2007年5月20日(日)「しんぶん赤旗」

薬剤師業界 自民比例候補支持者集め

取引先へも異常なしめつけ


 七月の参院選で自民党の藤井基之参院議員の再選めざし、公益法人の日本薬剤師会(中西敏夫会長)の政治団体や薬剤師関連の後援会が、業界ぐるみの異常な取り組みをしていることが本紙が入手した内部資料などで明らかになりました。

2.5億円を献金

 本紙が入手したのは、「全国藤井もとゆき薬剤師後援会」の中西敏夫会長名の「班長各位」と題した三月十五日付の内部資料。後援会入会活動の現状について、「目標入会者数には、遠く及ばない大変厳しい状況」「このままでは藤井もとゆき氏の再度の政治活動が危うく」として、年賀状の利用や支援団体、卸や印刷業者などの取引業者などに、入会をお願いするよう指示。「薬剤師の浮沈及び薬局の将来は班長の先生方にかかっています」と「一層のご尽力」を呼びかけています。

 参考資料として、日本薬剤師会の政治団体、日本薬剤師連盟が二月二日に東京で開催した「都道府県薬連盟役員及び事務担当者連絡会議」のレジュメ二枚が添付されていますが、こちらは、もっと具体的です。

 たとえば、「藤井もとゆき中央後援会がやるべきこと」として、▽入会者へのフォロー(入会御礼、国政報告、入会御礼電話等)(入会時御礼、第一次紹介者35000人・入会者200000人へのフォロー)▽90万人目標へのアプローチの徹底(受け取った年賀状の活用等)▽FAX一斉同報を使った支部長(800件)、班長(4000件)へ情報提供―など。以下、「各ブロックがやるべきこと」「都道府県薬剤師後援会がやるべきこと」「支部、班がやるべきこと」と段階ごとに提示、後援会名簿の配布回収は会員宅まで直接役員が出向くことや、取引先への入会依頼などを求めています。

 こうした徹底ぶりは、前回、二〇〇四年の参院選で、薬剤師業界が擁立した自民党の比例候補が、約九万六千票にとどまり、落選しているからです。同党の比例候補は十五人が当選しましたが、薬剤師業界の候補は二十五位でした。

 日本薬剤師会の中西会長は日本薬剤師連盟の会長はじめ、「藤井もとゆき中央後援会」「全国藤井もとゆき薬剤師後援会」の代表も務めています。全国四十七都道府県の薬剤師連盟のうち、二十九都府県の所在地が薬剤師会館にあります。

 日本薬剤師会のホームページによると、九万七千人が会員。日本薬剤師連盟の二〇〇五年分の政治資金収支報告書によると、九万六千百十九人から会費を集め、五億一千百六十五万四千四百円の収入があります。思想・信条の自由を無視して、薬剤師会の会費と薬剤師連盟の会費は同時に集められています。

 こうして集めたカネを日本薬剤師連盟と同一場所にある「藤井もとゆき中央後援会」「全国藤井もとゆき薬剤師後援会」や、藤井参院議員が支部長の「自民党東京都参議院比例区第十二支部」、藤井参院議員の資金管理団体「健康新世紀会」に資金提供。その額は計二億五千百五十万円になります。(図参照)

 全国の薬剤師から集めたカネのほぼ半分が自民党の特定の政治家に渡ったことになります。

 鹿児島県出水市の薬剤師は、「自民党は医療改悪をすすめており、自分のクビを絞めることになるのに…」と一体ぶりを批判しています。


表

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