2007年5月24日(木)「しんぶん赤旗」
米中が戦略経済対話
貿易不均衡など協議
双方から閣僚級25人出席
【ワシントン=鎌塚由美】米中の主要な経済閣僚が両国の経済や貿易問題を協議する第二回米中戦略経済対話が二十二、二十三日、ワシントンで行われました。米側からはポールソン財務長官、中国からは経済担当の呉儀副首相を筆頭に、双方から閣僚級の二十五人が出席。二日間にわたり経済・投資、エネルギー・環境、貿易不均衡是正の三つのセッションで意見交換しました。
米側議長を務めるポールソン長官は開幕あいさつで、「中国からこれだけ多くの閣僚が米国の一都市に集まるのは、歴史的にもかつてない」と歓迎。それは「長期的な経済関係を正しく方向づけることがいかに決定的かを両国が認識している」からだと表明しました。
同時に、両国内で「保護主義や貿易とグローバル化の利点への疑念」があり、相互不信が「永続的な貿易・金融不均衡」によって増幅されていると指摘し、米国内での「反中感情」に言及して米議会などの対中懸念を示唆しました。「われわれは忍耐強くない」とも述べ、貿易摩擦解消へ中国側の速やかな行動を求めました。
これに対し中国の呉儀副首相は「建設的協力関係」を強調。「通商問題の政治化は避けなければならない」として、対中圧力をけん制しました。「両国の貿易不均衡に対処するため米国とともに効果的な措置をとる」とも語りました。
今年は、両国関係の断絶終了を確認した上海コミュニケ調印から三十五周年であることから、当時の国務長官だったキッシンジャー氏が特別講演しました。
戦略経済対話は年二回の開催予定。第一回は昨年十二月に北京で開かれました。
米中戦略経済対話
米中戦略経済対話の実施は、ブッシュ米大統領と胡錦濤中国国家主席との間で合意され、昨年十二月に始まりました。
両国間の経済関係は拡大し、米国にとって中国は第三位の貿易相手国、中国にとって米国は第一位の貿易相手国となっています。
それに伴い生じている二国間の経済問題やエネルギーなど世界的な経済問題について閣僚レベルで意見交換するのが、「対話」の目的です。このような機構が両国間で設置されるのは初めてです。
対中貿易赤字は昨年、二千三百億ドル(約二十八兆円)と過去最高に達しています。昨年秋の米中間選挙を契機に、こうした状況への批判や対中経済制裁を求める声が米国で高まっています。
四月には米通商代表部(USTR)が、海賊版のDVDやCDが横行するなど知的財産権保護の法制度が不十分だとして、中国を世界貿易機関(WTO)に提訴しました。