトです。一度決まったら絶対に止まらない無駄遣いの公共事業の代表格で、各地で自然破壊と批判されながら、延々と工事を続けています。

 そんな無駄遣いのなかで「身内」の公益法人や天下り業者を使い、事業の推進に都合のいいコンサル業務をさせながら、天下り先確保のための官製談合をしていたというのですから、税金の無駄遣いは二重三重、国民はふんだりけったりです。事件を受け、自然保護団体がさっそく機構の解体を要求したのも当然です。

 林野庁では二〇〇一年にも国有林野事業のコンサル業務の談合が発覚しました。このとき公取委に排除勧告を受けた法人がそのまま今回の談合でも顔をならべています。緑資源機構では、本体の林道工事などでより大掛かりな談合が重ねられていた疑いもあります。まるで「天下り」と「談合」のかたまりです。

 高級官僚の特権的な天下りのために、行政がゆがめられ、税金が無駄遣いされることの弊害がこれほどはっきりしたことはありません。それなのに、安倍内閣が今国会に、最低限の天下り禁止規定もとりはらい、野放しにする法案を提出していることは重大な逆行で許されません。

 この官業癒着と一体になり、事業を資金源にしている自民党の族議員の存在も深刻です。

 松岡利勝農水相は、国会でただ一人の林野庁出身議員で、自民党の中でも有力とされる農水族です。

 日本共産党の紙智子参院議員は国会で、松岡農水相がこの十年間に農水省所管公益法人と一体の九つの政治団体から計一億三千万円もの献金を受け取っていたことを明らかにしました。今回の談合事件に連座した法人とその代表者個人から受けた献金も八百五十二万円にのぼります。

解明のメス入れよ

 林野庁や機構の事業は政治と深くかかわり、族議員は予算獲得や発注まで事細かに口を出して影響を与えているとされます。こうした実態にメスを入れなければなりません。

 日本列島は七割が山林です。国土保全、地球温暖化対策など林野行政の役割は大きいのに、それを利権事業に変質させている政官業癒着の罪は重大です。天下りと企業献金の禁止で、癒着の根を絶つべきです。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp