2007年5月19日(土)「しんぶん赤旗」
第四回中央委員会総会
志位委員長の幹部会報告
日本共産党が十七日、党本部で開いた第四回中央委員会総会での志位和夫委員長の幹部会報告は次のとおりです。
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みなさん、おはようございます。CS通信をご覧の全国のみなさんにも熱いあいさつを送ります。みなさんの日ごろの奮闘に心からの敬意を表明するものです。私は、幹部会を代表して、第四回中央委員会総会への報告をおこないます。
新年に開いた第三回中央委員会総会につづいて、この中央委員会総会には全国の地区委員長のみなさん、参議院選挙の比例代表と選挙区の予定候補者のみなさんに参加・傍聴していただき、明日は引き続いて全国都道府県・地区委員長会議を開くことにしました。
今日、明日の会議の目的は、目前にせまった参議院選挙に、中央委員会と全国各地で奮闘している党組織、党員のみなさんが文字どおり心を一つにして総決起し、何としても勝利をかちとるための意思統一をはかることにあります。
幹部会報告は、大会決定、二中総決定、三中総決定を土台におきつつ、参議院選挙勝利に必要な問題にしぼって、重点的におこないます。
一、いっせい地方選挙の総括――参院選にただちに生かすべき教訓という角度から
報告の第一の主題は、いっせい地方選挙の総括についてであります。
いっせい地方選挙の結果について
まず、いっせい地方選挙の結果についてのべます。
いっせい地方選挙の前半戦で、日本共産党は道府県議選挙で、十二府県では議席を増やしましたが、十三道府県で減らし、全体として前回の百十議席から百二議席に後退する結果となりました。十五の政令市議選挙では百二十四議席を獲得し、うち比較可能な十二市では全体で一議席を増やしました。十三の都道県知事選挙では、そのすべてに推薦・公認候補を擁立し、当選にはいたりませんでしたが、多くの選挙で得票を大幅にのばしました。
後半戦の市区町村議選挙は、自治体の合併・再編などにともなう定数大幅削減のもと、議席占有率で7・05%から8・86%への重要な前進をかちとりました。
日本共産党は、前・後半戦をつうじて一千五百十人の地方議員を当選させ、地方議員総数は非改選の議席もふくめて三千百三十八人となり、ひきつづき地方議員数第一党を維持しました。うち女性議員数は一千七十四人と抜群の第一党の地位をひきつづき確保しました。
こうして前・後半戦のトータルな結果として、わが党は、善戦・健闘といえる結果をえることができました。
私は、ご支持いただいた有権者のみなさん、日夜をわかたず奮闘していただいた支持者、後援会員、党員のみなさんに心からの感謝を申し上げます。
同時にこのなかで、道府県議選での「現有議席の絶対確保と前進」という目標が、全党的には達成できず、議席を減らしたことは残念な結果でした。積極的成果を確信にするとともに、成功した経験からも、失敗した経験からも、教訓を引き出し、つぎのたたかいに生かすようにしたいと思います。
選挙後、全国の都道府県委員長、地区委員長のみなさんから選挙戦をたたかった感想を寄せていただきました。いっせい地方選挙からいま教訓をくみだすさい、すでに私たちは参議院選挙をめざす熱いたたかいのさなかにあるわけですから、直面する参議院選挙でわが党が前進するためにただちに生かすべき教訓は何かという、問題のたてかたが大切になってきます。こうした立場にたち、全国から寄せられた感想をふまえ、つぎの四点をのべます。
第一。奮闘いかんでは参院選での前進の条件と可能性があることをしめした
第一は、いっせい地方選挙のたたかいが、奮闘いかんでは参議院選挙での前進の条件と可能性があることをしめしたということであります。
1、2、3人区での勝利――今日の情勢がはらむ前進の可能性しめす
いっせい地方選挙では、党と後援会の大奮闘で得票を躍進させ、定数が一、二、三人区でも勝利をかちとった経験が、全国各地に生まれました。一、二、三人区での勝利は、道府県議選で二十二選挙区、政令市議選で六選挙区、一般市・町村議選では八選挙区となりました。
それぞれに感動的なドラマがありますが、元町村長、医師会長、元農協会長、宗教者、商工会関係者など、無党派の方々、保守の方々との共同を広げ、勝利をかちとった経験が、各地から報告されていることは、今日の情勢のはらむわが党前進の可能性をしめすものであります。
府議選・政令市議選の一、二、三人区で、あわせて十名を当選させた大阪からはつぎのような感想が寄せられました。「政党間の力関係を前向きに変化させ、一人区(一選挙区)、二人区(三選挙区)、三人区(六選挙区)で勝利したことは、参議院選挙で各党と互角にたたかえる足場となるものだ」。
全国の少なくない党組織から、いっせい地方選挙のたたかいを通じて、がんばりぬけば参議院選挙で勝利しうる手ごたえをつかんだという報告が寄せられていることはたいへん重要であります。
いっせい地方選挙での得票を、参院選での比例得票にむすびつけ広げる
つぎに得票についてみてみたいと思います。
私たちは、いっせい地方選挙で、議席とともに得票をのばすことをめざしてたたかいましたが、わが党は、四年前の選挙との比較で、道府県議選、政令市議選、市区町村議選とも全体として得票数をのばしました。
わが党は、二〇〇五年総選挙比でも、それぞれの選挙で得票数をのばしていますが、とくに総選挙比で130%以上の得票数をえた選挙区が、道府県議選で百十三選挙区と全体の40%、政令市議選で二十八選挙区と全体の22%、市区町村議選で百八十一選挙区と全体の30%あることは重要であります。
もちろん地方選挙と国政選挙では性格の違いがあります。政党の組み合わせも違います。しかし、この結果は、奮闘いかんでは私たちが参議院選挙で掲げている比例代表選挙の目標――衆院選比で130%以上、六百五十万票以上は決して手のとどかない目標ではなく、それを実現する条件と可能性が存在することをしめすものであります。
議席を獲得したところも、獲得できなかったところも、いっせい地方選挙で獲得した得票を、参議院選挙では日本共産党そのものへの得票にむすびつけ、さらに大きく広げていくという見地が大切であります。そのさい130%以上、六百五十万票以上の実現には、全体としては地方選を大きく上回る、二倍、三倍の規模での奮闘が必要であるということを銘記して、とりくみの発展・飛躍をはかりたいと思います。
首長選挙での善戦・健闘――政治変革への国民の期待の広がりしめす
首長選の結果についてのべます。
前半戦の都道県知事選挙では、十三都道県のうち九つの知事選挙で、わが党が推薦・公認した候補者が得票を大幅にのばし、うち五つの知事選挙では、前回比で三倍前後まで得票を躍進させました。最大の焦点となった東京都知事選では、「革新都政をつくる会」と日本共産党が、選挙戦の論戦をつうじて、石原知事に「中学校三年生までの医療費の無料化」を公約させるなど論戦をリードし、前回の一・七倍にあたる約六十三万票の得票を獲得し、善戦・健闘の結果をえました。
後半戦でも、沖縄・宜野湾市長選挙でわが党推薦の候補者が勝利し、大阪・寝屋川市、東京・東村山市などでは、日本共産党員候補が四割台から三割台の得票率をえて大健闘するなどの一連の積極的成果をえました。
これらは「オール与党」政治の矛盾の深さ、「政治を変えてほしい」という国民の期待の広がりをしめすものとして、重要な意義があります。
第二。政治論戦でのリード――参院選にどう発展的に生かすか
第二は、政治論戦でのリードを、参議院選挙にどう発展的に生かすかという問題です。
政治論戦がかみあい、リードしたことへの確信は、全国どこからも共通して寄せられました。もとより国政選挙では、国政にふさわしい論戦の発展が必要ですが、つぎのような諸点は、参議院選挙のたたかいでも生かすべき重要な教訓です。
要求実現の運動と一体に政策論戦にとりくむ
一つは、国民の切実な要求から出発して、党の議席、候補者の値打ちを押し出す政策論戦をすすめたことです。とくに、住民アンケートや地域ウオッチング活動などでつかんだ要求を実現するための活動――多様な署名運動、自治体交渉、議会でのとりくみなど、要求実現の運動と一体に政策論戦を展開したことは、たいへん重要であります。それは日本共産党にたいする住民の信頼を高めるとともに、党員と後援会員が、選挙戦の宣伝・対話活動に自信と誇りをもってとりくむうえでも、大きな力を発揮しました。
全国からの報告では、アンケートにたいして通常の倍以上の回答が寄せられ、内容もびっしりと書かれ、貧困と格差の広がりのなかで「いまの暮らしを何とかしてほしい」という痛切な叫びを聞いたという感想がたいへん多く寄せられました。そういう状況の下でのたたかいだけに、要求実現の運動と一体に政策論戦にとりくむという姿勢は、つぎの参議院選挙にも生かしたいと思います。
政党状況の全体像を明らかにしながら、日本共産党の議席の値打ちを押し出す
二つ目は、政党状況の全体像を明らかにしながら、そのなかで日本共産党の値打ちを押し出したことです。私たちは、いっせい地方選挙で、地方政治では自公民「オール与党」対日本共産党という対決構図となっていることを明らかにする努力を一貫してはらいましたが、そのことが住民の立場にたった唯一の野党としての日本共産党の値打ちをきわだたせました。
個々の政策課題で日本共産党の立場への共感をかちとるだけでなく、政党状況・政党配置の全体像がどうなっているか、そのなかで日本共産党の議席をのばすことがどういう意味をもっているかを明らかにしてこそ、前進をかちとれます。これは参議院選挙のたたかいではよりいっそう重要になります。ここにも参議院選挙に発展的に生かすべき大切な教訓があるということを強調したいのであります。
どんな反共シフト・反共攻撃にも負けない不屈性、戦闘性の発揮
三つ目に、今回の選挙は、「日本共産党落とし」の反共シフト、「自民か、民主か」という「二大政党」づくりの動きのもちこみ、公明党などを先兵にした卑劣な反共攻撃が激しくおこなわれるもとで、全体として、それに正面から立ち向かい、断固たる反撃をつうじて、党の値打ちを光らせていく論戦が、全国各地で意気高くとりくまれました。全国からの報告を読みますと、わが党がどんな反共攻撃にも負けない党へと鍛えられつつある姿が伝わってきます。
参議院選挙にむけては、反共攻撃にくわえて、「自民か、民主か」をあおりたて、日本共産党を国民の選択肢から排除するという大掛かりな攻撃がすでに始まっており、その波のなかでどう前進をかちとるかが問われています。いっせい地方選挙で発揮されたどんな攻撃にも負けない不屈性、戦闘性をさらにいっそう発揮し、知恵と力をつくしてたたかいぬきたいと思います。
第三。「2つの基準」をつらぬけたかどうかが、勝敗の決定的な分岐になる
第三の教訓は、「二つの基準」をつらぬけたかどうかが、勝敗の決定的な分岐になるという問題です。
自己分析と自己変革の精神を発揮して、つぎのたたかいにのぞもう
三月の都道府県委員長会議では、選挙戦をたたかう「二つの基準」――(1)選挙戦の激しさと厳しさを直視し、どの党にも負けない政治的構えを確立し、とりくみをおこなう、(2)得票目標の実現に執念を燃やし、自ら決めた宣伝・組織活動の目標を実現する本気の構えでのたたかいをやりぬく――を提起しました。これをやりぬけたかどうかが、結果の「明」と「暗」を分けたということが、全国のほとんどの報告から共通して寄せられました。
激戦を制して勝利をつかんだ経験では、「『二つの基準』ががんばりの指針だった」、「つねにここにてらして自己点検しながら、ゆるみをただして勝利をつかんだ」などの声が共通して寄せられました。
逆に残念な結果だったところでは、まさにこの点で、党機関の構えと判断、対応に、ゆるみと甘さ、従来の延長線上でみる惰性、問題があっても打開の手をうちきらない成り行きまかせなどがあったことが、後退の最大の原因として率直に語られています。
前半戦で残念な後退を喫したけれども、ただちに教訓を生かして、後半戦で勝利をかちとった県、地区、行政区が全国で生まれました。こうした自己分析と自己変革の精神は、参院選にむけてもたいへんに重要です。
いっせい地方選挙で残念な結果だったところは、その教訓を生かして参議院選挙で必ず前進をはかる、良い結果をだしたところも、その成果や教訓を生かして参議院選挙でさらに前進する。私たちは、いっせい地方選挙と参議院選挙を今年の「二大選挙」として奮闘してきましたが、その総決算となるのは参議院選挙であるということを銘記して奮闘しようではありませんか。
参院選でも支部と機関が「2つの基準」で自己点検し、活動の促進を
そのさい「二つの基準」でやるべきことをやりきるという教訓を、参議院選挙にふさわしい形で生かしたいと思います。
参議院選挙の比例代表選挙は全国一区の選挙となります。中央委員会の責任の特別の重さを自覚して、私たちは知恵と力のすべてをつくして奮闘する決意です。
同時に、六百五十万票以上、得票率10%以上に匹敵する得票目標の実現に、全国すべての支部、地区、都道府県が自覚的責任をもち、それをやりきる立場からつねに「二つの基準」で到達点をみて選挙戦をすすめるようにしたい。宣伝戦でも、組織戦でも、他の党を上回る勢いが出ているかどうか、得票目標を実現するために必要な活動の水準がつくれているかどうか――全国すべての支部、地区、都道府県が、つねに「二つの基準」で到達点を自己点検し、勝利のためにやるべきことをやりきる選挙にしていくことを訴えるものです。
第四。「支部が主役」の選挙戦が大きな力を発揮しつつある
第四の教訓は、「支部が主役」の選挙戦が大きな力を発揮しつつあるということです。
要求活動、支部演説会、党勢拡大、後援会活動――自覚的活動が大きな力に
全国からの多くの報告で、いっせい地方選挙では、「支部が主役」の選挙戦への努力が、大きな威力を発揮したことが、共通して語られました。
支部を基礎にした多面的な要求活動、生活相談、労働相談などが豊かに広がり、「国民の命綱としての日本共産党」の存在意義が、これまでになく生き生きと発揮された選挙になりました。
また、支部主催の演説会、小集会、懇談会がたいへん活発にとりくまれました。過去最高を大きくこえる55・2%の支部がとりくみ、のべ三万回、六十万人近い人々が参加しました。今回のこのとりくみは、のべ回数で四年前のいっせい地方選挙の一・五倍、参加人数で一・四倍となり、これが大きな力となったことはまちがいありません。
新たな党員、読者を迎えたところでは、それが新鮮な活力をもたらしました。一月、二月と、連続して党員、読者を全国的にも増やし、上げ潮のなかで選挙戦をたたかったことは、激しい党派間闘争を支える力となりました。後援会員を、四年前の二百四十六万人から三百九万人へと過去最高まで増やし、ともに奮闘したことも重要な力となりました。
この努力は道半ば――さらに豊かに発展させることは全党の探求課題
同時に、この努力はまだ道半ばであります。「三月八日までに勝利に必要なことをやりきろう」という三中総の提起は大きな力を発揮しました。しかし、選挙戦の運動量の一つの目安になる対話と支持拡大の指標をみても、最終到達は四年前と同水準にとどまり、支持拡大目標比では約六割にとどまりました。
私たちは、「支部を主役」に「選挙戦をともにたたかう担い手」を増やすために一貫して努力しましたが、一部の先進例がつくられたものの、それを大きく増やすにはいたっていません。
党勢拡大は、一月、二月は重要な前進をかちとりましたが、三月、四月は後退し、「しんぶん赤旗」の読者では、日刊紙、日曜版とも、四年前の選挙時比85%という水準でのたたかいとなりました。これをいかにして安定的な前進の軌道にのせるかは、今後の課題であります。
いっせい地方選挙の教訓を生かしながら、「支部が主役」の選挙戦をどう豊かに発展させ、花開かせるかは、参議院選挙にむけたたたかいの重要な探求課題であります。
二、政党状況の特徴と、選挙戦をたたかう政治的構えについて
報告の第二の主題は、政党状況の特徴と、選挙戦をたたかう政治的構えについてであります。
安倍・自公政権の反動的暴走に、正面から立ち向かう力をのばす
今日の政党状況の特徴をどうつかみ、参院選にどういう政治的構えでのぞむかについては、三中総決定がひきつづき基本的指針となります。同時に、政党状況にかかわって、この間、前面にあらわれてきたいくつかの重大な特徴もあります。それもふまえて提起するものです。
安倍内閣をどうみるか――「靖国」派が政権中枢を握った危険と矛盾
第一に、わが党は、参議院選挙を、安倍・自公政権の平和・民主主義・暮らし破壊の暴走に、正面から立ち向かう力をのばす選挙と位置づけてたたかいます。
安倍内閣をどうみるか。この内閣は、一方で、憲法改定を現実の政治日程の問題として提起し、それに道を開く悪法をつぎつぎに強行するなど、平和・民主主義破壊の暴走をはじめています。他方で、貧困と格差がこれだけ深刻な社会問題になっているにもかかわらず、その責任はおろか、現実すらみとめず、「成長戦略」の名で財界支援、国民生活破壊の弱肉強食の「構造改革」の経済路線を継続しています。安倍内閣のこうした姿勢にたいして、広い国民のなかに不安、警戒が広がっています。
これらの問題に、安倍内閣がつけくわえた新しい危険と矛盾があります。それは、「靖国」派――過去の日本の侵略戦争が「正しい戦争だった」と思い込んでいる勢力が政権中枢を握ったことであります。この勢力は、戦後、自民党政治のなかで、連綿とつづいてきましたが、一九九〇年代の中ごろから新たな策動をはじめ、「村山談話」「河野談話」を覆(くつがえ)すことをねらった活動をおこなってきました。
一九九七年には「日本会議」が設立され、「憲法改正」、「教育基本法改正」、「靖国公式参拝の定着」、「夫婦別姓法案反対」、「より良い教科書を子供たちに」――侵略戦争と植民地支配、軍国主義美化の「新しい歴史教科書」づくり――などのスローガンをかかげ、「靖国」派の“総本山”の右翼・改憲団体として活動をすすめてきました。
同じ年に「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」が設立され、「従軍慰安婦」の記述を歴史教科書から削除することを中心に活動をはじめましたが、これは政界で最も突出したタカ派の突撃部隊――「靖国」派のいわば「青年将校」の集団となりました。
安倍晋三氏は、一九九三年に政界に登場した最初からこの流れに身を投じて活動し、そのなかでも最も過激な右翼的立場で名を売り、「頭角」をあらわしてきた人物です。その人物が首相となり、閣僚のほとんどを「靖国」派で固め、首相補佐官や官房副長官にも「靖国」派の仲間たちを総結集したのが、安倍内閣であります。
安倍首相は、わが党の国会での質問にこたえて「村山談話」「河野談話」の継承を公的には言明し、中国などとの外交関係の一定の前向きの転換をはかりました。しかし首相の「靖国」派としての内心・本音は変わりません。内心・本音というのは、おのずとにじみ出てくるものであります。それが「従軍慰安婦」問題での「強制連行はなかった」という発言や、靖国神社への「真榊(まさかき)」奉納問題などの形であらわれています。
この内閣がめざすものは何か。安倍首相が連呼する「美しい国」のスローガンは、じつは「日本会議」が十年前に設立したときに掲げた「美しい日本の再建」という目標をそのまま使ったものであります。首相のいう「戦後レジームからの脱却」のスローガンが意味するものは、戦前・戦中の体制への逆行・回帰にほかなりません。
「靖国」派は、歴史の事実をゆがめた戦争観だけでなく、歴史逆行の国家観をもっています。つまり彼らは、「過去の戦争が正しかった」というだけではなく、その戦争を遂行した日本は「美しい国」だったとして、その「再建」がもとめられているという立場にたっているのであります。
こうした勢力が政権中枢を握ったことは、日本の前途にとってきわめて重大な意味をもちます。それは自民党政治のゆきづまりをいっそう深刻なものとするとともに、アジアや世界との矛盾を拡大せざるをえません。
わが党は、安倍首相が「村山談話」「河野談話」の継承を公的に言明した以上、それに逆行する言動にきびしく反対し、自らの公的言明を行動でも守らせるという立場で対応します。とりわけ、靖国神社の歴史観、戦争観に公的な承認をあたえるいかなる言動にも、わが党は、強く反対します。「靖国」派内閣が、その歴史逆行の思想・価値観を日本の政治と社会、国民生活に押し付けるいかなるたくらみにも、きびしく反対をつらぬきます。
この問題では、党をつくって八十五年、反戦・平和を貫いてきた日本共産党こそが、安倍「靖国」派内閣の危険に正面から立ちはだかり、ストップすることができる政党であるということを深く自覚し、がんばりぬくことが求められています。まさに日本共産党のがんばりどきの情勢だということを強調したいのであります。
公明党について――羽目がはずれた「政教一体」で「悪政戦犯」の役割
公明党の果たしている役割についても言及しなければなりません。
いっせい地方選挙での公明党・創価学会による反共攻撃は、きわめて熾烈(しれつ)なものでした。しかしその内容は、「実績横取りの共産党」という使い古されたデマ宣伝や、「ハイエナ、邪党」といった他人の言葉を借りてわが党に口汚い悪罵(あくば)を投げつけるというお決まりの攻撃であり、攻撃者の政治的品性と政治道徳の水準を自ら天下にしめすものとなりました。わが党は、こうした卑劣な攻撃には、引き続き事実と道理にたって徹底した反撃をくわえていきます。
同時に、公明党が、政権与党の一員として果たしている役割と問題点を、つぎの二つの角度から、きびしく明らかにしていく必要があります。
一つは、「悪政戦犯」の役割であります。与党内での公明党の役割は、自民党に何でも賛成するだけの受動的なものではありません。党利党略の「実績」作りと引き換えに、またあたかも自民党の悪政への「歯止め」役であるかのような欺まん的なポーズをとりながら、悪政をリードする独自の役割を、この党は与党になって七年半の重大な局面で、つねに果たしてきました。
「百年安心の年金制度をつくる」「基礎年金の税負担を二分の一に引き上げる財源」という名目で、「定率減税の廃止と年金課税の見直し」をいち早く主張し、「増税戦犯」と批判されているのは、そのもっとも重大な一例であります。
昨年秋の臨時国会で、児童手当の拡充と引き換えに、防衛庁を省に昇格させ、自衛隊の海外活動を本来任務に格上げする自衛隊法改悪を主導し、教育基本法改悪を主導したのも、公明党でした。
公明党は、いっせい地方選挙で「完勝」したと自賛していますが、得票数は、道府県議選でも、政令市議選でも四年前の選挙比で減らしています。これは「増税戦犯」など、この党の果たしてきた悪政の水先案内人としての役割にたいする、国民のきびしい批判を反映したものにほかなりません。
いま一つは、公明党と創価学会の「政教一体」ぶりが、いよいよ羽目がはずれたものになっていることであります。創価学会の機関紙・「聖教新聞」を使った、池田大作氏が陣頭指揮をとっての選挙区名をあげての「政教一体」選挙は、いっせい地方選挙では四年前からのものでしたが、今回の選挙の様子をみますと、その羽目が完全にはずれ、むき出しになってきています。
たとえば、今回のいっせい地方選挙では、二月の「聖教新聞」紙上に、池田大作氏が「山本伸一」の名で、「勝ちまくれ、また勝ちまくれ」と大号令をかける長文の「詩」なるものが掲載され、これが創価学会が選挙戦をたたかう事実上の指導文書とされました。いっせい地方選挙が終わった直後の四月二十四日付の「聖教新聞」は、一面トップの横凸版の大見出しで「全国が完勝 同志に感謝」、タテ見出しで、「『戦い切った』喜びの勝鬨 広宣流布へ! 『法華経の兵法』で快進」などと大々的に報じ、公明党候補が全員当選したことを、「全国に創価完勝の旗が翻った!」と、臆面(おくめん)もなく創価学会の「完勝」として誇示しています。四年前の選挙のさいには、多少とも控えめに扱ってきた選挙の報道が、いまでは「創価学会の勝利」として前面に押し出されています。
二〇〇一年に、わが党の不破議長(当時)は、「創価学会・池田大作氏に問う――31年前の『猛省』は世をあざむく虚言だったのか」で、創価学会・池田大作氏が、かつての言論弾圧事件への「猛省」をかなぐりすて、事件そのものを「仏敵」の「極悪の非難」から「正義の信仰」をまもりぬいた闘争として描きだし、「政教分離」の公約もかなぐりすてていることをきびしく指摘しました。そして自分を批判するものはすべて「仏敵」とし、手段を選ばず「撲滅」をはかるという「究極の独善主義」が、むき出しの形で復活していることを批判しました。それから六年、この集団は、わが党の批判にたいして何の回答もないまま、異常な「政教一体」と反共主義の道を暴走しています。
創価学会は、かつての公明党国会議員にたいして、「議員になれたのは、誰のおかげだ。お前たちの今日があるのは、誰のおかげだ。すべて学会のおかげではないか」と公言してはばかりません。「仏敵撲滅」論にたった反民主主義的体質をあらわにしている集団が、政権与党をささえる公党の議員にたいして、「議員になれたのは誰のおかげだ」と言い放つ関係をつくりあげていることは、日本の民主主義の前途に重大な危険をもたらしかねないものであります。こうした異常な集団と一体の関係にある政党の政権参加の是非、そしてそれと連立を組んでいる自民党の姿勢が、いまきびしく問われています。
わが党は、「政教一体」で、「悪政戦犯」の役割を果たしている公明党・創価学会の危険な役割を、広く国民に明らかにしていくために力をつくすものであります。
「自民か、民主か」の「2大政党」づくりの動きをおしかえす
第二に、わが党は、「自民か、民主か」の「二大政党」づくりの動きを本格的におしかえし、自民党政治を大もとから変える力をのばすことをめざしてたたかいます。
民主党――三中総の指摘はこの党の現実の行動で証明された
三中総決定では、「今日の民主党をどうみるか」について、二〇〇三年十月の民主党と自由党の合併を契機に、憲法改定、消費税増税、選挙制度改定など、日本の進路にかかわる重大問題について、民主党が自民党政治と同じ流れに合流し、財界からも、アメリカからも信頼されるもう一つの保守政党への変質をとげたこと、その後の三年余の動きはそのことを裏付けていることを詳しく明らかにしたうえで、つぎのように結論づけました。
「今日の民主党は、自民党政治の『三つの異常』を共有する政党であり、政治の基本でどちらかが『よりまし』とはいえないのであります」。
三中総のこの指摘は、半年間の民主党の現実の行動で証明されています。民主党は、安倍政権との「対決姿勢」を打ち出していますが、どの分野でも対決する中身は見えてきません。
具体的事実を提供する形で、広く国民に明らかに
たとえば民主党は、にわかに「格差是正」を叫んでいます。しかし貧困と格差を拡大した責任は、自民・公明政権だけのものではありません。民主党は、これまで貧困と格差を拡大する弱肉強食の経済政策――「構造改革」路線を、自公政権と競い合って推進してきました。労働法制の規制緩和、介護保険法の改悪、母子家庭への児童扶養手当の削減、大企業減税などは、民主党も旗をふり、賛成・推進してきたものばかりであります。
「格差是正」というのならば、自らのこれまでの行動への反省が必要ではないか。反省なしに「格差是正」を叫ぶのは、国民にたいしてあまりに無責任・不誠実ではないか。わが党は、そのことを指摘してきましたが、民主党はこの批判にたいしては、だんまりを決め込むだけであります。
憲法問題ではどうでしょうか。安倍内閣が憲法改悪への暴走をはじめるもとで、民主党のとっている態度は「憲法より生活」といって憲法論争を回避するというものであります。しかし、いやおうなく提起される法案にたいしては、民主党の基本路線の問題が浮き彫りになります。
民主党は、防衛省格上げ・自衛隊法改悪に賛成し、教育基本法改悪でも、政府案と似たりよったりの「対案」を提出し、参議院の最終局面では法案強行を事実上容認する態度をとりました。森元首相は、「教育基本法改正や防衛庁の省昇格ができた背景には、政界が二大政党ではないが、二大勢力になりつつあることも大きい。だから政策に多少の違いがあっても、上手に国政を動かしていくことが必要だ」とのべました。
改憲手続き法についても、これを自公民の合作によってつくることができなかったのは改憲派のシナリオの一つの破綻(はたん)ですが、この問題でも民主党は自公案と「99%は同じ内容」の「対案」を提出して同じ流れのなかで競い合い、修正の談合をおこない、参議院段階の最終局面では中央公聴会も開かないなどまともな審議ぬきの採決日程に合意するなど、改憲手続き法強行に事実上手を貸しました。ここでも民主党の責任は重大であります。
民主党が、憲法にかかわる問題で論争を回避し、どの問題でもだらしのない対応に終始しているのは、「海外で戦争する国」をつくる方向での改憲論を掲げる点では、自民党と同じだからであります。民主党が参院選にむけて出した「マグナカルタ」では、憲法論をほとんど語っていませんが、この党の憲法論の到達点は、二〇〇五年に発表した「憲法提言」にあり、その基本的立場は、「国連の決定があれば、海外での武力行使を認める」というものであります。
くわえてこの党がかかえている深刻な問題は、党内に「靖国」派を抱えているということであります。「日本会議国会議員懇談会」に参加する衆参二百三十五人の議員のうち二十五人は民主党議員と指摘されています(二〇〇五年六月時点)。
自民党政治と、弱肉強食の「構造改革」を競い合い、憲法改定を競い合い、「靖国」派でも同根の流れを抱える民主党では、安倍・自公政権の危険な暴走は止められません。政治を変える力になりません。私たちは、そのことを具体的事実を提供する形で、広く国民に伝えていきたいと思います。
「たしかな野党」――日本共産党の議席の値打ちを、正面から語りぬく
第三に、こうした政党状況のなかで、どうやって日本共産党の前進・勝利をかちとるかです。
わが党は、「いまこそたしかな野党が必要です」というスローガンを掲げてたたかいぬきます。わが党が、「たしかな野党」というキャッチフレーズを掲げたのは、二〇〇五年総選挙のときからですが、「いまこそ」とあるように、これがいよいよ切実で重要な意味をもつ情勢が展開しています。
前回参院選での教訓(第二十三回党大会二中総)を全面的に生かしてたたかいぬこう
このスローガンのもとに、わが党の押し出しをおこなうさいに、三年前、二〇〇四年の参議院選挙の教訓を、直面する参院選に全面的に生かすことが大切です。改選十五議席から四議席への後退という痛苦の結果となった参議院選挙を総括した二〇〇四年八月の第二十三回党大会二中総で、私たちはつぎのような教訓を引き出しました。
――わが党の政策的な訴えは、全体として情勢と国民の利益にかなっており、それが伝わったところでは、政策への共感が広がった。問題は、わが党の政策的訴えが国民の共感を得たとしても、「二大政党」のキャンペーンのもとでは、それだけではわが党への一票には直接にはつながらなかったことにあった。「二大政党」論の作用は、きわめて強い力をもって働き、国民のあいだに自民党政治への批判が強まれば強まるほど、「政権交代」の当面の「受け皿」としておしだされた民主党に、自民党批判の票が集中するという流れが強まり、この動きはわが党にとって大きな逆風として作用した。
――こうした「二大政党の選択」という図式が国民に迫られるもとで、「共産党はいいことをいうが力がない」という声に多くぶつかった。そういう声にたいして、わが党が正面から答え、日本共産党の議席と得票をのばすことがどういう意義をもつかを、意識的に提起し、本格的な論立てをもって国民に訴える論戦にとりくんだかといえば、そうはいえなかった。ここに政治論戦の最大の弱点があった。「二大政党づくり」は相手側の長期戦略であり、この動きとのかかわりで党の議席と得票をのばすことの意味を、広い国民にたいして正面から語ることが、今後のたたかいで重要になってくる。
直面する参院選でも、二〇〇四年参院選と同じような状況が再現される可能性があります。「与野党逆転」が現実の可能性としてあるだけに、「二大政党」論の作用は三年前よりもさらに強まることも十分に考えられます。
これにどうやって立ち向かい、勝利をかちとるか。議席の大幅後退という痛苦の結果を分析し、そこから全党の英知によって教訓をひきだした、第二十三回党大会二中総決定にそくしてたたかいぬくということを提起したいのであります。
日本共産党の議席の役割――今日の情勢にそくしておおいに訴える
二中総決定は、わが党の議席のもつ役割について、六つのポイントで強調しています。それを今日の情勢にそくして、具体化していきたいと思います。
(1)安倍・自公政権の反国民的暴走をストップする議席
第一は、日本共産党の議席は、安倍・自公政権の反国民的暴走をストップする議席であります。安倍内閣という「靖国」派政権が誕生し、そのもとで憲法改定にむけた危険な暴走が始まっているときに、これに正面から立ちはだかる確固とした立場をもっているのは、日本共産党だけであります。貧困と格差の広がりという一大社会問題を、異常な大企業中心主義というその根源にメスを入れ、大もとからただす立場をもっているのも日本共産党だけであります。日本共産党の議席は、いまの政治に不安と危険を感じている人々にとって、もっとも頼りがいのある平和、民主主義、暮らしの守り手の議席であります。
(2)自公、民主の共同での間違った政治に反対をつらぬく議席
第二は、自公、民主の共同での間違った政治に反対をつらぬく議席であります。憲法改定で基本的に同じ流れにたつ自民・公明両党と民主党は、防衛省格上げ・自衛隊法改悪、教育基本法改悪、改憲手続き法など、憲法改定につながる一連の悪法でも、賛成するか、ほとんど同一の内容の「対案」を出し、実質的には共同で推進をはかってきました。労働法制の規制緩和、介護保険の改悪などでも、共同で推進してきました。日本共産党の議席は、こうした自公、民主の共同での悪政推進にたいして、国民が反対の声をあげ、運動をすすめるうえで、もっともたしかなよりどころとなる議席であります。
(3)草の根の力と連携し、国民の要求で国政を動かす議席
第三は、草の根の力と連携し、国民の要求で国政を動かす議席であります。日本共産党は、衆参あわせて十八の議席ですが、現実に国政を動かす抜群の働きをしてきました。職場の運動と共同して、「サービス残業」根絶の「通達」を厚生労働省に出させ、八百五十二億円の不払い残業代をとりもどしました。「偽装請負」一掃の「通達」を出させ、直接雇用を広げてきました。サラ金の異常な高金利の是正をはかるうえでも大きな役割を果たしました。「愛国心通知表」について「適切ではない」との首相答弁を引き出し、全国各地で是正をさせてきました。これらは自民党政治の根本をただすという立場を持つ日本共産党ならではのものであり、自公、民主は、国会にどんなにたくさんの議席を持っていても、こうした仕事はできません。
(4)政治の不正・腐敗をただし、議会制民主主義を守る議席
第四は、政治の不正・腐敗をただし、議会制民主主義を守る議席であります。いま政治とカネの問題が国民の大きな怒りをかっています。今年の国会をとってみても、自民・民主の議員らが、家賃ゼロの衆参議員会館に、多額の「事務所費」を支出している問題を最初に明らかにし、国政の大問題にしたのは、「しんぶん赤旗」のスクープと日本共産党国会議員団の奮闘でした。これは、企業献金も、政党助成金も受け取らない清潔な党ならではの働きであります。
(5)世界の諸国民と日本国民の平和の願いをつなぐ議席
第五は、世界の諸国民と日本国民の平和の願いをつなぐ議席であります。日本共産党は、野党の立場ですが、日本国民と世界諸国民の交流と友好、世界の平和と進歩のための野党外交を発展させてきました。わが党の綱領が掲げる世界の公理にたった外交方針と、反戦平和と自主独立の歴史は、アジア諸国民、世界の諸国民との友好と信頼を広げる土台となっています。この野党外交を発展させるうえで、わが党が国会で議席を持っている、多くの国民の支持を得て活動している政党であることは、欠くことのできない力となっています。
(6)「たしかな野党」の議席を増やしてこそ、本物の民主的政権への道が開ける
第六は、「たしかな野党」の議席を増やしてこそ、本物の民主的政権への道が開けるということです。「二大政党づくり」の動きは「政権交代」が売り物ですけれども、自民党政治の古い枠組みに手をつけない「政権交代」では、仮に実現したとしても、「政治を変えたい」という国民の願いは実現できません。それどころか、政権をとりたいがために民主党が基本路線で自民党と区別のつかない政党に、いよいよ年を追うごとになっていき、そのことが、結局は、自民党の延命を助けているというのが実態であります。「たしかな野党」とは、いつまでも野党ということではありません。いつまでも野党の立場に甘んじることでは決してありません。この議席を増やすことこそ、自民党政治を大もとから変える民主的政権への道を開く大道であるということをおおいに訴えていきたいと思います。
こうした六点が大切ですが、もちろん、いつでもどこでも六点を語る必要があるということではありません。ただここにこめられた見地、立場に立って自由闊達(かったつ)に党の押し出しをやろうではないか、というのが今回の提起であります。
三年前の参院選の教訓のカナメは、選挙戦の熱い焦点での政策問題でわが党が論戦をリードするとともに、日本共産党への一票の値打ち、一議席を増やすことの値打ちを、正面から語りぬいてこそ、どんな複雑な逆風がふいてもわが党の前進への道が開かれうるということでありました。この立場を堅持して選挙戦にのぞもうではありませんか。
日本共産党の議席をのばせば、政治に前向きの変化が必ずおこる
日本共産党は、現有の衆参十八議席でも重要な働きと存在感をしめしています。それを一議席でも二議席でものばせば、政治に前向きの変化が必ずおこる、このこともおおいにリアルに語っていきたいと思います。
参議院で現有九議席から十以上の議席を獲得することは、たいへん切実な意義をもっています。一議席増やして非改選の四議席とあわせて十議席になれば、議院運営委員会に参加でき、施政方針演説や決算にたいする質疑以外の重要法案についても本会議質問ができるようになります。不当に排除されつづけてきた党首討論でも発言できるようになります。二議席増やして十一議席になれば議案提案権を獲得でき、国民の要求を法案の形で提案する権利をふたたび手にすることができます。日本共産党の議席が増えれば国民の声がとどく国会にするうえで、どういう変化がおこるかもおおいに語っていこうではありませんか。
このとりくみとあわせて、綱領にしめされた日本改革の方針と未来社会論、八十五年の党の歴史の値打ちなど、日本共産党の全体像を語るとりくみをおおいにすすめたいと思います。
三、貧困・格差問題、憲法改定問題――選挙戦の2つの焦点について
第三の主題は、貧困・格差問題、憲法改定問題という、選挙戦の二つの焦点についてです。
貧困と格差の打開、国民生活防衛について
貧困と格差の問題は、参院選の重大争点です。「成長戦略」の名での財界応援の政治か、貧困と格差を打開し、国民生活を応援する政治か、二つの道の選択が問われています。そして、「格差是正」の言葉だけでなく、たしかな中身をもつ政党はどの党か、国民とともに行動する政党はどの党かが問われています。この一大社会問題の根本的打開の道をしめし、国民とともにたたかう党が、日本共産党であります。
税制、社会保障、雇用政策の「3つの転換」を求めてたたかう
わが党は、貧困と格差を打開するために、税制、社会保障、雇用政策の「三つの転換」を求めてたたかいます。
第一は、庶民に大増税、大企業・大金持ちに大減税という「逆立ち」税制をただすことであります。貧困と格差が拡大したら、所得の再分配によってそれを是正するのは税と社会保障の本来の重要な仕事です。ところが日本はOECD(経済協力開発機構)諸国で、税と社会保障による所得の再分配機能が最低の国となっています。
直面する重大問題は、今年六月に住民税の大増税という形で庶民の家計を襲う定率減税の廃止による一・七兆円規模での増税であり、その中止を求める署名、運動、論戦をおおいに展開します。いまわが党がとりくんでいる署名にたいして「これ以上の増税では生きていけない」という強い反応が全国で寄せられています。いっせい地方選挙で訴えた公約を実現するために力をつくすという見地からも、積極的なとりくみを訴えるものです。
同時に、税の問題では、消費税増税問題が、さしせまった重大争点となります。安倍首相は、今年一月の施政方針演説で、「本年秋以降、本格的な議論を行い、二〇〇七年度を目途に、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現すべくとりくむ」とのべました。「任期中は消費税を増税しない」と繰り返した小泉前首相と違って、安倍首相は消費税増税について「逃げず、逃げ込まず」などと推進を明言しています。参院選で国民の審判もあおがずに、選挙が終わったら消費税増税を具体化する――この重大問題での白紙委任状を政府にあたえるわけにはいきません。今日の「逆立ち」税制の実態が、どんなに不公平・不条理かを告発しながら、消費税増税反対の論戦と運動におおいにとりくむことを訴えるものです。
第二に、社会保障のこれ以上の切り捨てを中止し、拡充をはかるため、つぎの緊急要求を掲げてたたかいます。医療では、「命の格差」を許さず、とりわけ全国で深刻化している国民健康保険の問題については、国の責任で一人一万円の国保料引き下げをはかるとともに、保険証のとりあげを中止させることを求めてたたかいます。年金では、最低保障年金制度の創設に踏み出すことを求めます。介護では、介護保険料・利用料の引き下げ、介護サービス水準の拡充のために国に責任を果たさせることを求めます。子育てでは、全国の自治体で広がっている子どもの医療費無料化制度について、国の制度としてもまず就学前まで無料にする制度を確立することを要求してたたかいます。障害者自立支援法の「応益負担」を撤回させ、生活保護の老齢加算、母子加算を復活させ、母子家庭への児童扶養手当切り下げを中止することを求めます。これらの要求は、どれも全国で草の根の運動が掲げている切実な待ったなしの緊急要求であり、同時に政治の姿勢一つでどれも実現可能な要求であります。
第三は、人間らしく働けるルールをつくることであります。「サービス残業」と「偽装請負」という職場の二つの無法の根絶をはかるために法的措置をとることを求めます。「ホワイトカラー・エグゼンプション」――「残業代取り上げ法案」については、今国会の成立は断念となりましたが、相手はあきらめていません。これを断念することを、今度の選挙では強く求めてたたかいます。パート・派遣労働者などへの不当な差別、格差をなくすことも重要な課題です。全国平均で時給六百七十三円とあまりにも低すぎる最低賃金を時給千円を目標に抜本的に引き上げ、全国一律の制度として確立することを強く求めたたかいます。「ネットカフェ難民」から脱出するための家賃補助など緊急の手立てもふくめ、若者の雇用問題に政府が本腰を入れて乗り出すことを求めていきます。
以上の「三つの転換」を、貧困と格差を打開する基本要求として、わが党はいっかんして掲げて、この選挙をたたかいぬきます。
どの問題でも、異常な大企業中心主義をただすという姿勢が必要であり、わが党ならではの提案であります。またこれらの要求の実現は、貧困打開、国民生活防衛にとって切実なだけでなく、日本の経済と社会の健全な前途を開くうえでも重要な課題であります。
税金の無駄づかいの総点検・告発・一掃を――軍事費の浪費にもメスを
税金の無駄づかいにたいする国民の怒りは強いものがあります。公共事業の浪費問題をめぐっては、いっせい地方選挙でも各地で大問題となりましたが、スーパー中枢港湾、大都市圏環状道路、都市再開発など、「新しい利権」が拡大しています。同時に、無駄な道路をつくりつづける自動装置となっている道路特定財源の温存、全国各地で残されている無駄なダム計画のような「旧来型の利権」も温存されています。これらの浪費を見直し・中止させ、住宅整備、学校の耐震化、生活道路など暮らしに役立つ公共事業への内容の転換をはかることが重要であります。
くわえて強調したいのは、政府が「聖域」としている軍事費問題についても、「無駄づかい」という角度から抜本的メスを入れるということです。たとえば旧ソ連への「対抗」を大義名分として導入された90式戦車というものがあります。私は一九九五年の国会で「この戦車の使い道は」と聞いたことがありますが、政府は荒唐無稽(むけい)な答弁しかできませんでした。しかし今でもこれを購入し続けている。こういった使い道のないはずの兵器を、ソ連崩壊後も巨額の税金を投入して購入していること、さらに沖縄海兵隊の移設を名目にしたグアムの米軍基地強化のために、巨額の日本国民の税金を投入する計画など、世界に類のない異常な支出を中止することを求めます。
無駄づかい問題については、党として、国政のあらゆる分野での浪費を総点検・告発・一掃するための特別なプロジェクトチームをつくり、系統的にとりくんでいきたいと思います。
弱者切り捨ての「棄民政治」を告発し、国民の生存権を守る運動に力をそそぐ
三中総決定は、憲法二五条が保障する生存権にたって、貧困打開、生活防衛の国民的大運動をよびかけました。この総会では、その具体化の一つとして、行政が切り捨て、見捨てようとしている社会的弱者の実態を告発し、その苦難を打開していく運動を提唱したいと思います。
いま社会的弱者を行政が文字どおり「見捨て」「生きていけなくさせる」政策――「棄民(きみん)政策」ともよぶべき冷酷非情な事態がすすんでいることはきわめて重大であります。
政府の医療切り捨て政策によって、医療保険証の取り上げ、末期の患者の病院追い出しなど、医療から見捨てられる「医療難民」が急増しています。介護では、施設でも、在宅でも、人間らしく生きる最小限のサービスまで取り上げられ、「介護難民」とよばれるお年寄りが急増しています。日々働きながらアパートさえ借りられない「ネットカフェ難民」が若者の間で広がっています。生活保護をめぐっては、違法な「水際作戦」や「辞退強要」で、餓死に追い込まれるという痛ましい事件も発生しています。そしてこれらの多くの人々が、自らは声さえ上げられない状態のなかで苦しんでいることは、事態をいよいよ深刻にしています。
弱者が生きていけない社会でいいのか。あちこちで「難民」とよばれるような、人間としての権利も尊厳も奪われ、まともに生きていく最低限の条件も奪われる人々を、大量に生み出すような社会でいいのか。これが、いまきびしく問われています。
このもとで日本共産党が民主団体と協力して、いま社会的弱者を襲っている貧困の深刻な実態を告発し、国民の生存権をまもる運動に思い切って力をそそぐことを提唱するものです。そのさい、生活相談、労働相談などをさらに強めるとともに、医療、福祉、介護などの関係者、それぞれの分野で社会保障を支えてがんばっていらっしゃる関係者の方々との対話と共同を強めることが大切です。文字どおり生きる権利が奪われようとしている多くの国民の苦難を軽減し、国民の命綱としての役割を発揮することは、わが党の存在意義にかかわる重大な責任であることを強く訴えるものであります。
憲法改悪反対の論戦と運動について
安倍内閣の改憲策動の3つの矛盾
つぎに憲法改悪反対の論戦と運動についてのべます。
安倍首相が、任期中の憲法改定を宣言し、改憲手続き法を強行し、改憲スケジュールを政治日程にのせようとする動きをすすめるもとで、憲法問題をめぐる対決は、重大な新局面を迎えています。
安倍内閣による改憲への暴走の危険を直視しつつ、そのことによって広がる矛盾をとらえ、国民多数派を結集する論戦と運動におおいに攻勢的にとりくむことが重要であります。安倍内閣の改憲策動には、いくつかの新しい特徴、そして新しい矛盾があります。
第一は、憲法改定の目的が、「海外で戦争をする国」づくりにあることが、安倍首相自身の言明によってあきらかになってきたということであります。
首相は、まず第一段階として、政府の憲法解釈をさらに変えることによって集団的自衛権の行使に道を開き、第二段階として、明文改憲による「米国と肩を並べて戦争をする国」づくりをすすめるという、改憲スケジュールを描いています。
すでに首相は、解釈改憲による集団的自衛権行使の「研究」をすすめる「有識者懇談会」を設置し、第一段階の具体化に足を踏みだしています。「イラクに派遣された自衛隊が、いっしょに活動する他国の軍隊が攻撃をうけたときに応戦する」。これが「研究」対象とされていることがしめすように、いま現実に想定されているシナリオは、日本の防衛とはまったく無関係の、イラク戦争のような無法な先制攻撃戦争への参戦のための障害をとりはらうことにあります。
これは、日米軍事同盟を“ともに血を流す同盟”として地球的規模に拡大しようという、米国の圧力と要求にこたえた最悪の売国政治であり、国連憲章にもとづく平和秩序への志向が大勢となっている世界で孤立する道にほかなりません。
第二は、「靖国」派が改憲勢力の中心にすわったことによる矛盾の深刻化であります。過去の侵略戦争を正当化し、戦前・戦中の日本こそ「美しい国」だったとあこがれる勢力が、改憲を強行することの危険ははかりしれないものがあります。それは、かつての軍国主義の復活そのものであり、「美しい国」どころか「恐ろしい国」づくりにほかなりません。
こうした動きが、日本国民との矛盾はもとより、アジアと世界との矛盾をさらに劇的に広げることは避けられません。それは、日米の改憲勢力のなかにも矛盾と亀裂を生む可能性をはらんでいます。
アメリカの保守派論客のフランシス・フクヤマ氏は、最近の論文でこういいました。「実際、ドイツと異なり、日本は太平洋戦争についての自らの責任を決して受け入れていない」「冷戦の末期以降、アメリカは日本に再軍備を迫り、日本の戦力保持と交戦を禁じている戦後憲法の九条改定を公式に支持してきた。……しかしアメリカは自らが願っていることに慎重であるべきだ。……日本の新たなナショナリズムという背景に照らせば、日本の一方的な九条改定は実質的に日本をアジア全体から孤立させることになるだろう」。日本に改憲を迫ってきた米国のなかからも、保守派の論客がこうした懸念の声をあげていることは、注目されます。
「靖国」派が改憲勢力の中心にすわったことによって、安倍改憲論は、これまでの改憲論に新たな重大な矛盾をつけくわえました。それはアジアと世界からの孤立をさらに深刻にする道にほかなりません。
第三に、安倍首相のいう「美しい国」づくりが、戦前・戦中の体制への復古要求にほかならないことを問題にしていくことが重要であります。
安倍改憲論では、九条改定による「海外で戦争をする国」づくりが中心問題ですが、同時に人権と民主主義の問題での逆行の動きも重大であります。国民の心や市民生活まで「靖国」派の「価値観」によって支配し、染めあげていこう、こういう野望がすすめられています。
「日本会議」が実質的に作成し、五月三日に発表した「新憲法大綱案」なる文書があります。これをみますと、九条二項を削除し「集団的自衛権の行使を当然視」することとともに、天皇の「元首」化と天皇中心の「国柄」――戦前の「国体」の復活、「公の秩序」などを名目にした「人権制約原理の明確化」、国民の徴用や徴兵に道を開く「国民の国防の責務」の明記、教育への国家権力の介入を無制限にする「公教育に対する国家の責務」などが列挙されています。
くわえて「靖国」派の勢力が、「男女共同参画社会基本法」の廃止をめざす新しい組織を発足させたり、学校教育における男女共学を否定するなど、憲法二四条にもとづいて両性の平等、女性差別の撤廃を社会の目標とすることそのものに、きわめて激しい敵意を燃やしていることも、この勢力の時代逆行の姿を象徴するものとして重大であります。
安倍内閣が、改悪教育基本法、その具体化のための諸法案などをつうじて押し付けようとしている「道徳教育」も、その内容が「靖国」派の「道徳」「価値観」とされようとしているところに、特別の深刻さがあります。
これらの動きは、平和を希求する日本国民との矛盾を深めるだけでなく、日本国憲法に依拠して、人権と民主主義を日本社会に根づかせようという国民の世論や運動とも激しく衝突し、矛盾を広げざるをえないでしょう。
危険と同時に、矛盾が広がり、たたかいを前進させる条件も広がっている
安倍改憲論の危険性は重大であります。同時に、矛盾も劇的に広がり、たたかいを前進させる条件も広がっています。
各種の世論調査でも、九条改憲反対の声が年々増え続け、とくに一般的には改憲に賛成だという人々もふくめて「安倍内閣のもとでの改憲には反対」という声が多数をしめていることは重要であります。ここには全国で六千をこえて広がっている「九条の会」の発展をはじめ、草の根の運動のもつ力が反映しています。
改憲派がどんな仕掛けをつくろうと、国民の多数が「ノー」といえば憲法改定はできません。現にすすめられている憲法改定を先どりする一つひとつの動きに反対する運動を強めながら、憲法改悪に反対するゆるぎない国民的多数派をつくるために、力をそそごうではありませんか。
日本共産党の前進で、安倍「靖国」派政権の改憲策動に痛打を
そして参議院選挙のたたかいが重要であります。安倍首相は、「参院選で憲法問題を争点とし、自民党の『新憲法草案』の内容を訴えてたたかう」とのべています。わが党はこれを正面から受けてたち、改憲派をおいつめる論戦を堂々と展開します。みなさん、参議院選挙を日本共産党の前進で、安倍「靖国」派政権のすすめる改憲策動に痛打をあたえる選挙にしていこうではありませんか。
四、「比例を軸」に、「支部が主役」の選挙戦で必ず勝利をつかもう
報告の第四の主題は、「比例を軸」に、「支部が主役」の選挙戦にとりくむという問題です。
前進の条件、厳しさ――両面を直視し「2つの基準」でたたかいぬく
奮闘いかんでは参院選で前進し、目標を達成する客観的条件は存在する
第二十四回党大会決定では、参議院選挙の目標についてつぎのようにのべています。
「比例代表では五議席を『絶対確保議席』として、今度こそ、全党の結束した力で必ず獲得する。比例代表選挙での得票目標は、六百五十万以上(得票率10%以上)とする。これは総選挙の比例代表選挙比で約一・三倍以上となる」。
「選挙区選挙では、全選挙区に候補者を擁立してたたかい、現職区である東京での議席の絶対確保とともに、二〇〇四年選挙で議席を失った神奈川、埼玉、愛知、京都、大阪、兵庫での議席奪還をめざす」。
この目標の達成のために、党の総力を挙げたたたかいに挑もうではありませんか。
わが党の奮闘いかんでは、参議院選挙で前進し、この目標を達成する客観的条件が存在します。自民党政治のゆきづまりは、安倍・自公政権のもとで、平和と民主主義の問題でも、暮らしの問題でも、これまでのどの国政選挙よりも深刻になっています。自民党政治の「三つの異常」がどれも拡大し、とりわけ「靖国」派が政権中枢をしめたことによる矛盾が膨れ上がっています。こうしたもとで、国民のなかに不安と危機感が広がり、無党派、保守層もふくめて多くの人々のなかに「いまの政治を変えてほしい」という切迫した思いが広がっています。それを受け止められる政党は、日本共産党だけであります。
わが党が前進しうる条件は、いっせい地方選挙での善戦・健闘という結果にもしめされました。冒頭で報告したように、これまでにない大奮闘によって、得票を飛躍させ、難しい条件で勝利をかちとった経験が全国各地に生まれました。これは、全国どこでも奮闘いかんでは同じような躍進がかちとれることを事実で証明するものであって、これらの経験におおいに学び、参議院選挙では、それを全国のたたかいに生かしていきたいと思います。
「自民か、民主か」のキャンペーンは、わが党の前進をはばむ最大の「反共シフト」
同時に、直面する参議院選挙での厳しさを直視して、腹をすえ、正面からたちむかうことが大切であります。とくに、「自民か、民主か」のキャンペーンは、わが党の前進をはばむ最大の「反共シフト」であり、そのなかでわが党の前進をどうはかるかは、新しい課題であり、新しい挑戦であります。
現状では、この動きには、矛盾や混迷もつたえられていますが、その担い手たちがどんなにだらしなくても、「二大政党」の選択に選挙戦を染めあげていく力が強力に働くことは、これまで何度も私たちが体験してきたことであります。
同時に、わが党は、この最大の「反共シフト」と過去三回の国政選挙でたたかい、たたかいのなかで鍛えられ、たたかいのなかから教訓をえてきました。「二大政党づくり」の動きは、反動勢力が日本共産党を押さえ込む長期戦略であります。財界主導のこの動きは、打ち破りがいのある相手であります。今回の選挙では、これまで過去数回のたたかいからえたすべての教訓を生かして、この動きを本格的におしかえす一歩の選挙にしていこうではありませんか。
国民的要求にもとづく政策を語りぬき、「たしかな野党」の議席の値打ちを語りぬく
今後の選挙戦の展開のなかでどういう流れがつくられようとも、国民要求にもとづく政策を語りぬくとともに、さきにのべた「たしかな野党」――日本共産党の議席と得票をのばすことの意味を語りぬくことが重要であります。
「二大政党づくり」の動きとのかかわりで、日本共産党への一票の値打ち、議席の値打ちを語りぬいてこそ、政策的共感を得票と議席の前進にむすびつけることができます。この政治的構えを一貫して堅持し、「二つの基準」でやるべきことをやりぬいて、必ず勝利をつかもうではありませんか。
「比例を軸」に――一人ひとりが候補者、自らの選挙として
つぎに、「比例を軸」にという方針について報告します。
比例代表選挙は、政党間の基本的力関係がしめされ、日本の政治の流れを方向づける意義をもつもっとも重大な選挙であります。今度の参議院選挙にあたっては、「比例を軸に」――比例代表選挙を選挙戦全体の中軸にすえ、有権者に日本共産党そのものの支持を広げる活動を、選挙戦全体の柱にすえる方針をつらぬきます。
比例代表選挙は、最もたたかいやすく、最もたたかいがいある選挙
まず強調したいのは、比例代表選挙は、日本共産党員にとって、最もたたかいやすく、また最もたたかいがいがある選挙だということであります。
――全国が必勝区であり、すべての都道府県、地区委員会、支部が必勝区であり、獲得したどの一票も議席にむすびつく選挙です。
――「全国は一つ」のたたかいがもっともダイナミックに展開できる選挙です。あらゆるつながりを生かし、また各戦線・各分野の力を縦横に発揮して選挙にのぞみます。
――候補者は、知名度抜群の日本共産党であり、一人ひとりの党員が候補者の選挙です。入党の初心を語り、党への誇りを語ることは、日本共産党員だったらだれでもできる活動です。
――国政で争われる問題は、貧困と格差の問題でも、憲法と平和の問題でも、いちばん身近でわかりやすく、だれでも語れます。
――参議院選挙は、投票が二回あり、有権者は二票もっているということを強調したい。たとえ選挙区では支持が得られなくても、比例は日本共産党にという訴えが大切であります。
今回の比例代表選挙では、「比例代表は日本共産党と書いてください」と訴えて選挙をたたかいます。このなかで五人の比例候補が実力と若さにあふれるベストチームであることを広く知らせていきます。
五人の比例候補の当選を保障するために、党員は、比例代表の担当地域の候補者名で投票をおこなうこととします。
すべての支部、地区、都道府県が「自らの選挙」としてたたかいぬく
いま一つ、強調したいのは、この選挙を「自らの選挙」にしていくということであります。「比例を軸に」の選挙をたたかいぬくうえで、すべての支部と党員、すべての地区委員会と都道府県委員会が、六百五十万票以上、10%以上にみあう得票目標の実現に責任をもち、この選挙を「自らの選挙」としてたたかうという姿勢を、一貫してつらぬくようにしたいと思います。私もいなか育ちですが、いなかの言葉でいえば、「おらが選挙」にしていくということであります。
いっせい地方選挙は、地区委員会や支部の奮闘が、候補者の当落と直接むすびつくたたかいであり、いやおうなく「自らの選挙」になります。たとえば市議選ですと、一人の候補者を二つか三つの支部で責任をもって当選させる。そういうケースが多かったわけです。まさに「自らの選挙」にいやおうなしになってきます。実際、いっせい地方選挙では、そうした精神にたっての大奮闘が展開されました。全国一区の比例代表選挙で、この精神をさらに発展させられるかどうか。そこには特別の意識性・党派性が必要になるということを強調したいのであります。
私たちの綱領路線は、もとより国政選挙で民主連合勢力が多数をしめ、国政を改革しなければ実現できません。国政のたたかい、とりわけ比例代表選挙に、地方選挙で発揮した以上の情熱と力を傾けてとりくめるかどうか。これは日本革命をめざす日本共産党員の根本姿勢が問われる問題であります。
この点での消極主義――地方選挙は「自らの選挙」としてさまざまな創意や力が発揮されるが、国政選挙、とくに比例代表選挙は「遠い選挙」となってしまって、もてる力が十分に発揮できないという弱点は、全党がどうしても克服しなければならない重大な課題であります。
三年前の参議院選挙の総括のさいにも、私たちはこの点への反省をのべました。第二十三回党大会二中総への幹部会報告では、つぎのようにのべています。
「いくつかの県からの報告で、『事実上、選挙区中心のとりくみに流れ、比例独自のとりくみが弱かった』と率直にのべられていることは、中央自身の『比例を軸に』をつらぬくうえでの指導的イニシアチブの問題点として、受け止めなければならないと考えます」。
「わが党の活動が、国政選挙という重要な政治戦においても、半数をすこしこえる程度の党員によって担われ、党のもっている潜在的な力がひきだしきれていない現状をどう打開し、いかに全党員、全支部が、自覚的・自発的に党活動に参加する党をつくりあげていくか。ここに全党が探求すべき一つの大きな課題があることを、選挙戦のとりくみは痛感させるものとなりました」。
この三年前の教訓をお互いに銘記し、直面するたたかいに生かそうではありませんか。
全国から寄せられた感想の声を読みますと、きたるべき参院選を、「比例を軸に」の壮大な選挙戦にしていく機運は、いま全党の中におおいに広がっていると感じます。「今度こそ国政選挙で勝利して、国民の期待にこたえたい」という決意は、いま全党員のもっとも切実な思いでもあるのではないでしょうか。その思いを、選挙戦の実際のたたかいで生かそうではありませんか。
47都道府県での選挙区のたたかいについて
つぎに選挙区のたたかいについてのべます。
わが党は、四十七都道府県のすべての選挙区に、公認・推薦候補を擁立して、この選挙をたたかいぬきます。「比例を軸に」というのは、選挙区のたたかいを抑えて、比例をうきたたせることでは決してありません。
四十七都道府県のすべての選挙区で、候補者のみなさんがその個性や魅力を存分に発揮して、全有権者を対象にしたダイナミックな選挙戦にとりくみ、勝利をめざして意気高く、のびのびとたたかうことは、比例代表選挙での党の前進の大きな力ともなります。重要なことは、選挙区のたたかいの最大の目標を、比例での前進に貢献することにおき、政治的訴えでも、組織戦でも、その立場をつらぬくことであります。
現職区の東京での議席の絶対確保と、六選挙区での議席の奪還は、特別の意義をもっています。ここでは選挙区ごとの情勢判断を的確におこない、選挙区で競り勝つ特別の対策と対応が必要になります。そのさい、七選挙区のどこにおいても、政党選択の比例代表選挙での前進・躍進の流れをつくる――自力で日本共産党の「風」をおこすことを土台にしつつ、そのうえに選挙区でのたたかいに競り勝つための独自の手立てをとるという構えが大切であります。
「支部が主役」の選挙戦――いっせい地方選挙の教訓を大きく発展させよう
7月5日の公示日までに勝利に必要な2つの課題をやりきる――いっせい地方選挙の2倍、3倍という規模のとりくみを
つぎに「支部が主役」の選挙戦について報告します。
全党、全支部が、参議院選挙勝利の得票目標、支持拡大目標をあらためて明確にし、ただちにその実現をめざす臨戦態勢をとり、七月五日の公示日までに参院選勝利に必要なつぎの二つの課題をやりきることを提起するものです。
第一は、得票目標の実現をめざし、すべての有権者を対象に、宣伝活動と、支持拡大目標を突破する対話・支持拡大運動をすすめることであります。
日本共産党の元気いっぱいの姿をしめす宣伝活動を、大規模に展開します。ポスターで第一党になることを全国どこでも目標にして、とりくみます。近く発行予定の党押し出しパンフ『日本共産党はこんな政党です。』の全戸配布を一気にやりきります。いっせい地方選挙では、支部や地区が主体になって発行した各種ミニビラなど、草の根の宣伝活動が、大きな威力を発揮しました。手書きで書いた小さなビラがとてもよく読まれる。これが特徴でした。参議院選挙でもそれをさらに発展させることを訴えたい。さらに、公示までに史上空前の規模でのハンドマイク、宣伝カーによる音の宣伝をおこないます。
すべての支部と機関が支持拡大目標を明確にし、公示日までに支持拡大目標を突破し、本番でさらに「固めつつ広げる」活動をすすめます。対話・支持拡大運動では、いっせい地方選挙にむけても大奮闘がありましたが、参議院選挙の目標達成のためには、その二倍、三倍という規模でのとりくみが全党的に必要となります。「全国は一つ」の立場にたち、あらゆるむすびつきを生かした対話・支持拡大運動を、史上空前の規模ですすめようではありませんか。
第二は、党勢拡大の上げ潮をつくりだすなかで選挙戦をたたかうことであります。そのとりくみと一体に、得票目標にみあう後援会員を増やし、日常的に結びつきを強め、その力に依拠してともに選挙をたたかうことをおおいに重視するようにします。
党員拡大では、「すべての支部が新しい党員を迎え、新鮮な活力を広げ、意気高く参議院選挙をたたかおう」を合言葉に、すべての支部が公示日までに少なくとも一人以上の新しい党員を迎えることを呼びかけます。いっせい地方選挙をともにたたかった多くの後援会員、読者、支持者のみなさんに、広く入党を働きかけようではありませんか。
読者拡大では、すべての都道府県、地区、支部が、前回参議院選挙時回復に挑戦します。現状は、前回比で全党的には日刊紙で87・4%、日曜版で84・3%であります。「党勢の上げ潮のなかで新しい活力をえて選挙戦の勝利を」という立場とともに、「多くの有権者に党を語る選挙の中でこそ党勢拡大をすすめよう。選挙のたびごとに党勢拡大が前進するような党になろう」――この立場で、五月、六月、七月と党勢拡大の上げ潮をつくりだしましょう。
後援会員を拡大し、ニュースなどをつうじて日常的に結びつき、選挙戦の支援をお願いする活動をさらに強めるとともに、支部に対応する単位後援会、分野別後援会の活動を確立・強化することに力をつくします。
「支部が主役」の選挙戦を大きく豊かに発展させる――いくつかの強調点
以上のとりくみをやりきる最大のカギとなるのは「支部が主役」の選挙戦の発展であります。いっせい地方選挙の教訓を生かし、「支部が主役」の選挙戦を大きく豊かに発展させる努力をつらぬきます。方針はすでに二中総決定、三中総決定で詳細に明らかにされておりますので、それを前提において、いくつかの強調点について、補強的に報告します。
――一つは、決定の読了・討議、元気のでる政治指導は、すべての党員が立ち上がる土台であるということです。四中総決定の徹底は、スピードが文字どおりカギをにぎってきます。日時をきめて機関の討議、支部の討議をやりきり、これを契機に、支部会議の定例化のための努力を強めます。すべての党員に決定文書をとどけ、読了を援助する活動を、特別の態勢をとってとりくみます。党を語る根本の力を身につけるうえでも、綱領学習をひきつづき重視します。
ここで特別に強調したいのは、すべての党員が日刊紙を購読し、日々これを読んで、活動の指針とすることを重視したいということです。日刊紙は、党の日常的なたたかいの旗印であり、党活動の指針となるものですが、とりわけ国政選挙は、日々、情勢と論戦が進展し、党の方針や対応も発展していきます。日刊紙を読まなくては、党員がこの選挙を自覚的にたたかうことはできません。ですから、日刊紙をまだ読んでいない党員は必ずこれを読もうではないかという呼びかけを全党ですすめたいと思います。そして購読というのは、購・読と、読んでこそ意味がありますから、日刊紙を日々読むことにおおいに努力をはらいながら選挙戦をたたかいます。
――二つ目は、国民要求にもとづく多彩な活動を、さらに前進させるということです。そのさい、国政問題に直結する暮らしや平和の要求運動とともに、支部が自覚的・自発的にとりくんできた身近な問題での要求実現活動を、さらに多面的、豊かに発展させるという見地が、きわめて大切です。住民の切実な要求実現のためにわが党が奮闘するということは、それが直接は国政に結びついていないものでも、住民の利益をまもるために献身する党の姿勢をしめし、有権者のわが党への信頼の土台となります。要求運動といった場合に、今度は国政選挙だから国政要求にかかわる運動だけというふうに狭くしないことが大事です。もちろん国政問題を重視することは当然ですけれども、身近な要求にもとづくとりくみをいろいろと多面的にやっているわけですから、それをすべて大切にして発展させる努力が大切です。そのさい、いっせい地方選挙でかかげた公約実現の活動に積極的にとりくみながら、参議院選挙をたたかうことも重要です。
――三つ目は、支部主催の演説会・小集会・懇談会を、いっせい地方選挙の教訓を生かし、文字どおりすべての支部が開く運動として、また何度も繰り返し開く運動として、さらに大きく発展させながら選挙をたたかいます。国政選挙の候補者とともに、地方議員のみなさん、支部長のみなさんなどが、弁士をつとめ、全国で無数に開き、宣伝、対話・支持拡大を飛躍させる結節点としていきます。支部演説会にむけて、支部独自の創意をこらした宣伝物をつくることも、大きな力となります。
――四つ目は、党勢拡大の問題です。いっせい地方選挙では、一月、二月と党員拡大、読者拡大が端緒的ですが前進したことが、どこでも支部の活力を高め、激戦を勝ち抜く大きな力となったことが報告されています。
また、四年間で党員を倍加し、定数一の府議会議員選挙で見事な勝利をかちとった大阪市大正区の党組織の経験などは、全党に強いはげましと刺激をあたえており、今回の選挙の勝利にとってはもとより、党の先々を展望しても「いまこそ強く大きな党が必要だ」ということは、いっせい地方選挙をつうじても全党の痛切な思いとなっています。「党勢の上げ潮のなかで選挙を」という立場とともに、「選挙のなかでこそ党勢拡大を」の立場を重視して奮闘します。
選挙の投票日まで二カ月あまりというのは、けっして短い時間ではありません。この分野でも、大仕事のやれる時間です。いっせい地方選挙でも、東京の荒川地区委員会では、三月から四月にかけて五百十人の読者を増やし、前回選挙時比を一気にひきあげて地区全体で前回時比97%まで回復し、一議席増の六議席で区議会第二党への前進をかちとり、得票も前回比で118・6%と大きくのばしました。
読者で前回時回復というのは容易な課題ではありません。しかし、本腰を入れ正面から挑戦すれば短期間に現状を打開することは可能であり、そうした姿勢を堅持してこそ党勢拡大の本格的な上げ潮の勢いをつくることができます。
――五つ目は、職場支部のとりくみについてです。いっせい地方選挙では、昨年四月に開催した「職場講座」を力に、全国で55%の職場支部が「政策と計画」をもって選挙戦にとりくみ、職場でも、地域でも、積極的な役割を果たしました。
また、この一年間は、「職場講座」を受けて、人間らしい労働のルールをかちとるたたかいでも、「サービス残業」と「偽装請負」の一掃にむけたたたかい、「成果主義賃金」との闘争、最低賃金抜本引き上げの闘争などで、職場を基礎としたたたかいが前進し、さまざまな成果をあげた一年でもありました。
全国の党支部の約四割をしめる職場支部の奮闘は、六百五十万票以上、10%以上を実現する重要なカギをにぎります。「全国は一つ」の見地で、全党の前進に貢献するとともに、職場を基礎に「政治を変えて職場を変えよう」の訴えをおおいに広げようではありませんか。
都道府県、地区機関の活動の強化――いっせい地方選挙の教訓を生かして
都道府県機関と地区機関の活動の強化についてのべます。これも、二中総決定、三中総決定に基本方針が詳細にしめされています。いっせい地方選挙の教訓もふまえて、この方針にもとづく実践をさらに発展させていきたいと思います。
――三中総決定では、機関の長の戦闘的構えが「選挙戦の全局を左右する」と強調しました。全国の地区委員長のみなさんからの報告を読みますと、この提起を正面から受け止めて、大奮闘した姿が伝わってきます。みなさんの奮闘に、心からの敬意を表します。とくに、地区委員長としてはじめていっせい地方選挙をたたかった同志をはじめとして、全国からの報告で、「いっせい地方選挙をたたかって地区委員会と地区委員長が政治的成長をかちとったことを実感した」という声が多数寄せられたことは、たいへんうれしく、また重要だと受け止めました。成功も、失敗も、糧(かて)にしながら、いっせい地方選挙で鍛えられ、強化された党機関の力を、すべて参議院選挙勝利に生かすことを訴えるものであります。
――いっせい地方選挙で、全国二千近い選対をささえた数千人という規模の非常勤の同志のみなさんの力を結集し、その力を参議院選挙でおおいに発揮してもらうことの重要性をとくに強調するものです。いっせい地方選挙では、二千近い個別選対をささえるためには、さまざまな独自の仕事がありましたが、参議院選挙では、そのためにそそがれた力を、「支部が主役」の選挙戦の発展への援助に集中させることができます。
――地方議員の役割について訴えたい。新たに当選した議員が、住民の期待にこたえて、公約実践のとりくみの先頭にたつとともに、それぞれの地方自治体・行政区で、日本共産党を代表しているすべての地方議員が、国政選挙に「自分の選挙以上の決意と構え」でのぞみ、党を語る先頭にたつことをよびかけるものです。
いっせい地方選挙で奮闘したが議席にとどかなかった候補者のみなさん、市町村合併のためこれまで住民の利益をまもって奮闘し、豊かな実績をあげながら勇退した前議員のみなさんのなかから、参議院選挙勝利の先頭にたって奮闘する動きが、全国各地でおこっていることは、たいへんにうれしいことであります。党機関が、こうした同志たちの労苦をねぎらい、今後の生活と活動について親身になって相談するとともに、可能な形でその力を参議院選挙でも発揮してもらうように援助することが大切であります。
――機関財政を強化しながら選挙をたたかうことは、どこでも切実な課題になっています。財政四原則(党費、機関紙誌代、募金、節約)が基本ですが、二点について強調したいと思います。
一つは、選挙戦のなかで党費納入が下がっている問題について注意を喚起するものです。党費納入は自覚的に党をささえるバロメーターとなるものであり、党員の活動参加を広げる努力とむすびつけた党費納入の特別の努力をよびかけます。
いま一つは、広い有権者に募金を訴えることであります。いっせい地方選挙にむけた各地の大演説会では、全国四十八カ所で総計二千二百万円もの募金が寄せられました。空前の募金が寄せられたという会場もあちこちで生まれました。「政治とカネ」の問題で唯一清潔な党として、思い切って募金をよびかけるなら、応えてくれる条件はおおいにあるということを強調したいと思います。
若者とともにたたかい、参議院選挙を若い力が輝く選挙にしよう
報告の最後に、若者とともにたたかい、参議院選挙を若い力が輝く選挙にしようということをよびかけたいと思います。
わが党は、いっせい地方選挙で、雇用破壊と新たな貧困に直面する若い世代の切実な願いの実現を掲げてたたかいました。地方選挙の訴えや宣伝物で、青年雇用や、子育て要求が、今回ほど重視されたことはありません。そのなかで、青年支部、学生支部、民青同盟などが、雇用アンケート、労働相談、お帰りなさい宣伝、青年演説会、青年宣伝カーなどで奮闘し、選挙戦全体に新鮮で明るい活力を与えた経験が、全国で生まれました。
この間の顕著な特徴は、「ネットカフェ難民」に象徴される青年の劣悪な雇用問題が、重大な社会問題になるとともに、人間としての尊厳を奪われる「使い捨て」の労働に苦しむ若者たちが、仲間とともに自ら労働組合をつくり、勇気をもってたたかいにたちあがり、「偽装請負」をやめさせ直接雇用をかちとるたたかいでも、不払い残業代を払わせるたたかいでも、若者たちが先頭にたっていることであります。そして、近く開かれる5・20全国青年大集会を各種メディアが紹介したように、若者たちのたたかいに社会的な注目が集まっていることも重要であります。あるテレビ局は、メーデーに参加した若者たちに密着取材して、「若者が声をあげ、たたかったメーデーだった」と報じましたが、これは未来ある動きであります。
日本共産党は、若い世代が直面する悩みや苦しみを打開することは、日本社会の未来にかかわる大問題と位置づけ、青年・学生の切実な要求を実現し、若者が希望がもてる未来を開くために、ともにたたかいます。
同時に、参議院選挙では、青年・学生のなかで党支持を広げる活動を思い切って強め、選挙戦のなかで青年・学生党員と民青同盟員をふやす目標と計画をもち、力をつくします。
党大会後のすべての努力を、参院選勝利に結実させよう
みなさん、第二十四回党大会後、全党は、新しい綱領と大会決定を指針に、さまざまな分野で新しい挑戦にとりくんできました。国政をリードする奮闘、各分野の国民運動、野党外交の新しい発展、「支部が主役」の党づくりなどのそれぞれで、わが党は新しい境地を切り開いてきました。それらのすべてを生かし、参議院選挙の勝利に結実させるために、全国が心一つに奮闘しようではありませんか。
以上をもって幹部会報告といたします。